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第21話 D5坑道

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 今日から二泊三日の泊まり込みでD5坑道に潜ることになる。
 昨夜も何故かみんなと乱行する夢を見て今朝も気怠さを伴って目を覚ました。もしかすると、ボクは欲求不満なのだろうか? こう毎日エッチな夢を見るということは、そう考えるのが妥当と思えてきた。
 坑道で魔獣を狩まくれば、発散されるだろうか?

 例のごとく入り口前のブースでチェックを受けてから坑道に入る。

「今日は予定どおり、一日あたしが先頭でどんどん潜って狩場前で一泊、明日一日狩場で狩って、明後日帰ってくるでいいよな」
 ククリによると坑道を一日進んだところに、お勧めの狩場があるそうだ。

「それで頼むよ」
「OKよ」
 ボクとアリサが同意の返事をする。

「魔獣が出たら任せるからな」
 ククリはボーターだから案内はしても戦闘はしない。魔獣を倒すのはハンターである、ボクとアリサの役目だ。

「モグラオオカミだっけ?」
「そうだよ。基本的には坑道の奥で縄張りを作って集団で行動しているけど、時々はぐれが縄張りの外をうろついていることがあるから気をつけて」

「戦闘力は高いの?」
「アリサもワームを狩れるなら相手が集団でない限り問題ないはずだよ」

「アリサ、心配ならボクが身体強化の魔法をかけようか?」
「え! マレック、そんなこともできるの?」

「多分できると思うけど……」
「なによ、私を実験台にする気なの!」

「まあ、見方によってはそうなんだけど、無理にとは言わないよ」
「そうね……。せっかくだからやってもらうわ。もしかしたら、それで感覚を掴んで、自分でもできるようになるかもしれないし」
 アリサは自分でも鍛錬しているのだから、これがきっかけで、アリサの言うところの気を使えるようになる可能性は確かにあるだろう。

「それじゃあやってみるよ」
 ボクは両手でアリサの手を掴むとマナを流し込んだ。

「ああ、気が流れ込んでくる……」
 アリサは既に体内のマナの流れを感じ取ることはできようだ。
 それを思いどおりにコントロールできれば、身体能力を強化できるのだが、そのコントロールが難しい。
 今回はボクがコントロールしてマナの流れを作る。
 これでしばらくは効果があるはずだ。
 時間が経ってマナの流れが元に戻るか、マナを使い切ってしまえば効果は無くなる。

「凄い、体が軽く感じるわ! あはは。速い、速い」
 アリサはククリを追い抜いて走り出した。

「こら! 迷子になるぞ」
「大丈夫! 坑道が分岐している所まで行ったら帰って来るから」
 そう言ってアリサは走り去ってしまった。

「本当に大丈夫かな……」
「大丈夫じゃない。仮にはぐれに出会しても自分で討伐できるでしょ」

 アリサの実力を見たことはないが、自信あり気だし問題ないだろう。それに、身体強化魔法もかけてあるのだ、モグラオオカミに遅れを取ることはないだろう。

「それより、さっきのあれ、あたしたちにもかけることはできないの?」
「身体強化魔法か? かけられるけど、ククリは戦わないよな?」

「魔獣とは戦わないけど、移動が楽に早くできれば、それに越したことはないじゃないか」
「まあ、それは確かにそうだな。じゃあ、三人にもかけてみるよ」

 ボクは、ククリとミキ、それとレナさんにも身体強化魔法をかける。

「おお! 確かに体が軽く感じるな」
「ありがとうございます、マレック様」
「私まですみません」
「それじゃあアリサを追いかけようか」

 三人にも問題なく効果があったようだ。通常の倍の速さでアリサを追いかける。
 しばらく走って、坑道が分岐しているところにアリサはかがみ込んでいた。どうかしただろうか?

