黒髪だからと罪を着せられ奴隷にされた『元ギルドの受付嬢』黒髪青年に助けられチート魔法で『冒険者』生活満喫中! その頃、元いたギルドは大混乱!

なつきコイン

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第一部 借金奴隷編

第20話 武器屋

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 お米が食べられないことにショックを受けて、落ち込んでいたマーサルでしたが、次の日にはなんとか復活していました。

「それで、今日はどうする予定だい? また、昨日の場所で薬草を採取するかい?」

 今朝もお互いにベッドに座ったまま今日の予定を確認します。

「あそこでの薬草採取は週に一回にしましょう。
 あまり無計画に取り過ぎると再生が間に合わなくなって、取れなくなるし、大量に出回るようになると相場が下がるわ」

「だとすると他の日は休みかい?」
「それでも食べていけなくわないけど、できればお金を貯めたいのよ。できるだけ早く白金貨十枚……」
「お金を貯めることには賛成だけど、急いで貯める必要があるの? 白金貨十枚も」

「白金貨十枚はね、私がギルドをクビになった時に弁済しろと言われた額なの。
 それが払えないから借金奴隷になるところだったわ。
 だから、白金貨十枚をギルドに払って、逃亡者の肩書を返上したいの……」

「でも、それは冤罪だったんだろ? ミハルが払う必要はないと思うけど?」
「そうなんだけど! 自分じゃ無実を証明できないし……、誰も信じてくれないの……。だけど、逃亡者のままでいるのは嫌なの! 勿論、借金奴隷にもなりたくないわ……」

「僕はミハルのこと信じるけどね」
「マーサルじゃねぇー」
 マーサルの真剣な表情に、私は照れ隠しに、呆れたように返事をします。

「あれー。そこは感動して『私のことをわかってくれるのはマーお兄さまだけです』となるところじゃないの?」
「ハイハイ、そうね。ありがとう!」
「なんか、感謝の言葉が軽いけど……、まあいいか。それで、お金を貯めるために今日はどうするのかな?」

「今日は、他の場所で違う薬草を採取しながら、狩の練習をしましょう」
「薬草の採取はいいとして、狩の練習?」
「魔獣は無理だとしても、獣くらいなら相手にできると思うの。将来的には魔獣も狩りたいから、段々と慣れていかないと」
「なるほどね。ステップを踏むのは大事だよね!」

「それで、今日もギルドによって情報を確認した後に、武器屋に行きましょう。
 お勧めの武器屋の情報があるのよ」
「お勧めね……」
「何か?」
「いや、なんでも。でも、武器屋で何を買うの? 剣ならあるよ。拝借したものだけど」
「武器だけでなく防具も必要でしょ。それに私の武器も」

「ミハルはナイフを持ってたよね? それに凄い魔法も使えるじゃないか」
「ナイフは獲物を捌く時必要だけど、狩るのには向かないわ。もっとリーチの長い武器か弓が必要ね。それにあの魔法だと獲物が消し炭になってしまうわ」

「なるほどね。でも、やっぱり、狩った獲物を捌かないといけないのか……」
「普通はそうね。でも、マーサルのアイテムボックスなら丸ごと持って帰れるかしら?」
「僕としてはそう願いたいね。動物を捌いたことなんてないからね」
「それは慣れておいた方がいいと思うわよ」
 マーサルは少し嫌そうな顔をしていました。

 その後私たちは黒曜亭の狭いカウンターで朝食を食べ、ミーヤさんにお昼のお弁当をもらってギルドに向かいます。
 ギルドでは掲示板を確認するも、昨日と代わり映えしない内容でした。
 今日は昨日のように男に絡まれることもなく、何事もなく武器屋に向かいました。

 武器屋はギルドのすぐ近所にあり、なんとそこはギルド直営店です。
 武器の販売まで直接行うなんて、流石に王都のギルド本部は規模が違います。
 ギルドの直営店だからこその信頼と安さが売りです。
 上級者には物足りないかもしれませんが、癖がなく扱いやすい物を揃えていますから、初心者には絶対お勧めです!
 ちなみに、王都のギルドでは、薬店も直営しているそうです。

「ミハルのお勧めだから、また穴場なのかと思ったら、今回は随分無難なところを選んだな」
「なによ。何か文句があるわけ!」
「いや、お勧めのレストランがあるからと言って、ファミレスに連れていかれた感じがしているだけだよ」
「なにそれ、いいじゃないファミレス。夢の中で一度行ったけど、ドリンクバー? とかあって最高じゃない!」

「いや、別に悪いと言ってるわけじゃないんだけどね。なんかこう、肩透かしをくらった感じかな?」
「もう。わけわかんないこと言ってないで入るわよ!」

 店の中にはさまざまな武器や防具が陳列せれていました。

「先ずは防具から見ましょうか」
「防具といっても色々あるんだな。僕のイメージしていたのは剣道の防具だったけど」
「それなら、鎧もあるけど。狩向きではないわね」

「このベストは……。防弾チョッキみたいな感じか。僕はこれでいいかな」
「それじゃあ、私はこのワンピース型のにするわ」

 防具は決まったので、次は私の武器です。

「どんな武器にするんだい?」
「そうね。弓か槍かしら?」

「そういえば、美春は弓道と薙刀をやっていたな」
「薙刀って、夢の中にも出てきたけど、あの変わった槍よね?
 こちらの国の物だとグレイブが近いかしら? これね」

 私はグレイブを見つけて手に取ります。
 夢の中で薙刀を習っていたせいでしょうか、なんとなくしっくりきます。
 私はいくつか持ち替えてみて、一番馴染む物を選びます。
 一番小さい物でしたが、それでも私の身長以上はあります。別に、私が小さいせいではありませんよ!

「折角だからこれにするわ」
「弓は見なくていいのか?」
「二つは持てないから、今はこれでいいわ。それに、マーサルがアロー系の魔法が使えるだろうし」

「アロー系?」
「魔法で出す『炎の矢』や『氷の矢』のことよ。狩に使うなら『アイスアロー』が向いているわ」
「そうか。なら練習してみるよ」
「マーサルなら、すぐ使えるようになるわよ(チート野郎だから)」

 防具二つとグレイブで、金貨一枚と銀貨二十枚のところを金貨一枚丁度に値切ります。
 ギルドに勤めていたから、仕入れ原価を知ってますからね。ギリギリまで値切りますよ。

 無事、防具と武器も買えたので、薬草の採取と狩の練習に向かいます。

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