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第一部 借金奴隷編
第45話 借金返済
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護衛依頼でミマスに来ていた私たちは、フードのついた服で頭を隠しながら、冒険者ギルドに向かっています。
昨日の情報収集によると、一昨日、ギルドに領主様と聖女様が現れ、ギルマス、サブマス、マリーさんの三人を捕まえていったそうです。
それにしても、なぜ聖女様なのでしょうか?
疑問は残りますが、私たちはギルドに到着し、中を覗き込みます。
ギルドの中は閑散としていて、通常業務はやっていないようです。
受付嬢が、現状を知らずにやってきた冒険者に、事態の説明をしています。
説明を聞いた冒険者が困り顔で帰っていき、受付嬢の手が空いたので、私たちはその受付嬢に声を掛けます。
「ちょっといいですか」
「すみません。現在当ギルドは通常業務が行えない状況です。明後日には一部業務が再開できる見込みですので、その時にまたお越しください」
受付嬢はそれだけ言うと話は終わったと奥に引っ込もうとします。
私は慌ててそれを止めます。
「ちょっと待ってください!」
「まだ何か?」
受付嬢は不機嫌そうに振り返ります。
「私です。プランタニエです。少し教えてください」
「え、プラン? その黒髪。本当にプランなのね。魔獣に襲われたと聞いたわ、よく生きてたわね?」
プランタニエであることを示すため、今の私は、黒髪に黒い瞳に戻しています。
「檻に入っていたからシルバーウルフが諦めたんです。そんなことより、一体何があったんですか? 噂では聖女様が現れたとか――」
「そうよ! 聖女様が突然やってきて、マリーがウドさんたちを使って、あなたを殺そうとしたと言って神罰を与えたの。それから、領主様が税金を使い込んだ疑いでマリーとギルマスを捕まえていったわ」
「税金を使い込んだんですか?」
「そうらしいわね。容疑が固まり次第極刑らしいわよ」
そうか、税金の使い込みもしていたのか。極刑も仕方ないですね。
「サブマスも捕まったって聞いたのだけど?」
「ああ、サブマスはあなたを借金奴隷にしようとしたから、聖女様に叱られて、修道院に行くことになったわ」
「そう、修道院に――。そうなると私の借金の話はどうなったかしら?」
「借金の話は出なかったわ。冤罪だったのだから帳消しになるのかもしれないけれど、新しいギルマスが来ないことにははっきりとしたことは言えないわ」
「新しいギルマスはいつ来るのかしら?」
「二日後よ」
「それは困ったわ。実は借金を返しに来たんだけど、明日にはここを離れなければならないの」
「借金を返すって、借金の額は白金貨十枚だったわよね。そんなお金返せるの?」
「それが、偶然、生き別れていた兄と出会って、白金貨十枚立て替えてもらえることになったの」
「白金貨十枚を立て替えるって、その人大丈夫なの。本当にお兄さん?」
「あ、一緒に来てるの。こちらが兄です」
「どうも」
「まあ、イケメン。しかも黒髪で、本当に兄妹なのね。
そういえば、私、プランのことを『忌み子』だとか酷いこと言ってすまなかったわ。
教会が黒髪の話を避けてたから、忌むべき存在なのかと思っていたわ。違ったのね。
聖女様は黒髪様と呼んでいたわ。
本当にごめんなさいね」
「もう気にしてないから。謝ってもらわなくていいわ」
「そう?」
「話は戻すけど、私は借金を早く返して自由の身になりたいの」
「それはわかるけど私では判断がつかないわ」
「だったら、白金貨十枚払っていくわ」
「それはいいけど、もし、帳消しになった場合どうするの。また取りに来る?」
「そうね。孤児院に寄付してもらおうかしら――」
孤児院には、余りいい思い出はないのですが、それでもそこで育ててもらえなければ、今は生きていないかもしれません。
「白金貨十枚も孤児院に寄付するの? 一体どこの大金持ちよ!」
一応借金の返済は、それで話がまとまったので私たちはお金を渡して帰ることにしました。
「ねえ。プランさえ良ければ、ギルドに戻って来ない? はっきり言って、プランが抜けて仕事がきついのよね。新しいギルマスには私が必ず話を通すから」
「ごめんなさい。私、これから兄と暮らすことになるから」
「そうか……。そりゃそうよね。白金貨十枚ポンと出せる大金持ちだものね」
「それじゃあ借金のことよろしくね」
「わかったわ。きちんと処理しておくから」
私は借金を返して、借金奴隷になる心配もなくなり、晴れやかな気分でギルドを出ることができました。
「ギルドの受付嬢に戻らなくてよかったのかい?」
「いいの。早く白銀亭に帰らないと、コメットさんの充電が切れて、ミーヤさんが泣いているでしょうから。
それに、どうも、私には受付嬢より冒険者の方が向いているようですから!」
昨日の情報収集によると、一昨日、ギルドに領主様と聖女様が現れ、ギルマス、サブマス、マリーさんの三人を捕まえていったそうです。
それにしても、なぜ聖女様なのでしょうか?
