名門魔術師を騙る詐欺師一族の三男は、ワザと不器用なフリをして狙い通り勘当されハンターになるが、なぜかメイドがついてきてエロエロな生活を送る

なつきコイン

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第7話 ベッド

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 アリサの指導を受けながら瞑想しているうちに、いつの間にか夜になっていた。
 四人で楽しく豪華な夕食を食べて、その後各自でシャワーを浴びた。
 そこまでは和やかに過ごしていたが、問題が発生したのは、いざ、寝ようとした時だった。
 誰がどこで寝るかで揉めることになったのだ。

 僕たちが乗車しているロイヤルスイートにあるベッドは、ダブルが二つにシングルが二つ、全部で四つあるので四人で足りないわけではない。
 問題はダブル二つが一つの部屋にあったことだ。
 ボクはダブルベッドが二つと聞いて、寝室が二部屋あるものだと思っていた。それはアリサも同じだったようだ。

 寝室が二部屋あれば、ボクとアリサで一部屋づつ使って、使用人用の部屋は一部屋でもミキとレナさんが一緒に使えばそれで問題がなかったのだが、ダブルベッドが置いてある寝室が一部屋では、ボクとアリサが一緒の部屋に寝ることになってしまう。
 別々のベッドだとしても、未婚の男女が二人だけで一緒の寝室で寝るのは流石にまずいだろう。しかも、相手は貴族の令嬢であればなおさらだ。

「ボクとミキが使用人の部屋を使うから、アリサとレナさんで寝室を使ってくれていいよ」
 ミキと二人だけというのも問題だが、アリサと二人だけよりはマシだろ。
 シングルベットでミキは不満かもしれないが、そこはなんとか我慢してもらおう。

 不満が出るとしてもミキからだろうと思った提案であったが、不満を言ってきたのは意外にもミキではなくレナさんだった。

「私はメイドですから、お嬢様と一緒の部屋には寝られません。ですので、使用人室を使わせていただきます」
 有無を言わせぬ勢いで、こちらの説得に全く耳を貸す様子がない。これは困ったことになった。

「アリサは当然ダブルベッドを使うんだよね?」
「当たり前でしょ」
「ボクが一緒の部屋では……」
「ダメに決まってるでしょ!」
 ですよねぇー。

「そうなるとボクがレナさんと一緒に使用人室で、ミキがアリサと一緒に寝室ということになるけど」
「私はかまいませんが」
 レナさんはボクと二人でもかまわないようだ。これも意外であったが、まあ、二人きりといっても別々のベッドだし、列車の中で何かするわけはないから気にしていないのか。

「それじゃあそういうことで」
「ちょっと待ってください。私はマレック様と同じベッドでなければ嫌です」
 同じベッドって、ミキは何を言ってるのかな?

「そうよね。駆け落ちしてきた二人は同じベッドがいいわよね」
「そうですね」
 アリサとレナさんまで、何を同調してしてるかなー。

「ミキも一緒ならマレックと二人でダブルベッドを使ってもいいわよ」
 ちょっと、ちょっと、ボク抜きで話を進めないでくれるかな。

「いえ、アリサ様に申し訳ありませんから使用人室のシングルベットでかまいません」
「でも、シングルベットで二人は狭いでしょ?」

「重なり合って寝ますから大丈夫です」
「キャァー。重なり合ってなんて、情熱的! なら、シングルベットでいいわね」

 流石にその状況になったらボクも我慢できそうにない。かといって、レナさんが隣で寝ている所でそんなことできるわけもなく。

「すみません。ダブルベッドを使わせてください」
 ダブルベッドの端と端に寝ればまだ我慢できだろう。

「あら、そうなの? 別に二人がそれでよければ私は構わないわ。夜の営みにも興味がありますし……」
「え?」
「べ、別に覗こうなんて思っていませんよ。同じ部屋ですし、激しくされると不可抗力で見えてしまうだけですから」

 アリサは、婚約するのが嫌で逃げてきたと言っていたが、そういうことには関心があるようだ。

「そういうことでしたら、私もお嬢様のダブルベッドで……」
 おい、レナさん! あれだけお嬢様と同じ部屋には寝られないと言っておいてどういうことだ。

「それでは四人で一緒の部屋に寝ればいいですね」
「そうね」
「そうですね」

 もう、三人でも四人でも変わらないか、むしろ、人数が多い方がその気になり難いだろう。

 はぁー。さっさとベッドに入って寝てしまおう。

 ボクがベッドに入ると、他の三人も寝る支度を始めた。女性は寝る前にも色々準備が必要なようだ。

「ミキさん、それはなんですか?」
「これですか? これは天に昇るような素敵な夢の世界に連れて行ってくれるアロマキャンドルです」
「まあ、それはいいわね」

 ボクはミキがアロマキャンドルを用意していると聞いて少し焦った。
 確かあれは、アートランク伯爵家で製造しているアロマキャンドルだ。だが、幸い、アリサもレナさんも製造元までは気にしていないようだった。

 アートランク伯爵家では魔術だけでなく、怪しい薬の製造販売をしている。
 あのアロマキャンドルは、上の兄であるホルック兄さんが中心になって開発している物だ。

 家で製造しているというだけで怪しさ満点であるが、ミキが時々ボクの部屋でも使っていたので問題はないだろう。
 確かにあれを使うと、何か昇天したような夢を見て、翌朝には溜まっていたものが抜けたようにさっぱりした気分で目覚めることができた。

 アロマキャンドルを設置し、支度が済んだのか、ミキがボクのベッドに入ってくる。
 今はまだ二人の距離がるが、これから一晩同じベッドの中で寝るのだ、寝ている間に抱き合っていたらどうしよう。
 興奮してしまって、なんだか眠れそうにない。

「マレック様」
「なにかな」
「大丈夫ですよ。いい夢を見ましょうね」
「ああ、そうだね」

 ボクは目をつぶると、アロマキャンドルの匂いを嗅ぎながら、いつしか、夢の世界に溶け込んでいったのだった。

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