若松2D協奏曲

枝豆

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文化祭 準備

準備の日

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今日の午後と明日の1日、学校は文化祭準備に入る。

吹部の通しリハは明日の午後だけ。
これは顧問からの温情で、少しはクラスに入れるように…って。

「だったら当日も少し時間くれても良くない?」
中野さんが原版を持ち上げながら、愚痴っている。

インクが乗ったバッグを乾かすために私が後ろへと運ぶ。
空いた場所に西さんが次のバッグを載せていく。
そして中野さんがまた原版を載せるのだ。

今日印刷して、乾いたらアイロンを掛ける。
そうするとインクが布に定着して、洗濯しても落ちなくなるんだって。

「もう、喋ってないで、手動かしな!」
優ちゃんが中野さんを嗜める。

「…あー、私も売り子したい!」
と中野さんが叫んだ。

「すりゃあ良いじゃん。」
優ちゃんと組んでいた北斗くんがサラッと言う。

えっ?
えっ?
えっ?

驚いてボカンと北斗くんを見た私達を見て、北斗くんの方がびっくりしてる。

「えっ?何?俺、変な事言った?」
「…当番入ってない…よ。?」

そんなの関係ない、と北斗くんが言う。
「来たい時に来て、5分でも10分でもいたいだけいりゃあ良いじゃん。」

「…いいの?」
「えっ?ダメなの?そんな時間も無いの?」

「お金とチケットを交換するところはちゃんと居る人じゃないとダメだけど、呼び込みとか売り子なら、1人2人増えても変わんないし。
あっ、吹部のジャケット着てバッグ持って校内歩いてくれたら、良い宣伝になるよ。」

「北斗!」
優ちゃんの怖い声が飛ぶ。
ビクンっ!と肩を竦める北斗くん。
「手、止まってる!」
「…ゴメン。」
2人の力関係分かり過ぎる、とみんなが笑っている。

「でも、北斗の言う通りだよ。来たい時においでよ。」
と優ちゃんが言ってくれたのが、嬉しかった。


疾風くんと皇子くんはディスプレイ用の棚を一生懸命に作っている。
ベニヤ板に色を塗って、そこにロープとフックで袋の絵が歩いている人にもよく見えるように吊るす。

「翠!」
皇子くんに呼ばれる。
「ここ、なんか書いて。」
皇子くんに指示されたのは、ちょうどフックに掛けた袋で見えなくなるところ。
「売り切れたら、見えるように。」

うふふ。去年を思い出すね、と3人で笑ってしまう。


嶋田さんの取材は実行委員の2人と、寄付の発案者の富田くんが受けている。

富田くんは最初のホームルームで、その方が企画が通りやすい、って言っていたけれど、実際はちょっと違っていた。

それは、磯山学園に行った時に、みんなにバレた。
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