亡国の王子に下賜された神子

枝豆

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穢れた国

偶然の出会い

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最初に乗った船は大きい船だったし、おそらくは王室所有の船だった。
だけど遡るにつれて、川は細く浅くなり、流れは速くなる。

「ここからは違う船に乗り換える。」
船を乗り換える支度をする間、私達は小さな家に入れられた。

「ここは?」
「船を乗り換える間の待機場ですね、また雨などで船が出せない時にも使います。」
と教授が教えてくれる。

待合室らしき場所はセドリック王子の一行だけではなく、他の旅人達も使っているらしい。
私達が逃げられないように、セドリック王子は教授の資料が詰まった鞄を取り上げて、さらに私達の靴も奪っている。

「セドリック王子、温泉採掘担当のゼブル侯爵が目通りしたいと控えておりますが。」
侍従のその一言に敏感に反応したのが教授だった。
「温泉採掘の予定があるのですか?」
「ああ、ある。ツイントの温泉のような禍を払える施設を民が望んでいる。」

温泉発掘の視察団だ!
サリーさんの「ワガママで横柄」な人達の事を思い出す。

「今はダメだ!神子と共にいるのに、社交をしている暇はない。」
「あら、会いたいわ、私。」
「…何故だ?」
「知らないの?私がいた世界の私が住んでいた国は温泉がいっぱいあるのよ。
ツイントの温泉は素敵だったわ。ラグーにも出来るの?楽しみにしてもいい?」

…っいたい!だから教授、肘で突かなくてもわかるから!
ジョージアさんの息子が同行している調査団かもしれない!

「…仕方ない、通せ。」
やった!と思ったけれど、
「お前たちはとりあえず控えていろ。」
とセドリック王子は私達を違う部屋に下げてしまった。

「…残念。もしかしたらオソロさんもいたかもしれないのに。」
「大丈夫です、これで良いんですよサキカ。オソロは平民です、王子の面前に現れるとは思えません。
ただですね、きっとセドリックは「神子の為にきちんとしたものを作れ!」等言うでしょう。
それがオソロに伝われば良いのです。」

ラグーの王子と神子が一緒にいる、それを見逃すブランはいないのだと教授は言う。

「ブランには独自の情報網があります。ブランの網、聞いた事ないですか?」
「うーん、あったような、無かったような。」
「イェオリのブランに神子が下賜された、この事を知らないブランはいません。
この事の重要さもこの事で起きるであろう事も皆が共有しているはずです。
大丈夫、必ずジョージアに伝わります。ジョージアからブラン男爵の耳にはいるのも直ぐです。」

そんなに上手くいくかなぁ?と思ったのが顔に出たらしい。

「まだブランの力を信じてませんね?」
「そうじゃないですけど…。」

ブランの網とやらでレオのお父様にこの話が伝わって、それでなんとかなる…のかなぁ、って。
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