疑問は残りますが、私たちはギルドに到着し、中を覗き込みます。
ギルドの中は閑散としていて、通常業務はやっていないようです。
受付嬢が、現状を知らずにやってきた冒険者に、事態の説明をしています。
説明を聞いた冒険者が困り顔で帰っていき、受付嬢の手が空いたので、私たちはその受付嬢に声を掛けます。
「ちょっといいですか」
「すみません。現在当ギルドは通常業務が行えない状況です。明後日には一部業務が再開できる見込みですので、その時にまたお越しください」
受付嬢はそれだけ言うと話は終わったと奥に引っ込もうとします。
私は慌ててそれを止めます。
「ちょっと待ってください!」
「まだ何か?」
受付嬢は不機嫌そうに振り返ります。
「私です。プランタニエです。少し教えてください」
「え、プラン? その黒髪。本当にプランなのね。魔獣に襲われたと聞いたわ、よく生きてたわね?」
プランタニエであることを示すため、今の私は、黒髪に黒い瞳に戻しています。
「檻に入っていたからシルバーウルフが諦めたんです。そんなことより、一体何があったんですか? 噂では聖女様が現れたとか――」
「そうよ! 聖女様が突然やってきて、マリーがウドさんたちを使って、あなたを殺そうとしたと言って神罰を与えたの。それから、領主様が税金を使い込んだ疑いでマリーとギルマスを捕まえていったわ」
「税金を使い込んだんですか?」
「そうらしいわね。容疑が固まり次第極刑らしいわよ」
そうか、税金の使い込みもしていたのか。極刑も仕方ないですね。
「サブマスも捕まったって聞いたのだけど?」
「ああ、サブマスはあなたを借金奴隷にしようとしたから、聖女様に叱られて、修道院に行くことになったわ」
「そう、修道院に――。そうなると私の借金の話はどうなったかしら?」
「借金の話は出なかったわ。冤罪だったのだから帳消しになるのかもしれないけれど、新しいギルマスが来ないことにははっきりとしたことは言えないわ」
「新しいギルマスはいつ来るのかしら?」
「二日後よ」
「それは困ったわ。実は借金を返しに来たんだけど、明日にはここを離れなければならないの」
「借金を返すって、借金の額は白金貨十枚だったわよね。そんなお金返せるの?」
「それが、偶然、生き別れていた兄と出会って、白金貨十枚立て替えてもらえることになったの」
「白金貨十枚を立て替えるって、その人大丈夫なの。本当にお兄さん?」
「あ、一緒に来てるの。こちらが兄です」
「どうも」
「まあ、イケメン。しかも黒髪で、本当に兄妹なのね。
そういえば、私、プランのことを『忌み子』だとか酷いこと言ってすまなかったわ。
教会が黒髪の話を避けてたから、忌むべき存在なのかと思っていたわ。違ったのね。
聖女様は黒髪様と呼んでいたわ。
本当にごめんなさいね」
「もう気にしてないから。謝ってもらわなくていいわ」
「そう?」
「話は戻すけど、私は借金を早く返して自由の身になりたいの」
「それはわかるけど私では判断がつかないわ」
「だったら、白金貨十枚払っていくわ」
「それはいいけど、もし、帳消しになった場合どうするの。また取りに来る?」
「そうね。孤児院に寄付してもらおうかしら――」
孤児院には、余りいい思い出はないのですが、それでもそこで育ててもらえなければ、今は生きていないかもしれません。
「白金貨十枚も孤児院に寄付するの? 一体どこの大金持ちよ!」
一応借金の返済は、それで話がまとまったので私たちはお金を渡して帰ることにしました。
「ねえ。プランさえ良ければ、ギルドに戻って来ない? はっきり言って、プランが抜けて仕事がきついのよね。新しいギルマスには私が必ず話を通すから」
「ごめんなさい。私、これから兄と暮らすことになるから」
「そうか……。そりゃそうよね。白金貨十枚ポンと出せる大金持ちだものね」
「それじゃあ借金のことよろしくね」
「わかったわ。きちんと処理しておくから」
私は借金を返して、借金奴隷になる心配もなくなり、晴れやかな気分でギルドを出ることができました。
「ギルドの受付嬢に戻らなくてよかったのかい?」
「いいの。早く白銀亭に帰らないと、コメットさんの充電が切れて、ミーヤさんが泣いているでしょうから。
それに、どうも、私には受付嬢より冒険者の方が向いているようですから!」
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