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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

21. 闇の魔力

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 家庭教師のクロード先生から魔法の属性の相性について聞いている最中に、身体強化魔法のかけ方を聞き出そうとしたが上手くいかなかった。
 先生は、呆れたような顔をして話を続けた。

「話を戻すけど、自分以外にかける身体強化魔法にも、属性の相性が働くんだ」

「つまり、土の適性がある者に、風の身体強化魔法をかけても効果がない、ということですか?」
「全く効果がないわけじゃないけど、効果が低いんだ」

「それは、つまり、クロード先生が私に身体強化魔法をかけて、効果があるかみれば、闇との相性が確認できるということですわね」

「そのとおりなんだけど、やってみるかい?」
「ぜひ!」

 私はテーブルに手を付き、身を乗り出してクロード先生に迫った。

「おっ、おう、では、やってみますか。手を出して」
「はい」

 私は両手を出して、それをクロード先生が握る。

「では、いくよ。少しピリッとするかもしれないけど、それが風の魔力だから」

 確かに手からピリピリする電気のような物が入ってくる感じがするが、それを、私の中の黒い液体が飲み込んで、消し去っている感じがする。

「どうかな、俊敏に動けるようになったかな?」
「これは、無理そうな感じですわ」

 それでも、一応、確認のため、私は椅子から降りると、左右にステップを踏んでみた。
 風の身体強化魔法が効いていれば、瞬発力が上がって、素早く動けるはずだ。
 だが、いつもと変わらなかった。

「効果がないですわ……」

「そうか。そうなると、やはり闇との相性が悪いのかな」
「私の中の魔力が、先生の魔力を打ち消しているように感じましたから、そうなのでしょね」

「マリー様は、魔力を感じられるのかい?」
「私の感じている物が魔力なら、そうですわね」

「そうか……」

 クロード先生は考え込んでしまった。
 何か、まずかっただろうか?

 しかし、闇が全属性と相性が悪いとは、最悪である。

「マリー様はもしかすると一人で魔法の練習をしていないでしょうね?」
「えっ! そ、そんなことはしていませんわ」

「前にも言いましたが、闇魔法はどんなものかわかっていません。もしかしたら、危険なものかも知れませんから、一人では決して練習しないでくださいね」
「わかっていますわ」

 私が魔力を感じていると話してしまったため、一人で練習しているではと疑われて、釘を刺されてしまった。
 まあ、そう言われても、止めるつもりはないのだが。


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