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穢れた国
パジェット司祭の話
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私達は大きなテーブルを囲んで座り込んだ。
リマとファッジが手分けしてお茶を入れてくれる。
水は清浄だったと思う。ロキがここで暮らし続ける為に守りたいと思う理由はちゃんとした理由みたいだった。
まず、パジェット司祭に起きた事を話してもらう事にした。
「私は儀式の場からすぐに城へ報告にあがりました。」
パジェット司祭は城に上がり、ブランディールに神子が下賜された事、イェオリの新成人にブランディールの紋章の入った物が与えられた事を報告した。
その事をラグーの王様は深刻に受け止めたそうだ。
「全てを神子様と守護者に委ね、国ごと全部差し出そうとしたのが国王陛下です。
一方でセドリックは神子様と守護者をラグーに囲う事でこの国の安泰を図ろうと考えました。」
対立した王と王太子の説得を任されたのがミレペダ公爵だった。
この国の浄化に関する事は長らくこのミレペダ公爵家が担ってきたからだ。
「ミレペダ公爵に、私は、セドリック王子を説得する為にもう少し詳しく儀式の様子を知りたいからと言われ、皇妃様の邸に連れて行かれました。
そしてそのまま捕えられて牢に入る事になりました。
少なくてもミレペダ公爵は王の意向に沿う気はないのだと思います。
…抗ってもいつかは神子様の前に全てを委ねなければならないというのに。…愚かな事です。
直ぐにここにいる事を誰かに知らせたかったのですが、食事を運んでくる者も見張っている者も長く陽の当たるところには出てはいないのだと聞かされました。
彼女らからここで何が行われているかを聞かされました。
ええ、元々噂はあったんです。
因子検査を受けた者の幾人かが城に上がったまま戻らないと、家族が教会に訴えて来ていたんです。
こんなところでこんな事をさせられていただなんて…。
信じられません。
何をさせられる訳でもなく、ただ牢に留め置かれていましたが、ある日隣の牢にセドリック王子が入れられていると知りました。
セドリック王子の懺悔を聞いて、私が長らく懸念していた事を聞き、おそらくこの国で行われている事が何かわかったような気がします。」
セドリック王子は初めのうちは落ち込み、ある時から希望を抱き、なんとか牢を出ようとして抗った。
ところがある日突然何も出来なくなったらしい。
「…突然、何も?」
レオが聞くと、
はい、とパジェット司祭は答えた。
2人を隔てている石の壁は音だけはとても良く通したらしい。
しかし話し掛けても返事はなく、何か動くような気配もなく、ただ時折呻く声が聞こえるくらいになった。
「今日初めて牢を出されました。
隣を覗いたのですが、横になっている背姿だけは見ました。」
「ロキが…ここの者が禍にやられたと言っていた。
おそらく王族に多い神の息吹の因子持ちだったのだろう。
感情の揺れも命取りだと言っていた。
後悔や失望、そう言った事がさらに禍を寄せ集めたのかもしれない。」
レオがそう伝えると、パジェット司祭は悔しそうに唇を噛んだ。
「…何が謀反だ。この国を一番に考えて憂いていたのはセドリック王子なのに…。」
パジェット司祭の言葉にレオが噛み付いた。
「サキカを、神子を危険に晒しておきながら、この国を一番に考えていると言うのか!!」
パジェット司祭を睨みながら立ち上がる。
放っておくとそのまま司祭を掴みに行きかねない勢いだった。
「レオ!落ち着いて!」
「レオ、落ち着きなさい。」
教授がレオを押し留め、私はレオの腕を引っ張って再び椅子に座るように促した。
「感情的になってはいけない。レオだって王族の血が流れている。」
教授の説得に私もレオもハッとさせられる。
…そうだ。ブランディールの王子の血を引くレオ、レオに神の息吹の因子があってもおかしくはない。
リマとファッジが手分けしてお茶を入れてくれる。
水は清浄だったと思う。ロキがここで暮らし続ける為に守りたいと思う理由はちゃんとした理由みたいだった。
まず、パジェット司祭に起きた事を話してもらう事にした。
「私は儀式の場からすぐに城へ報告にあがりました。」
パジェット司祭は城に上がり、ブランディールに神子が下賜された事、イェオリの新成人にブランディールの紋章の入った物が与えられた事を報告した。
その事をラグーの王様は深刻に受け止めたそうだ。
「全てを神子様と守護者に委ね、国ごと全部差し出そうとしたのが国王陛下です。
一方でセドリックは神子様と守護者をラグーに囲う事でこの国の安泰を図ろうと考えました。」
対立した王と王太子の説得を任されたのがミレペダ公爵だった。
この国の浄化に関する事は長らくこのミレペダ公爵家が担ってきたからだ。
「ミレペダ公爵に、私は、セドリック王子を説得する為にもう少し詳しく儀式の様子を知りたいからと言われ、皇妃様の邸に連れて行かれました。
そしてそのまま捕えられて牢に入る事になりました。
少なくてもミレペダ公爵は王の意向に沿う気はないのだと思います。
…抗ってもいつかは神子様の前に全てを委ねなければならないというのに。…愚かな事です。
直ぐにここにいる事を誰かに知らせたかったのですが、食事を運んでくる者も見張っている者も長く陽の当たるところには出てはいないのだと聞かされました。
彼女らからここで何が行われているかを聞かされました。
ええ、元々噂はあったんです。
因子検査を受けた者の幾人かが城に上がったまま戻らないと、家族が教会に訴えて来ていたんです。
こんなところでこんな事をさせられていただなんて…。
信じられません。
何をさせられる訳でもなく、ただ牢に留め置かれていましたが、ある日隣の牢にセドリック王子が入れられていると知りました。
セドリック王子の懺悔を聞いて、私が長らく懸念していた事を聞き、おそらくこの国で行われている事が何かわかったような気がします。」
セドリック王子は初めのうちは落ち込み、ある時から希望を抱き、なんとか牢を出ようとして抗った。
ところがある日突然何も出来なくなったらしい。
「…突然、何も?」
レオが聞くと、
はい、とパジェット司祭は答えた。
2人を隔てている石の壁は音だけはとても良く通したらしい。
しかし話し掛けても返事はなく、何か動くような気配もなく、ただ時折呻く声が聞こえるくらいになった。
「今日初めて牢を出されました。
隣を覗いたのですが、横になっている背姿だけは見ました。」
「ロキが…ここの者が禍にやられたと言っていた。
おそらく王族に多い神の息吹の因子持ちだったのだろう。
感情の揺れも命取りだと言っていた。
後悔や失望、そう言った事がさらに禍を寄せ集めたのかもしれない。」
レオがそう伝えると、パジェット司祭は悔しそうに唇を噛んだ。
「…何が謀反だ。この国を一番に考えて憂いていたのはセドリック王子なのに…。」
パジェット司祭の言葉にレオが噛み付いた。
「サキカを、神子を危険に晒しておきながら、この国を一番に考えていると言うのか!!」
パジェット司祭を睨みながら立ち上がる。
放っておくとそのまま司祭を掴みに行きかねない勢いだった。
「レオ!落ち着いて!」
「レオ、落ち着きなさい。」
教授がレオを押し留め、私はレオの腕を引っ張って再び椅子に座るように促した。
「感情的になってはいけない。レオだって王族の血が流れている。」
教授の説得に私もレオもハッとさせられる。
…そうだ。ブランディールの王子の血を引くレオ、レオに神の息吹の因子があってもおかしくはない。
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