16 / 16
明日の約束は永遠に。
しおりを挟む
月日が流れて…
1年後。
相変わらず人通りの多い駅前は沢山の人で賑わっている。
加絵が自殺した事で事件の真相が闇に消えていた事が、明白になった。
加絵が楓子の母親を突き落とした現場に写真を元に調査が行われ、加絵が依頼人として事務所を訪れ最後に連絡をしていた事が判明した。
そして瑠璃がひき逃げされた現場で、加絵がコンビニの駐車場でナンバープレートを外している事も偶然にもコンビニで写真を写した女子高生の写真に写っている証拠が得られた。
加絵の過去を手繰って行き、母親が亡くなる前に加絵が病室に訪れていた事も明白になりその後は防犯カメラの死角を狙い加絵は病院の外へ出て行っている事も判明した。
加絵が関わった複数のホスト達が行くへ不明になっていて、山奥で首をつって発見されたり、海から遺体で発見されたり、何か毒薬でも飲んで自殺して発見されている者が多くいる事も分かった。
警察に自首する前に、加絵と関わっていたホストは山奥でトランクにバラバラ遺体で入れられて発見されている。
犯人死亡の為、判決も下せないままで終わっているが加絵は自分を捨てるものは容赦なく殺してきたようだ。
そうしないと生きて行けなかった…誰も自分を必要としてくれなかった…そんな思いで人格が歪んでしまったのだろう…。
愛斗を騙して結婚しても、心までは手に入れることが出来なかった。
それを埋めるために、お金を使い好き勝手やる事で満たしていた加絵。
空斗を殺そうと忍び込んだ病室で。
恐怖に怯える事を予測していたが、動じる事もなく逆にギュッと抱き着いて来た空斗に、今まで張りつめていた糸がプツンと切れてしまったのだろう…。
自分の本心を見透かされて、ちゃんと自分を見てくれた空斗に「行ってらっしゃい」と言われた事で、加絵は初めて心から愛を感じたのかもしれない。
刑に服して出所できる日が本当に来て、空斗が迎えに来てくれる…そんな現実が訪れれば思い残すことはないと改心した加絵。
死を選んだのは、ずっと人を殺し続けてきた事で疲れてしまったからではないか? と警察では判断されているが、取り調べでは別人のように穏やかだった加絵を思うと、自分の罪に苛まれて死を選んだとも考えられるとも言われている。
死人に口なし…本当の糸は迷宮入りしてしまった…。
事件が終わって1年経過した宗田家では。
「こら、待て! 」
ハイハイをして動き回る2人の赤ちゃんを、礼斗が追いかけている姿が目に入った。
「捕まえたよ」
待ち構えていた空斗が、2人の赤ちゃんを捕まえた。
「ありがとう、空斗」
礼斗と空斗は、赤ちゃんを一人ずつ抱っこした。
もうすぐ小学生になる礼斗と空斗、赤ちゃんを抱っこする姿はとっても優しいお兄ちゃんお顔をしている。
産まれてきた赤ちゃんは、元気な双子の男の子だった。
女の子が欲しいと言っていた愛斗だったが、男の子の双子が産まれてきても大喜びで、産まれたばかりの小さな赤ちゃんを見て感動して泣いていたくらいだった。
名前は楓子と愛斗の一文字ずつをとって、お兄ちゃんには楓太(ふうた)弟には海斗(かいと)と名付けた。
現在7ヶ月を過ぎた楓太と海斗は、元気にハイハイして動き回り、つかまり立ちもするようになり目が離せない日々である。
「あら、有難う」
楓子がやって来て楓太を抱きかかえた。
1年経過した楓子は、前よりもほっそりとなって髪をまた短くショートにしている。
穏やかな表情でメガネはかけていないが、とっても優しいお母さんの顔をしている。
「あら、海斗。またお兄ちゃん達に追いかけられていたの? 」
砂羽がやって来て海斗を抱きかかえた。
砂羽は変わらず若々しいままで、お婆ちゃんには見えない。
