亡国の王子に下賜された神子

枝豆

文字の大きさ
上 下
32 / 152
王都ヨーシャー

副作用

しおりを挟む
セルフェス宰相様の邸はこじんまりとしたタウンハウスだった。
ここは、穢れを祓ってもらうために帝都へとやってきたイェオリ人達が滞在するためにあるお屋敷らしい。

私達がお屋敷に着いた時、既に私には副作用が出始めた。
とにかく寒気が凄い。ひたすらに寒い。
私は寒くて寒くてガタガタブルブルと震えていた。

私達の滞在を知って朝から張り切って準備をしてくれていたお屋敷の使用人達は、あまりにも想像とかけ離れた私の登場に酷く驚き、そして慌てた。

瞬く間に湯浴みの準備が整い、私はリマに浴槽にぶち込まれた。
どんなに湯の温度をあげても、冷たい寒いと言い続ける私に狂気すら感じ、リマはレオに助けを求めた。

レオに抱え上げられてベッドに運び込まれる。
人払いをして2人で毛布に包まった。
少しでも直に触れていた方がいいとのマリー様の言葉に従い、アルも私も下着だけを残し、ほぼ裸になった。

まだ高校生だった私にそのような経験はなかったけれど、恥ずかしいとか貞操がとかそんな事を考えられる余裕は私にはなかった。

ただレオの体温の熱を求め、レオにしがみ付く。レオに触れているところだけがほんのりと温かさを感じるから。
レオが惜しみなく温かみを、与え続けてくれる。
レオが触れてくれるだけで、体が楽になる。どんな感情よりも楽になりたい気持ちが勝ってしまった。

私もあんまり皇后達の事を悪くは言えないのかもしれない。
もしそういうことに抵抗が無ければ、どんどんと求めていったに違いない。

もっともっと、と駄々っ子のようにレオにしがみついた。
胸と胸とをくっつけて、頬と頬をくっつける。
腕も足も絡み付いている。

足りない。足りない。
寒い。寒い。

うわ言のように繰り返す私の言葉を受けて、レオがキスをしてくれた。とはいっても口じゃない、唇が首筋に当てられた。

ドクン!と身体が跳ね上がった。
熱いものが身体に染み渡っていく。

ああ。

私の身体はキスをされた首筋からゆっくりとゆっくりと温められていった。

…ふふっ、くすぐったいよ。
身体が温まって、レオが触れてくれる場所にくすぐったさを感じ始める頃、私はスッっと眠りに落ちた…らしい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

ヒューストン家の惨劇とその後の顛末

よもぎ
恋愛
照れ隠しで婚約者を罵倒しまくるクソ野郎が実際結婚までいった、その後のお話。

いや、あんたらアホでしょ

青太郎
恋愛
約束は3年。 3年経ったら離縁する手筈だったのに… 彼らはそれを忘れてしまったのだろうか。 全7話程の短編です。

処理中です...