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文化祭 準備
みんなの才能
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書き上げた楽譜のイラストを花音ちゃんに見せたら、良い良い!と喜んでくれた。
「こんなに細かいの、大丈夫?」
シルクスクリーンと聞いていたから、心配になる。
「うん、大丈夫。そこは機械が頑張るから。」
美術部の備品に製版用の機械があって、コピーして機械に通せば製版してくれるんだって。
だから用意するのは専用の用紙だけ。
「なあ、これ使える?」
ボソッと話しかけてきたのは富田くんで、手には1枚の紙を持っている。
「わあ、凄い!これ電車、もしかして…。」
細かく線画で書かれていたのは、電車の絵。
特徴的な横線が入った車体で、磯山駅がある南洲線を思わせる。
「いいと思う。電車好きには堪らない。」
「著作権はクリアすると思う。手書きだし、南州線を擬えたのは横のラインだけだから。」
…?
「こことか、ここ。南洲線には無い型だから。」
…?
よくわからないけれど、電車の上にあるパンタグラフの形とか、ドアの形とかが、実際の南洲線とは違う…らしい。
「もしかして富田くん電車好き?」と聞いたら
「…もしかしなくても、それしかないでしょ。」
と花音ちゃんにツッコミを入れられる。
「ああ、好きだよ。電車しか描けない。」
「いや、これだけ描けたら十分凄いよ。」
他にも可愛いネコちゃんの絵とか、ポップなロボットとか、色々な絵柄がどんどんと寄せられて…。
「うわ、私書く必要ないじゃん。」
と花音ちゃんが嬉しい悲鳴をあげた。
「これだけあれば、どれかひとつは好みなのが見つかりそう。」
みんながワイワイと集まってきて、これが好き、これ欲しい、と言い合っている。
「3枚…いや9枚買うかも…。」
「うん、全部欲しい。」
「セット販売、良いかも。」
「そしたら先生とうちらだけで結構売っちゃうんじゃない?」
楽しそうなみんなを見て、私も嬉しくなってくる。
チョンチョンっと花音ちゃんの制服の裾野を引っ張って
「ありがとう。」
とお礼を言った。
当日は何にも出来ないから、こうやってみんなと思い出作れるの、嬉しい。
そう伝えると、花音ちゃんが
「イヤイヤ、こちらこそだよ。私がやりたい事、みんなが協力してくれて、しかも楽しんでくれる。最高!」
と言ってくれる。
「さあ、菜々子ちゃん!あなたに全てが掛かっている!」
放課後、実行委員と生徒会と先生とで、企画会議がある。
プレゼンをして、オッケーが出れば、予算が貰える。
「ううっー。重圧掛けないで。」
「大丈夫だよ」
「そうそう、なんとかなるって。」
「原田も言ってたじゃん、もう後戻り出来ないじゃん、って。」
「頑張れ!」
と菜々子ちゃんと須藤くんを送り出した。
「こんなに細かいの、大丈夫?」
シルクスクリーンと聞いていたから、心配になる。
「うん、大丈夫。そこは機械が頑張るから。」
美術部の備品に製版用の機械があって、コピーして機械に通せば製版してくれるんだって。
だから用意するのは専用の用紙だけ。
「なあ、これ使える?」
ボソッと話しかけてきたのは富田くんで、手には1枚の紙を持っている。
「わあ、凄い!これ電車、もしかして…。」
細かく線画で書かれていたのは、電車の絵。
特徴的な横線が入った車体で、磯山駅がある南洲線を思わせる。
「いいと思う。電車好きには堪らない。」
「著作権はクリアすると思う。手書きだし、南州線を擬えたのは横のラインだけだから。」
…?
「こことか、ここ。南洲線には無い型だから。」
…?
よくわからないけれど、電車の上にあるパンタグラフの形とか、ドアの形とかが、実際の南洲線とは違う…らしい。
「もしかして富田くん電車好き?」と聞いたら
「…もしかしなくても、それしかないでしょ。」
と花音ちゃんにツッコミを入れられる。
「ああ、好きだよ。電車しか描けない。」
「いや、これだけ描けたら十分凄いよ。」
他にも可愛いネコちゃんの絵とか、ポップなロボットとか、色々な絵柄がどんどんと寄せられて…。
「うわ、私書く必要ないじゃん。」
と花音ちゃんが嬉しい悲鳴をあげた。
「これだけあれば、どれかひとつは好みなのが見つかりそう。」
みんながワイワイと集まってきて、これが好き、これ欲しい、と言い合っている。
「3枚…いや9枚買うかも…。」
「うん、全部欲しい。」
「セット販売、良いかも。」
「そしたら先生とうちらだけで結構売っちゃうんじゃない?」
楽しそうなみんなを見て、私も嬉しくなってくる。
チョンチョンっと花音ちゃんの制服の裾野を引っ張って
「ありがとう。」
とお礼を言った。
当日は何にも出来ないから、こうやってみんなと思い出作れるの、嬉しい。
そう伝えると、花音ちゃんが
「イヤイヤ、こちらこそだよ。私がやりたい事、みんなが協力してくれて、しかも楽しんでくれる。最高!」
と言ってくれる。
「さあ、菜々子ちゃん!あなたに全てが掛かっている!」
放課後、実行委員と生徒会と先生とで、企画会議がある。
プレゼンをして、オッケーが出れば、予算が貰える。
「ううっー。重圧掛けないで。」
「大丈夫だよ」
「そうそう、なんとかなるって。」
「原田も言ってたじゃん、もう後戻り出来ないじゃん、って。」
「頑張れ!」
と菜々子ちゃんと須藤くんを送り出した。
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