礼斗と空斗がしっかりと、楓太と海斗を見ていてくれおかげで穏やかに子育てを楽しんでいる楓子。
砂羽も楽しんで孫の面倒を見ている。
「ただいま」
愛斗と昭夫が仕事から帰って来た。
「おお、楓太ただいま。ご機嫌だな」
楓子が抱っこしている楓太の頬をツンと突いた愛斗。
そして砂羽に抱っこされている海斗に歩み寄って。
「海斗ただいま。いい子にしてたな」
同じようにツンと頬を突いて話しかけた。
6人家族から8人家族になった宗田家は、ますます賑やかになり笑い声が絶えない。
愛斗は女の子が欲しくて、もう一人子供を作りたいと楓子に話したが、楓子も高齢になった事と、子供は数が多ければいいものではなく今いる子供をしっかり育てる事だと楓子が言った。
それにまた双子が産まれたら大変だと判断して、これ以上は子供は作らないと決めた。
周りからは音の子ばかりに恵まれて羨ましいと言われている宗田家である。
宗田ホールディングは、まだ昭夫が社長で頑張っていて、業績はますます上がる一方だ。
法哉の下に養子に行った一也は。
「やった! 町が出来上がったよ、お父さん」
法哉の事はお父さんと呼んで、すっかり仲良くなって、趣味が同じで電車が大好きな一也と法哉は部屋の一室に街をつくり電車を走らせ、まるで1つの町が本当にあるように作り上げた。
こんな光景は普通の家では見ることができない事だ。
今は礼斗と空斗と同じ保育園に通っていて、年長さんになってから久東に苗字が変わった一也だか小学校からは名門私立へ通う事になっている。
将来は法哉と同じ弁護士への道を目指しているようだが、子供の夢は変わりやすいので法哉は見守っている。
法哉にも再婚の話が来ないわけでもないが、一也の為にも再婚はしないと決めている。
彼女らしき人はいるようだが、真相は分からないままだ。
それぞれに道へ進み、それぞれの形で幸せを手に入れた。
5年前に約束された時計台は、今でも待ち合わせの人が多く利用している。
沢山の人が待ち合わせる時計台。
しかし、愛斗と楓子のように5年もかかってその約束が果たされる人はきっといないだろう。
姉が妹に幸せになってほしくて計画した引き合わせが永遠の幸せに繋がった。
5年と言う長い年月、空白の時間を過ごしていた愛斗。
思いを胸に秘めずっと耐えて過ごしていた楓子。
2人の歳の差は5歳あるが、そんなふうには全く見えない。
長い年月を超えて手にした永遠の愛。
今では愛斗の記憶もすっかり戻っているようで安心だ。
それを引き継いだ子供の礼斗と空斗は生まれる前の記憶を持って産まれてきて、全てを知っていたようだ。
詳しい事は語られないままであるが、きっと強い絆で結ばれているに違いない。
この幸せが永遠に続いて、ずっと繋がってゆきますように…。
この物語を作ってくれる子供たちの為にも…。
1年後。
相変わらず人通りの多い駅前は沢山の人で賑わっている。
加絵が自殺した事で事件の真相が闇に消えていた事が、明白になった。
加絵が楓子の母親を突き落とした現場に写真を元に調査が行われ、加絵が依頼人として事務所を訪れ最後に連絡をしていた事が判明した。
そして瑠璃がひき逃げされた現場で、加絵がコンビニの駐車場でナンバープレートを外している事も偶然にもコンビニで写真を写した女子高生の写真に写っている証拠が得られた。
加絵の過去を手繰って行き、母親が亡くなる前に加絵が病室に訪れていた事も明白になりその後は防犯カメラの死角を狙い加絵は病院の外へ出て行っている事も判明した。
加絵が関わった複数のホスト達が行くへ不明になっていて、山奥で首をつって発見されたり、海から遺体で発見されたり、何か毒薬でも飲んで自殺して発見されている者が多くいる事も分かった。
警察に自首する前に、加絵と関わっていたホストは山奥でトランクにバラバラ遺体で入れられて発見されている。
