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球技大会
異変
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「沼田さん、顔赤くない?」
最初に気付いたのは菜々子ちゃんだった。
「…具合悪い?」
合間にお弁当を食べていて、みんなが食べ終わる頃なのに、沼田さんは殆ど手をつけてなかった。
「ちょっとゴメン。」
日野さんが沼田さんのおでこを触る。
「…熱、あるじゃん。」
慌ててみんなで保健室に連れて行くと、
「38度2分。早退だね。」
と養護の先生からの指示が出る。
「市販薬持ってる?」
沼田さんは生理痛用の鎮痛剤なら持っているというので、それを飲んでもらってお迎えを待つ事になった。
「ごめんなさい…。」
「大丈夫。無理しない。そんな体調で試合してケガとかしたらもっと大変。」
「そうだよ、身体のほうが大事。」
ゆっくり休んでね、と保健室を後にした。
「誰か入れなきゃ。」
「バスケの子?」
バスケは決勝には進んでない。
力を入れたバレーは決勝に残っている。
「とりあえず優に相談。」
「そうだね。」
女子のチームリーダーは優ちゃん。
優ちゃんがどうするか決めるだろう。
「あっ、じゃあ私出るよ。」
相談したら優ちゃんはあっさりと自分が出る事を決めた。
「バレーは?」
「バレーも出るよ。重なったら絵里かな。」
優ちゃんが出てくれるなら安心出来る。
一緒に出来るのもなんか嬉しいし。
「頼もしい、さすが優ちゃん。」
「だってスポーツしか出来ないもん。」
でもそれば後々を考えたら、間違いだったのかもしれない。
決勝1戦目、2Cにはなんとか勝てた。ずっと一緒に練習してたからお互いに手の内はなんとなくわかってて。だけどこっちは優ちゃんが戦略の雰囲気が大きく変わってて…。
C組はびっくりしたみたいだった。
棚からぼた餅とはまさにこの事。
もしかしたら学年の総合優勝も取れるかも。
そして最終戦、相手は3B、バスケ部の先輩が4人もいた。
流石に日野さんも松本さんも苦労してる。
優ちゃんが一生懸命に走って、なんとか相手の攻撃を阻止しようとしてるけど。
予選リーグとは違い、容赦なくシュートがコッチに向かって飛んでくる。
なんとか止めようとしたけれど、あっという間に3点も取られた。
そして指示が変わったの。
「翠、手を開いておいて。」って。
そんな指示が優ちゃんから出た。
えっ?でも…。
「良いから、開いてて。」
あっ、…うん。
富田くんの
「使い分けてもいいかも。」
という言葉が過ぎった。
そっか、使い分けたら良いんだ。
そう思っちゃった。
あっ、来る!
この先輩の放つシュートは一番力が強い。
そしてコースが少し高め。
香川くんが教えてくれた足元低めじゃなくて、ゴールの上端を狙っていた。
だから優ちゃんの指示は間違いじゃない。
伸び上がらないと止められないんだから。
来る!と思った途端、ボールは真横にパスされた。
そこにすかさず違う人が飛び込んでくる。
えっ?
まるでバレーのアタックみたいに、バスケのダンクシュートみたいに、そのままボールを掴んでシュートが来る。
あっ!間に合わない!
慌てて手を出しちゃった。
絶対ダメだと言われたパーの手のまま。
バシッ!
っう、いたっ!
ボールは左手の薬指に当たって、そのままゴールに突き刺さった。
最初に気付いたのは菜々子ちゃんだった。
「…具合悪い?」
合間にお弁当を食べていて、みんなが食べ終わる頃なのに、沼田さんは殆ど手をつけてなかった。
「ちょっとゴメン。」
日野さんが沼田さんのおでこを触る。
「…熱、あるじゃん。」
慌ててみんなで保健室に連れて行くと、
「38度2分。早退だね。」
と養護の先生からの指示が出る。
「市販薬持ってる?」
沼田さんは生理痛用の鎮痛剤なら持っているというので、それを飲んでもらってお迎えを待つ事になった。
「ごめんなさい…。」
「大丈夫。無理しない。そんな体調で試合してケガとかしたらもっと大変。」
「そうだよ、身体のほうが大事。」
ゆっくり休んでね、と保健室を後にした。
「誰か入れなきゃ。」
「バスケの子?」
バスケは決勝には進んでない。
力を入れたバレーは決勝に残っている。
「とりあえず優に相談。」
「そうだね。」
女子のチームリーダーは優ちゃん。
優ちゃんがどうするか決めるだろう。
「あっ、じゃあ私出るよ。」
相談したら優ちゃんはあっさりと自分が出る事を決めた。
「バレーは?」
「バレーも出るよ。重なったら絵里かな。」
優ちゃんが出てくれるなら安心出来る。
一緒に出来るのもなんか嬉しいし。
「頼もしい、さすが優ちゃん。」
「だってスポーツしか出来ないもん。」
でもそれば後々を考えたら、間違いだったのかもしれない。
決勝1戦目、2Cにはなんとか勝てた。ずっと一緒に練習してたからお互いに手の内はなんとなくわかってて。だけどこっちは優ちゃんが戦略の雰囲気が大きく変わってて…。
C組はびっくりしたみたいだった。
棚からぼた餅とはまさにこの事。
もしかしたら学年の総合優勝も取れるかも。
そして最終戦、相手は3B、バスケ部の先輩が4人もいた。
流石に日野さんも松本さんも苦労してる。
優ちゃんが一生懸命に走って、なんとか相手の攻撃を阻止しようとしてるけど。
予選リーグとは違い、容赦なくシュートがコッチに向かって飛んでくる。
なんとか止めようとしたけれど、あっという間に3点も取られた。
そして指示が変わったの。
「翠、手を開いておいて。」って。
そんな指示が優ちゃんから出た。
えっ?でも…。
「良いから、開いてて。」
あっ、…うん。
富田くんの
「使い分けてもいいかも。」
という言葉が過ぎった。
そっか、使い分けたら良いんだ。
そう思っちゃった。
あっ、来る!
この先輩の放つシュートは一番力が強い。
そしてコースが少し高め。
香川くんが教えてくれた足元低めじゃなくて、ゴールの上端を狙っていた。
だから優ちゃんの指示は間違いじゃない。
伸び上がらないと止められないんだから。
来る!と思った途端、ボールは真横にパスされた。
そこにすかさず違う人が飛び込んでくる。
えっ?
まるでバレーのアタックみたいに、バスケのダンクシュートみたいに、そのままボールを掴んでシュートが来る。
あっ!間に合わない!
慌てて手を出しちゃった。
絶対ダメだと言われたパーの手のまま。
バシッ!
っう、いたっ!
ボールは左手の薬指に当たって、そのままゴールに突き刺さった。
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