58 / 242
ジャズ演奏
ジャズ
しおりを挟む
(うーん、ちょっと違う…。)
北条くんと練習を始めて3日。早くも北条くんは正確に暗部をし終えて、2人で音を合わせ始めているのだけれど。
北条くんは上手いと思う。思うんだけど…。
もう少しジャズっぽい感じに出来ないかな?
「ねえ、北条くん。ジャズの生演奏聞いたことある?」
「…そういえばないですね。」
吹奏楽でジャズのナンバーを演奏する事は良くある。あるんだけど、吹奏楽のジャズとジャズは違う。
「行ってみない?」
部活のない土曜日、北条くんとさくら駅で待ち合わせをしたのは私となぜか和津くん。
「土曜日何してる?」
そう聞かれてそのまま答えた。
「北条くんとジャズ演奏を聞きに行く。」
すると
「一緒に行ってもいい?」
と和津くんからそう言われた。
もちろん一緒にいられるのは嬉しい。
だけど和津くんの休みに無理やり付き合わせるのは申し訳ない気がしてなんだか引け目を感じてしまう。
「…いいの?」
いいよとアッサリと答えてくれる。
…本当に和津くん優しい。
そうして3人で待ち合わせをしてやってきたのは地下にあるバー「Y 'Club」
昼はレストラン、夜はバーとして営業するこの店のメインは「ジャズの生演奏」を聴きながらお酒と料理が楽しめる所。
もちろん高校生が出入りするのを咎める人は多いだろう。
だけど翠は幼い頃から、否、生まれる前からここに通っていたといってもいい。
何故ならここは父が経営し、たまに演奏もする場所だから。
「あ、翠ちゃん。…お友達となんて珍しいね。
こんにちは、いらっしゃいませ、どうぞごゆっくり。」
ホールを担当するナギさんは長くこのお店に勤めている「マダム」で、私にとっては叔母にあたる。
父とはひと回り離れているので、叔母というよりは姉に近い。
父はいたりいなかったりするので、ナギさんに電話で話を通していた。
「和津くんってどっち?」
先へ向かいながら小声でこっそり聞いてくるのが恥ずかしい。
そう、ナギさんは私の事ならなんでも知っている。
なるべく小さな声で耳元に
「背の高い方…。」
と答える。
どうせナギさんは根掘り葉掘り聞いてきて最後まで聞き出されてしまうから、初めにちゃんと教えた方がスマートに終わらせられる。
「ふーん。イケメンだね。翠ちゃんは面食いだったかぁ。ニイ、かなり落ち込んでたよ。」
ニイというのは、父の事だ。
「…えっ?言ってないよ。」
「ううん、体育祭見てたって。応援団も。」
あっ!
「…ねえ、言ってないって?どういう事?あっ、そういう事?」
「…知りません!」
「ふーん。」
ニヤニヤしながらもナギさんは3人を角のテーブルへと案内してくれた。
北条くんと練習を始めて3日。早くも北条くんは正確に暗部をし終えて、2人で音を合わせ始めているのだけれど。
北条くんは上手いと思う。思うんだけど…。
もう少しジャズっぽい感じに出来ないかな?
「ねえ、北条くん。ジャズの生演奏聞いたことある?」
「…そういえばないですね。」
吹奏楽でジャズのナンバーを演奏する事は良くある。あるんだけど、吹奏楽のジャズとジャズは違う。
「行ってみない?」
部活のない土曜日、北条くんとさくら駅で待ち合わせをしたのは私となぜか和津くん。
「土曜日何してる?」
そう聞かれてそのまま答えた。
「北条くんとジャズ演奏を聞きに行く。」
すると
「一緒に行ってもいい?」
と和津くんからそう言われた。
もちろん一緒にいられるのは嬉しい。
だけど和津くんの休みに無理やり付き合わせるのは申し訳ない気がしてなんだか引け目を感じてしまう。
「…いいの?」
いいよとアッサリと答えてくれる。
…本当に和津くん優しい。
そうして3人で待ち合わせをしてやってきたのは地下にあるバー「Y 'Club」
昼はレストラン、夜はバーとして営業するこの店のメインは「ジャズの生演奏」を聴きながらお酒と料理が楽しめる所。
もちろん高校生が出入りするのを咎める人は多いだろう。
だけど翠は幼い頃から、否、生まれる前からここに通っていたといってもいい。
何故ならここは父が経営し、たまに演奏もする場所だから。
「あ、翠ちゃん。…お友達となんて珍しいね。
こんにちは、いらっしゃいませ、どうぞごゆっくり。」
ホールを担当するナギさんは長くこのお店に勤めている「マダム」で、私にとっては叔母にあたる。
父とはひと回り離れているので、叔母というよりは姉に近い。
父はいたりいなかったりするので、ナギさんに電話で話を通していた。
「和津くんってどっち?」
先へ向かいながら小声でこっそり聞いてくるのが恥ずかしい。
そう、ナギさんは私の事ならなんでも知っている。
なるべく小さな声で耳元に
「背の高い方…。」
と答える。
どうせナギさんは根掘り葉掘り聞いてきて最後まで聞き出されてしまうから、初めにちゃんと教えた方がスマートに終わらせられる。
「ふーん。イケメンだね。翠ちゃんは面食いだったかぁ。ニイ、かなり落ち込んでたよ。」
ニイというのは、父の事だ。
「…えっ?言ってないよ。」
「ううん、体育祭見てたって。応援団も。」
あっ!
「…ねえ、言ってないって?どういう事?あっ、そういう事?」
「…知りません!」
「ふーん。」
ニヤニヤしながらもナギさんは3人を角のテーブルへと案内してくれた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
白の無才
ユウキ ヨルカ
青春
高校生の羽島悠は『才能』を欲していた。
人は誰しも、何らかの才能を持って生まれてくる。
しかし、自分がどんな才能を持っているのか自覚しているものは少ない。
悠もその一人だった。
悠は自分の才能が何なのか、そんなことを考えながら毎日を過ごしていた。
そんな時、悠のクラスに転入してくるという少女に遭う。
彼女は悠に対し「私は才能が欲しい」と話し出す。
彼らは自分の「才能」を見つけ出すため、共に様々なことに挑戦していく。
——友情あり、恋愛あり、葛藤ありの青春ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる