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置き去りにしたもの
説明 疾風視点
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翠は戻ってこない。
皇もだ。
多分翠は学校に戻った、絵里に会うために。
「何があったの?」
優と花音が心配そうに聞いてくる。
この2人と北斗は事情を知らない。
自分から話して良いかわからない。しかしコイツらの協力なしに翠を守れない。
「少し話せるか?」
とロビーのソファーに腰掛けた。
「少し長くなる。」
前置きをして、去年の話をする。
クラスのリーダーだった絵里がいきなり翠を遠ざけた事。
ほぼ同時に始まった翠への嫌がらせ。
それが終わったのが、絵里が留学したタイミングだった事。
「俺と皇、クミ達は嫌がらせがイジメにならないように、絵里を牽制した。翠をなるべく1人にしないように誰かが側にいるようにしてた。」
「翠はなんて?」
「理由はわかってるようだったけれど、話してはくれなかった。
私が悪いの一点張りで。仲直りの切っ掛けを探してたけれど、絵里はずっと翠を遠ざけ続けていた。」
優達は黙って聞いている。
「さっきクミからメッセージが来た。今絵里は学校にいるらしい。
多分翠は絵里に会いに学校に戻って、皇がそれを追いかけた。」
「だからさっき交換留学生の復学時期の話をしたのね。」
うん、と、頷いた。
黙って聞いていた優が
「なんからしくない…な。」
と言い出した。
「翠が絵里ちゃんと話したいんでしょ?
話をさせてあげたら良いんじゃないの?」
「それじゃ翠が傷付く。」
「良いんじゃないの、傷付いたって。」
「それじゃ翠が可哀想だ。」
「翠は大丈夫。中野の時だってそうだったじゃない。」
「もし絵里ちゃんとやらに玉砕しても私達がいるんだから。もし悪意で翠を傷付けるなら私たちが守ればいい。」
「だから俺たちは…。」
「でも翠は納得してない、そうでしょ?」
「ああ見えて、翠は頑固。やりたいようにやらせてあげようよ。」
でも…それじゃ…。
「あっ!帰ってきた。」
北斗の声で入口を向くと、皇と俯いた翠が自動ドアを抜けて入ってくる所だった。
皇もだ。
多分翠は学校に戻った、絵里に会うために。
「何があったの?」
優と花音が心配そうに聞いてくる。
この2人と北斗は事情を知らない。
自分から話して良いかわからない。しかしコイツらの協力なしに翠を守れない。
「少し話せるか?」
とロビーのソファーに腰掛けた。
「少し長くなる。」
前置きをして、去年の話をする。
クラスのリーダーだった絵里がいきなり翠を遠ざけた事。
ほぼ同時に始まった翠への嫌がらせ。
それが終わったのが、絵里が留学したタイミングだった事。
「俺と皇、クミ達は嫌がらせがイジメにならないように、絵里を牽制した。翠をなるべく1人にしないように誰かが側にいるようにしてた。」
「翠はなんて?」
「理由はわかってるようだったけれど、話してはくれなかった。
私が悪いの一点張りで。仲直りの切っ掛けを探してたけれど、絵里はずっと翠を遠ざけ続けていた。」
優達は黙って聞いている。
「さっきクミからメッセージが来た。今絵里は学校にいるらしい。
多分翠は絵里に会いに学校に戻って、皇がそれを追いかけた。」
「だからさっき交換留学生の復学時期の話をしたのね。」
うん、と、頷いた。
黙って聞いていた優が
「なんからしくない…な。」
と言い出した。
「翠が絵里ちゃんと話したいんでしょ?
話をさせてあげたら良いんじゃないの?」
「それじゃ翠が傷付く。」
「良いんじゃないの、傷付いたって。」
「それじゃ翠が可哀想だ。」
「翠は大丈夫。中野の時だってそうだったじゃない。」
「もし絵里ちゃんとやらに玉砕しても私達がいるんだから。もし悪意で翠を傷付けるなら私たちが守ればいい。」
「だから俺たちは…。」
「でも翠は納得してない、そうでしょ?」
「ああ見えて、翠は頑固。やりたいようにやらせてあげようよ。」
でも…それじゃ…。
「あっ!帰ってきた。」
北斗の声で入口を向くと、皇と俯いた翠が自動ドアを抜けて入ってくる所だった。
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