「アリサ! どうした、何かあったのか?」
「マレック、それにみんなも、随分と早かったわね」

 そう言って振り返ったアリサの前には、モグラオオカミが一トウ横たわっていた。

「仕留めたのか?」
「ええ。でも凄いわね。一撃だったわ。普通ならこうはいかないわ」
 身体強化魔法の効果で戦闘力もかなり上がっているのだろう。

「それでなにをしていたんだ?」
「いえ、みんなが来る前に魔石を取り出そうとしたんだけど……」
「それなら、あたしがやるよ」

 アリサも解体は得意ではないようだ。代わりにククリがナイフを使って素早く魔石を取り出した。

「流石に手際がいいな」
「レナも早いと思ったけど、ククリには負けるわね」
 レナさんは解体もできるのか。ミキより優秀だな。

「もう、ポーターをして長いからな。これくらいできて当然さ」
 長いということは子供の頃からやっているのだろうか? ククリも苦労してるんだな。

 その後は、身体強化魔法が切れるたびにかけ直し、はぐれに出会うとそれを狩りつつ、狩場が近くにお昼過ぎに到着した。

「予定よりかなり早く到着してしまったみたいだね」
「マレックの魔法のお陰だな」
「本当に凄いわね。それに、魔獣を探知できるなんて便利すぎでしょ」

 途中、不意打ちをくらわないようにマナの探知も合わせて行っていた。

「きっと、アリサにもできるようになるさ。そもそも、ここまで感知能力が上がったのは、アリサに瞑想の仕方を教わったからだからね」
「そうなの? それからまだ何日も経ってないのに……」

「コツを掴めば急に上達する物なんじゃないかな? だからアリサもすぐにできるようになるかもしれないだろ」
「そうなのね……。私もいつか斬撃が飛ばせるようになるかしら……」

「その、斬撃というのはなんだい?」
「えーと。気を使った究極奥義なんだけど。剣から気を飛ばして離れた敵を斬る技よ」
 剣からというのはともかく、気を飛ばすということは、マナを飛ばす攻撃魔法のことだよな。

 何もないところにマナを集めて飛ばすより、剣に纏わせたマナを飛ばす方が簡単そうだな。
 それにボクは既に剣にマナを纏わせることできるから、できそうな気もするけど……。アリサが奥義だと言ってるものをボクが使ったらまずいよな……。うん。試してみるにしてもアリサがいない時にしよう。

 その後、みんなでテントを立て、明日まではゆっくりすることにした。
「それじゃあ四人はテントで休んでよ、ボクは見張りをしているから」
「マレック、その必要はないよ。ここは安全地帯だから基本的には魔獣は近付かないし、万が一魔獣を含めて誰か近付けばこの装置が警報を鳴らして知らせてくれるんだ」

 ククリが手のひらに乗るほどの箱を取り出した。魔道具だろうが、どんな仕組みになっているのだろう。
「その小さな箱にそんな機能があるのか!」
「ああ、この箱は警告音を鳴らすだけで、魔獣を探知する装置は外に設置されているんだ」

 ククリの話によると、坑道にある安全地帯には、魔獣除けの音波発生装置と探知装置がセットで設置されているらしい。

「だからね、あたしと一緒にテントの中でいいことしようじゃないか」
「いいことって……?」
「待って、待って! 私を除け者にするなんて許さないわよ」
 アリサがボクの腕にしがみついてきた。

「お嬢様、はしたないですよ」
「ここには知り合いしかいないんだし、今更でしょ」

「それはそうかもしれませんが、まだ昼間の時間ですから」
「昼間と言われても、坑道の中はどこも薄暗いから関係ないわよ」

「確かにそれもそうですね。でしたらみなさんで楽しみましょうか」
 アリサだけでなく、レナさんもボクに後ろから抱き付いた。
 いったい、みんなでなにを楽しむ気なんだ!

「こうなると五人用のテントにするべきでしたね」
 まさかミキもこの状況に参戦するつもりなのか!

「それは問題ない。用は、立体的に使えばいいんだ」
 そう言うククリの指示でボクはテントに放り込まれた。
 立体的にって、なにをする気なんだ!
「ちょっと待って、それは流石に……モゴモゴ」

 ボクが止めるより早く、テントの中央に寝かされたボクは、右側に寝たミキに腕を取られ、その股間に右手を挟まれてしまった。
 一方左手は、レナさんに捕まれ、その豊満な胸に押してられていた。

 三人用のテントなので、三人寝ればそれでテントの床はいっぱいだ。だがテントには高さがあった。
 ボクの腰の上にアリサが股がって座り、あろうことか、ククリはボクの顔の上に腰を落とした。

 そして、アリサは腰を前後に振り始め、ククリはぐりぐりとお股を擦り付けてくる。
 ボクが耐えられず手を動かすと、ミキとレナさんが喘ぎ声を上げ始める。

 流石にこれはボクの理性も保てないかも……。
 そう思った瞬間、警報ブザーがけたたましく鳴り響いたのだった。

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