犯人死亡の為、判決も下せないままで終わっているが加絵は自分を捨てるものは容赦なく殺してきたようだ。
そうしないと生きて行けなかった…誰も自分を必要としてくれなかった…そんな思いで人格が歪んでしまったのだろう…。
愛斗を騙して結婚しても、心までは手に入れることが出来なかった。
それを埋めるために、お金を使い好き勝手やる事で満たしていた加絵。
空斗を殺そうと忍び込んだ病室で。
恐怖に怯える事を予測していたが、動じる事もなく逆にギュッと抱き着いて来た空斗に、今まで張りつめていた糸がプツンと切れてしまったのだろう…。
自分の本心を見透かされて、ちゃんと自分を見てくれた空斗に「行ってらっしゃい」と言われた事で、加絵は初めて心から愛を感じたのかもしれない。
刑に服して出所できる日が本当に来て、空斗が迎えに来てくれる…そんな現実が訪れれば思い残すことはないと改心した加絵。
死を選んだのは、ずっと人を殺し続けてきた事で疲れてしまったからではないか? と警察では判断されているが、取り調べでは別人のように穏やかだった加絵を思うと、自分の罪に苛まれて死を選んだとも考えられるとも言われている。
死人に口なし…本当の糸は迷宮入りしてしまった…。
事件が終わって1年経過した宗田家では。
「こら、待て! 」
ハイハイをして動き回る2人の赤ちゃんを、礼斗が追いかけている姿が目に入った。
「捕まえたよ」
待ち構えていた空斗が、2人の赤ちゃんを捕まえた。
「ありがとう、空斗」
礼斗と空斗は、赤ちゃんを一人ずつ抱っこした。
もうすぐ小学生になる礼斗と空斗、赤ちゃんを抱っこする姿はとっても優しいお兄ちゃんお顔をしている。
産まれてきた赤ちゃんは、元気な双子の男の子だった。
女の子が欲しいと言っていた愛斗だったが、男の子の双子が産まれてきても大喜びで、産まれたばかりの小さな赤ちゃんを見て感動して泣いていたくらいだった。
名前は楓子と愛斗の一文字ずつをとって、お兄ちゃんには楓太(ふうた)弟には海斗(かいと)と名付けた。
現在7ヶ月を過ぎた楓太と海斗は、元気にハイハイして動き回り、つかまり立ちもするようになり目が離せない日々である。
「あら、有難う」
楓子がやって来て楓太を抱きかかえた。
1年経過した楓子は、前よりもほっそりとなって髪をまた短くショートにしている。
穏やかな表情でメガネはかけていないが、とっても優しいお母さんの顔をしている。
「あら、海斗。またお兄ちゃん達に追いかけられていたの? 」
砂羽がやって来て海斗を抱きかかえた。
砂羽は変わらず若々しいままで、お婆ちゃんには見えない。
礼斗と空斗がしっかりと、楓太と海斗を見ていてくれおかげで穏やかに子育てを楽しんでいる楓子。
砂羽も楽しんで孫の面倒を見ている。
「ただいま」
愛斗と昭夫が仕事から帰って来た。
「おお、楓太ただいま。ご機嫌だな」
楓子が抱っこしている楓太の頬をツンと突いた愛斗。
そして砂羽に抱っこされている海斗に歩み寄って。
「海斗ただいま。いい子にしてたな」
同じようにツンと頬を突いて話しかけた。
6人家族から8人家族になった宗田家は、ますます賑やかになり笑い声が絶えない。
愛斗は女の子が欲しくて、もう一人子供を作りたいと楓子に話したが、楓子も高齢になった事と、子供は数が多ければいいものではなく今いる子供をしっかり育てる事だと楓子が言った。
それにまた双子が産まれたら大変だと判断して、これ以上は子供は作らないと決めた。
周りからは音の子ばかりに恵まれて羨ましいと言われている宗田家である。
宗田ホールディングは、まだ昭夫が社長で頑張っていて、業績はますます上がる一方だ。
法哉の下に養子に行った一也は。
「やった! 町が出来上がったよ、お父さん」
