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ー11ー 日常生活

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 家に帰って、自分の部屋に上がり込む。
 ベットの上で丸まる。

 何が起こったかはわからなかった。
 何にまきこまれたかもわからなかった。

 ベットに上でみぞおちあたりを服の上から撫でる。何も違和感はない。

 疲れているのだけは確かだったので、そのまま寝た。




 翌朝。

 久留米はいつものように坂道を自転車で駆け降りていた。

 昨日、自分が殺された場所で一回止まる。
 自転車を降りてあたりを見渡すが、そこには不自然なものは何もない。
 ここで昨日、確かに一度殺されかけたはずなのに。血痕も、宇宙人がお兄さんに打ち付けられた時のコンクリートのひび割れも、宇宙人の死体すらも見当たらなかった。宇宙人の死体が目の前でお兄さんとカラスと一緒に消えたのは覚えているが、あれもなんだったのだろう。
 そういえば時間には今日も余裕がないことを思い出した自転車にまたがる。

 居た。
 そこにいたのはカラス。坂道の下に向いている前輪から真っ直ぐ、自転車三台分ぐらいの距離のところに、居た。
「あ」
 と声を出した途端に、カラスは翼を広げて飛び去っていってしまった。にゃーご、どころかカァとも鳴かずに。
「ちょっとまってよ、教えてくれ! 」とカラスに向かって叫ぶ。
「昨日のあれは一体なん...」
 なんだったんだ、と言いかけて思い出す。自分には爆弾が埋め込まれいてうんたらかんたら...昨日のことについて何か喋ったら爆発するよ。昨日のお兄さんの言葉である。真偽は定かではないにせよ、あの生々しい記憶のせいで、夢だと断定することすらできない。
 カラスはもう姿が見えなかった。
 もしかしたら戻ってきてくれるかも、と数秒待った後に遠方から聞こえるチャイムの音を契機に自転車に跨った。

「今日はしっかりと遅刻だぞ久留米ぇ!!!」
 校門に顔を覗かせた瞬間、頭にコツンという痛みを感じる。
 見ると柴センが竹刀を久留米の頭に押し当てていた。
「またぶちましたね」
「うるさいとっとと教室に行けぃ」
 もう一回コツンと叩かれたので自転車をしまって駆け出した。

 飽きねーな、なんて教室に入った瞬間に言われることは分かっていた。
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