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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件
18. 禁書
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書庫で魔導書を探した日の夕食の時、お父様が話しかけてきた。
「マリー、書庫には読みたい本があったか?」
「いえ、残念ながら目的の本はありませんでしたが、勉強のためにも何冊かお借りしましたわ」
「そうか、今から、そんなに根を詰めて勉強をする必要はないと思うぞ」
「そうですね。ほどほどにしますわ。ところで、本棚の裏が汚れているかもしれないということでしたので、メイドに掃除をしておくようにお願いしておきましたわ」
「な!」
お父様は食事中だというに、勢いよく立ち上がった。
「あなた、どうかされました?」
「いや、なんでもない」
お母様に聞かれて、お父様は静かに座り直した。
「マリー、メイドに掃除をするようにお願いしたのはいつかな?」
「昼前ですわ。今頃は、綺麗さっぱり、不潔な物は処分されているはずですわ」
「不潔な物。そ、そうか……」
お父様はすごくガッカリした顔をしたのだった。
(メイド、サラ視点)
今日のお嬢さんは朝から書庫に篭って本をあさっています。
お嬢様は、最近家庭教師から文字を教わるようになりましたが、流石にここにある本を読むのは早すぎるのではないでしょうか。
そう思って見ていると、普通の五歳の子供であれば、本棚から本を引っ張り出して、散らかして楽しむところを、お嬢様は、一冊一冊確かめながら、気になった本を引き出しては戻しています。
そして、気に入った本を私に預けてきます。
『イングラス島とランドレート大陸の血塗られた歴史』
『イングラスの特産物とその経済効果』
お嬢様は、本当にこれらの本を読む気なのでしょうか?!
ちょっと、専門書過ぎて、私でも読める気がしません。
『悪役令嬢、魔王になる』
あっ、これは、物語ですね。ですが、何でこんなダークな物を……。
一通り書庫の中を見て回ったお嬢さんは、大きなため息をつきました。
お嬢様が読むような絵本は、書庫にはなかったようです。急いで揃えるように執事のアルフに話しておく必要がありますね。
どんな絵本がいいでしょうか。やはり、王女様が王子様と結婚するハッピーエンドな話ですね。
どんな本がいいか考えていたら、お嬢様が、本棚の裏から大量の本を引き出していました。
「何ですかこの本?」
「これは、ある意味禁書ね」
「え? キャッ!」
お嬢様の前に広げられていたのは、エッチな大人のための本でした。
「お嬢様! これは、お嬢様が見てはいけないものです」
「そうね。処分しておいてもらえる?」
「わかりました。跡形もなく焼却処分いたします」
私は、本をまとめると、焼却炉に急ぎました。
しかし、誰がこんないかがわしい本を書庫に隠したのでしょう。
これからも、お嬢様が書庫に出入りするとなると、今度からは定期的に清掃しておかないといけませんね。
「マリー、書庫には読みたい本があったか?」
「いえ、残念ながら目的の本はありませんでしたが、勉強のためにも何冊かお借りしましたわ」
「そうか、今から、そんなに根を詰めて勉強をする必要はないと思うぞ」
「そうですね。ほどほどにしますわ。ところで、本棚の裏が汚れているかもしれないということでしたので、メイドに掃除をしておくようにお願いしておきましたわ」
「な!」
お父様は食事中だというに、勢いよく立ち上がった。
「あなた、どうかされました?」
「いや、なんでもない」
お母様に聞かれて、お父様は静かに座り直した。
「マリー、メイドに掃除をするようにお願いしたのはいつかな?」
「昼前ですわ。今頃は、綺麗さっぱり、不潔な物は処分されているはずですわ」
「不潔な物。そ、そうか……」
お父様はすごくガッカリした顔をしたのだった。
(メイド、サラ視点)
今日のお嬢さんは朝から書庫に篭って本をあさっています。
お嬢様は、最近家庭教師から文字を教わるようになりましたが、流石にここにある本を読むのは早すぎるのではないでしょうか。
そう思って見ていると、普通の五歳の子供であれば、本棚から本を引っ張り出して、散らかして楽しむところを、お嬢様は、一冊一冊確かめながら、気になった本を引き出しては戻しています。
そして、気に入った本を私に預けてきます。
『イングラス島とランドレート大陸の血塗られた歴史』
『イングラスの特産物とその経済効果』
お嬢様は、本当にこれらの本を読む気なのでしょうか?!
ちょっと、専門書過ぎて、私でも読める気がしません。
『悪役令嬢、魔王になる』
あっ、これは、物語ですね。ですが、何でこんなダークな物を……。
一通り書庫の中を見て回ったお嬢さんは、大きなため息をつきました。
お嬢様が読むような絵本は、書庫にはなかったようです。急いで揃えるように執事のアルフに話しておく必要がありますね。
どんな絵本がいいでしょうか。やはり、王女様が王子様と結婚するハッピーエンドな話ですね。
どんな本がいいか考えていたら、お嬢様が、本棚の裏から大量の本を引き出していました。
「何ですかこの本?」
「これは、ある意味禁書ね」
「え? キャッ!」
お嬢様の前に広げられていたのは、エッチな大人のための本でした。
「お嬢様! これは、お嬢様が見てはいけないものです」
「そうね。処分しておいてもらえる?」
「わかりました。跡形もなく焼却処分いたします」
私は、本をまとめると、焼却炉に急ぎました。
しかし、誰がこんないかがわしい本を書庫に隠したのでしょう。
これからも、お嬢様が書庫に出入りするとなると、今度からは定期的に清掃しておかないといけませんね。
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