亡国の王子に下賜された神子

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穢れた国

イェオリの兵士

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レオ達を見送ったアレンディオ達も直ぐに別邸を後にした。

舟を使って来たけれど、ミアという女性の話を聞いてしまったから、舟に乗る事は躊躇われた。

そんな時に別邸にやって来たのが、レオ達がサッカランで乗り捨てた馬車であった。
御者のマティは直ぐに戻ってくると思っていたレオ達がいく日も戻って来ない事を不安に感じ、ブランの網を通してブラン達と連絡を取り合っていた。

「どうぞ私を存分にお使いになってください。」
とマティはアレンディオに膝をついた。
「助かった、よろしく頼む。」
と声をかけると
「勿体ないお言葉でございます。」
と恐縮する、忠義を感じさせる男だった。

「マティもブランの家のものなのか?」
と聞くと違うと答える。
聞くとイェオリの兵士だと言う。
神子の旅立ちに際して父王が付けた兼護衛でもあったらしい。

「すまない。」
自分の国のために命を掛けている者の顔すら知らなかった事をアレンディオは素直に詫びた。
「そういう部隊なので、当然の事でございます。」
とマティはソツがない返事をして見せた。

サミーと馬車に乗り込み、ラグーの城へと帰った。

舟で出て行ったのに、馬車で戻ったことを城の衛兵が訝しげに見つめるが、知ったことではない。
それが当然だと言いたげにひと睨みして門を通り抜ける。

人目を避けるように城の中を歩き、充てがわれている居室へと入った。

「ダレン、いるか?」
「はい、こちらに。」

アレンディオは、将来自分の補佐官になるダレンを呼び出した。
「ブランに知らせは?」
「はい、恙ななく。」
「ルキアとローザンとキリーネの使者は?」
「…控えております。」

うん、と頷いて、同盟を結んでいる3カ国の使者が待機する部屋に入った。

「いかがだったかな?」
キリーネの外務大臣のエンポーリアが和かに迎えてくれる。
「…人払いを。」
うむ、とそれぞれの使者が追従していた者を部屋から追い払った。
残ったのはキリーネのエンポーリア、ルキアの王弟殿下、ローザンの王、俺とサミュエルだけになった。

人払いといっても扉一枚隔てたところで、彼らは今度は他者に聞かれないように警護を固めてくれているだろう。

皆が座っているソファーの反対側にスツールを持ってきて座り込んだ。

「神子はレオと合流した。」
そう伝えると皆が安堵した様子を隠さずに見せた。
「で、神子は?」
「坑道に入った。」
「坑道…とは。何故に?」

坑道で何が行われているか、アレンは皆に説明をし始める。




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