街角で悪役令嬢役にスカウトされた件 【OKしたけど、異世界でサスペンスだとは聞いてない!】

なつきコイン

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第一幕 悪役公爵令嬢(闇魔法使い8歳)王宮書庫殺人事件

3. 何語ですか?

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 悪役令嬢役を引き受けることになり、台本を渡されたが、その台本は日本語で書かれていなかった。

「あの、これ、何語ですか? 私、読めないんですけど……」
「ああ、これはランドレート大陸語ですね。大丈夫、準備期間中に覚えればいいですから」

 ランドレート大陸語なんて、聞いたこともない。どこの国の言葉だろう?

「とても準備期間中に覚えられるとは思えないのですが?」
「七年あれば覚えられるでしょ?」

「七年? 準備期間が七年なのですか?!」
「七年でも覚えらそうもないのですか?」

 私は準備期間が七年もあることに驚いたのだが、プロヂューサーは七年では覚えられないと受け取ったようだ。
「いえ、流石に七年あれば初めての言語でも覚えられるでしょうが……。いや、でも、まったく知らない言語だから……。覚えられるかな?」

「仕方がないですねー」
 不安になる私に、プロヂューサーは呆れた様子だ。
 そう言われても、まったく未知の言語だから予想がつかない。
 それより、準備期間が七年という方が問題なのだが……。

 私がいろいろ戸惑っていると、見かねたプロヂューサーは「喋れるようにはしますから、読み書きは自分で勉強してくださいね。本当は、干渉したくないんですけど、特別ですよ」そう言って私に近付いた。

 そして、私の額にそっとキスをした。

「え! えー~。今、何したんですかー?!」
「言葉を授けただけですよ。それじゃあ準備はいいですか?」

 キスなどされたことがないため、パニクっている私をお構いなしに、プロヂューサーは話を進めていく。

「準備って?」
「目を覚ましたらロートブルク公爵邸ですからね」

 私の質問は、無視ですか?
 ロートブルク公爵邸って、国内の仕事じゃなかったの?
 いろいろ、パニクっているうちに、私を光が包んでいく。

「これ、魔法陣?!」
「詳しい事は向こうのマネージャーに聞いてくださいね」

 マネージャーがつくのか。それは良かった。

 って、よくないわよ!

 どうやら、これは、国内どころか海外の仕事でもないようだ。
 私は光に包み込まれ、心の準備も済まないまま、次の瞬間には異世界に飛ばされていたのだった。

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