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おしまい(おまけつきです)
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世にも珍しい犬の町長が誕生してから、すこし時間がたちました。
町の人の暮らしは、相変わらずです。
ただ、ちょっとだけ、変わったこともありました。
パン屋さんでは、新しく、モフモフ犬そっくりの形に焼いた、食パンを売り出しました。
パン屋のおじさんいわく、くるりんと上がった巻きしっぽを再現するのに、大変苦労したそうです。
また、喫茶店では、新しく、犬のお口にあわせたハーブティを、入れるようになりました。
モフモフ犬も何度も試し飲みをして、ようやく満足いく味と香りにいたりました。
親方とお弟子さん達は、今まさに、町長公邸をつくっている最中です。
町長公邸というのは、町長のおうちのことです。
もうほとんど完成していて、モフモフ犬のお引っ越しも終わったのですが、親方が急に、屋根に犬の耳の形の飾り窓をつけるんだと言い出したので、そこだけがまだ工事中です。
町長公邸の場所は、もさっとおじさんが通いやすいように、ほら穴のすぐ隣にしました。
町長秘書になったおじさんは、毎朝、町長公邸にやってきて、モフモフ犬といっしょにパンの耳を食べます。
その後、一日のスケジュールの確認です。
「えーっと、今日のお仕事は……なんだっけ?」
もさっとおじさんは相変わらずぼーっとしています。
しかたのないやつだな、と思いながら、モフモフ犬は手帳を咥えると、おじさんに差し出しました。
それを見て、おじさんはスケジュールを確認しました。
「そうだった、町の見回りだ。困りごとを抱えている人がいないか、確かめにいこう」
町の見回りは、モフモフ犬が一番好きなお仕事です。
しっぽをフリフリするモフモフ犬の首に、おじさんが蝶ネクタイを結びました。
「それでは町長、まいりましょう」
おじさんとモフモフ犬は、並んで、玄関へ向かっていきました。
町長公邸の玄関には、一枚の写真が飾ってあります。
モフモフ犬が町長になったときに、町の人みんなで撮った写真です。
写真を撮ったのは、元町長さんです。
モフモフ犬も、もさっとおじさんも、ほかの町の人も、みんな笑顔で写っている、素敵でカンペキな写真です。
町中の笑顔に見送られて、もさっとおじさんとモフモフ犬は、今日も町へ出かけていくのでした。
おしまい。
おまけです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
これをお読みになって、この町に住んでみたいなあって、思ってくれた方は、いらっしゃいますか?
もしいたら、とっても嬉しいです。ぜひ一度、おこしになってください。
ただ、この町は、深い山の奥にあるので、ちょっと道のりがわかりづらいです。
たどり着くには、ガイドさんの道案内があったほうが、よいと思います。
なので、まず、近くにいるガイドさんを見つけてください。
ガイドさんを見つけるヒントを、特別にお教えします。
あなたの身近に、もさっとおじさんに似ている人はいませんか?
不器用で、ぼーっとしていて、力が弱くて、のろまで、おんちな人を探してください。
たぶん、その人が、ガイドさんです。
その人を笑顔にすることができたら、きっと、この町への道のりを教えてくれますよ。
えっ? なんですって? ヒントのお礼は何がいいかって?
いえいえ、それには及びません。
町の外の人に、この町のすばらしさを知ってもらうために、宣伝をすることは、私の大事なお仕事ですから。
あなたがおいでになる日を、楽しみに待っていますね。
それでは、今度こそ、ごきげんよう。
町の人の暮らしは、相変わらずです。
ただ、ちょっとだけ、変わったこともありました。
パン屋さんでは、新しく、モフモフ犬そっくりの形に焼いた、食パンを売り出しました。
パン屋のおじさんいわく、くるりんと上がった巻きしっぽを再現するのに、大変苦労したそうです。
また、喫茶店では、新しく、犬のお口にあわせたハーブティを、入れるようになりました。
モフモフ犬も何度も試し飲みをして、ようやく満足いく味と香りにいたりました。
親方とお弟子さん達は、今まさに、町長公邸をつくっている最中です。
町長公邸というのは、町長のおうちのことです。
もうほとんど完成していて、モフモフ犬のお引っ越しも終わったのですが、親方が急に、屋根に犬の耳の形の飾り窓をつけるんだと言い出したので、そこだけがまだ工事中です。
町長公邸の場所は、もさっとおじさんが通いやすいように、ほら穴のすぐ隣にしました。
町長秘書になったおじさんは、毎朝、町長公邸にやってきて、モフモフ犬といっしょにパンの耳を食べます。
その後、一日のスケジュールの確認です。
「えーっと、今日のお仕事は……なんだっけ?」
もさっとおじさんは相変わらずぼーっとしています。
しかたのないやつだな、と思いながら、モフモフ犬は手帳を咥えると、おじさんに差し出しました。
それを見て、おじさんはスケジュールを確認しました。
「そうだった、町の見回りだ。困りごとを抱えている人がいないか、確かめにいこう」
町の見回りは、モフモフ犬が一番好きなお仕事です。
しっぽをフリフリするモフモフ犬の首に、おじさんが蝶ネクタイを結びました。
「それでは町長、まいりましょう」
おじさんとモフモフ犬は、並んで、玄関へ向かっていきました。
町長公邸の玄関には、一枚の写真が飾ってあります。
モフモフ犬が町長になったときに、町の人みんなで撮った写真です。
写真を撮ったのは、元町長さんです。
モフモフ犬も、もさっとおじさんも、ほかの町の人も、みんな笑顔で写っている、素敵でカンペキな写真です。
町中の笑顔に見送られて、もさっとおじさんとモフモフ犬は、今日も町へ出かけていくのでした。
おしまい。
おまけです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
これをお読みになって、この町に住んでみたいなあって、思ってくれた方は、いらっしゃいますか?
もしいたら、とっても嬉しいです。ぜひ一度、おこしになってください。
ただ、この町は、深い山の奥にあるので、ちょっと道のりがわかりづらいです。
たどり着くには、ガイドさんの道案内があったほうが、よいと思います。
なので、まず、近くにいるガイドさんを見つけてください。
ガイドさんを見つけるヒントを、特別にお教えします。
あなたの身近に、もさっとおじさんに似ている人はいませんか?
不器用で、ぼーっとしていて、力が弱くて、のろまで、おんちな人を探してください。
たぶん、その人が、ガイドさんです。
その人を笑顔にすることができたら、きっと、この町への道のりを教えてくれますよ。
えっ? なんですって? ヒントのお礼は何がいいかって?
いえいえ、それには及びません。
町の外の人に、この町のすばらしさを知ってもらうために、宣伝をすることは、私の大事なお仕事ですから。
あなたがおいでになる日を、楽しみに待っていますね。
それでは、今度こそ、ごきげんよう。
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