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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
26. 動物実験
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闇魔法の実験をするため厩舎まで来たが、魔法を掛けようにも、仔馬が私のことを舐めてくるので、仔馬に触れることができない。
舐めた態度程度ならまだいいが、本当に舐めてくるのだから、堪ったものではない。
動物好きな人は気にしないのだろうが、私にはとても無理だ。
だが、このまま諦めるのも癪に障る。
ここは、厩務員には申し訳ないが、悪役令嬢らしくわがままをいうことにした。
「あなた、少し頭を押さえていなさいよ!」
「まだ、触りたいんですかい?」
「そうよ! 悪い!」
「へいへい、わかりやした」
厩務員は子供のわがままじゃ仕方ないかと、仔馬の頭を押さえてくれる。
これで舐められる心配はない。
私は再び柵から手を入れて、仔馬に触る。
今度は、撫でるのでなく、手に力を込めて、闇の魔力を送り込んでみる。
少しの間、そうしていると、仔馬はヘニャヘニャと座り込んでしまい、そのまま眠り込んでしまった。
「ありゃ。どうしちまったんだ?」
厩務員が仔馬の異常に気づいて、心配そうに仔馬の様子を確認する。
「寝てるみてえだが、大丈夫だべか?」
「そうね。寝てるみたいだけど、心配だからまた明日様子を見にきますわ」
「お嬢様に、わざわざ、心配されることではねえですが」
「いいのよ、気にしないで」
身体強化魔法が思いどおりにうまくいったなら、仔馬は寝ているだけだ。
その日はそのまま厩舎を後にし、翌日、改めて厩舎を訪れた。
仔馬は元気に柵の中を走り回っていた。
「お嬢様、また来てくださったのですかい」
「仔馬、元気そうね」
「あれからしばらくしたら急に起きだして、その後はご覧のように、今まで以上に元気でさあ。昨日のあれは、なんだったんでしょうな?」
「元気になったならよかったじゃない」
だが、闇魔法を使えば、私は一晩ぐっすりなのに、仔馬はしばらくしたら起きてしまったようだ。
これは、人間と馬との違いなのか、それとも、他の要因があるのか……。
確かめておかないとお父様には使えないわね。
取り敢えず、今日は昨日より魔力を込めてみようかしら。
また、厩務員に我が儘を言って、仔馬の頭を押さえてもらう。舐められたくないからね。
魔力を込めると仔馬はまた眠り込んでしまった。
「ありゃりゃ、また眠り込んでしまいやしたな。お嬢様になぜられると気持ちがいいんでしょうか?」
「そうなのかしらね。それじゃあ、また明日見に来るわ」
そんな感じで、五日間厩舎に通ってみたが、結局、魔力を込める量によって寝ている時間が変わってくることが分かった。
そして、今のところ仔馬に副作用は見られない。
十分に睡眠をとって、毎日とっても元気に跳ね回っている。
これなら、お父様にも効果がありそうだ。
動物実験の結果はまずまずといえる。
引き続き、仔馬の観察は続けるとして、そろそろ人体実験に移っても良さそうだ。
お父様に掛ける前に、人間で確認しないわけにはいかないからな。
さて、誰を実験体にしようかしら……。
今頃、メイドのサラがくしゃみをしていることだろう。
舐めた態度程度ならまだいいが、本当に舐めてくるのだから、堪ったものではない。
動物好きな人は気にしないのだろうが、私にはとても無理だ。
だが、このまま諦めるのも癪に障る。
ここは、厩務員には申し訳ないが、悪役令嬢らしくわがままをいうことにした。
「あなた、少し頭を押さえていなさいよ!」
「まだ、触りたいんですかい?」
「そうよ! 悪い!」
「へいへい、わかりやした」
厩務員は子供のわがままじゃ仕方ないかと、仔馬の頭を押さえてくれる。
これで舐められる心配はない。
私は再び柵から手を入れて、仔馬に触る。
今度は、撫でるのでなく、手に力を込めて、闇の魔力を送り込んでみる。
少しの間、そうしていると、仔馬はヘニャヘニャと座り込んでしまい、そのまま眠り込んでしまった。
「ありゃ。どうしちまったんだ?」
厩務員が仔馬の異常に気づいて、心配そうに仔馬の様子を確認する。
「寝てるみてえだが、大丈夫だべか?」
「そうね。寝てるみたいだけど、心配だからまた明日様子を見にきますわ」
「お嬢様に、わざわざ、心配されることではねえですが」
「いいのよ、気にしないで」
身体強化魔法が思いどおりにうまくいったなら、仔馬は寝ているだけだ。
その日はそのまま厩舎を後にし、翌日、改めて厩舎を訪れた。
仔馬は元気に柵の中を走り回っていた。
「お嬢様、また来てくださったのですかい」
「仔馬、元気そうね」
「あれからしばらくしたら急に起きだして、その後はご覧のように、今まで以上に元気でさあ。昨日のあれは、なんだったんでしょうな?」
「元気になったならよかったじゃない」
だが、闇魔法を使えば、私は一晩ぐっすりなのに、仔馬はしばらくしたら起きてしまったようだ。
これは、人間と馬との違いなのか、それとも、他の要因があるのか……。
確かめておかないとお父様には使えないわね。
取り敢えず、今日は昨日より魔力を込めてみようかしら。
また、厩務員に我が儘を言って、仔馬の頭を押さえてもらう。舐められたくないからね。
魔力を込めると仔馬はまた眠り込んでしまった。
「ありゃりゃ、また眠り込んでしまいやしたな。お嬢様になぜられると気持ちがいいんでしょうか?」
「そうなのかしらね。それじゃあ、また明日見に来るわ」
そんな感じで、五日間厩舎に通ってみたが、結局、魔力を込める量によって寝ている時間が変わってくることが分かった。
そして、今のところ仔馬に副作用は見られない。
十分に睡眠をとって、毎日とっても元気に跳ね回っている。
これなら、お父様にも効果がありそうだ。
動物実験の結果はまずまずといえる。
引き続き、仔馬の観察は続けるとして、そろそろ人体実験に移っても良さそうだ。
お父様に掛ける前に、人間で確認しないわけにはいかないからな。
さて、誰を実験体にしようかしら……。
今頃、メイドのサラがくしゃみをしていることだろう。
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