法哉の事はお父さんと呼んで、すっかり仲良くなって、趣味が同じで電車が大好きな一也と法哉は部屋の一室に街をつくり電車を走らせ、まるで1つの町が本当にあるように作り上げた。
こんな光景は普通の家では見ることができない事だ。
今は礼斗と空斗と同じ保育園に通っていて、年長さんになってから久東に苗字が変わった一也だか小学校からは名門私立へ通う事になっている。
将来は法哉と同じ弁護士への道を目指しているようだが、子供の夢は変わりやすいので法哉は見守っている。
法哉にも再婚の話が来ないわけでもないが、一也の為にも再婚はしないと決めている。
彼女らしき人はいるようだが、真相は分からないままだ。
それぞれに道へ進み、それぞれの形で幸せを手に入れた。
5年前に約束された時計台は、今でも待ち合わせの人が多く利用している。
沢山の人が待ち合わせる時計台。
しかし、愛斗と楓子のように5年もかかってその約束が果たされる人はきっといないだろう。
姉が妹に幸せになってほしくて計画した引き合わせが永遠の幸せに繋がった。
5年と言う長い年月、空白の時間を過ごしていた愛斗。
思いを胸に秘めずっと耐えて過ごしていた楓子。
2人の歳の差は5歳あるが、そんなふうには全く見えない。
長い年月を超えて手にした永遠の愛。
今では愛斗の記憶もすっかり戻っているようで安心だ。
それを引き継いだ子供の礼斗と空斗は生まれる前の記憶を持って産まれてきて、全てを知っていたようだ。
詳しい事は語られないままであるが、きっと強い絆で結ばれているに違いない。
この幸せが永遠に続いて、ずっと繋がってゆきますように…。
この物語を作ってくれる子供たちの為にも…。
0
お気に入りに追加
16
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
【完結】伯爵の愛は狂い咲く
白雨 音
恋愛
十八歳になったアリシアは、兄の友人男爵子息のエリックに告白され、婚約した。
実家の商家を手伝い、友人にも恵まれ、アリシアの人生は充実し、順風満帆だった。
だが、町のカーニバルの夜、それを脅かす出来事が起こった。
仮面の男が「見つけた、エリーズ!」と、アリシアに熱く口付けたのだ!
そこから、アリシアの運命の歯車は狂い始めていく。
両親からエリックとの婚約を解消し、年の離れた伯爵に嫁ぐ様に勧められてしまう。
「結婚は愛した人とします!」と抗うアリシアだが、運命は彼女を嘲笑い、
その渦に巻き込んでいくのだった…
アリシアを恋人の生まれ変わりと信じる伯爵の執愛。
異世界恋愛、短編:本編(アリシア視点)前日譚(ユーグ視点)
《完結しました》
【R18・完結】蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない〜
花室 芽苳
恋愛
契約結婚しませんか?貴方は確かにそう言ったのに。気付けば貴方の冷たい瞳に炎が宿ってー?ねえ、これは大人の恋なんですか?
どこにいても誰といても冷静沈着。
二階堂 柚瑠木《にかいどう ゆるぎ》は二階堂財閥の御曹司
そんな彼が契約結婚の相手として選んだのは
十条コーポレーションのお嬢様
十条 月菜《じゅうじょう つきな》
真面目で努力家の月菜は、そんな柚瑠木の申し出を受ける。
「契約結婚でも、私は柚瑠木さんの妻として頑張ります!」
「余計な事はしなくていい、貴女はお飾りの妻に過ぎないんですから」
しかし、挫けず頑張る月菜の姿に柚瑠木は徐々に心を動かされて――――?
冷徹御曹司 二階堂 柚瑠木 185㎝ 33歳
努力家妻 十条 月菜 150㎝ 24歳
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる