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ジャズ演奏
音響室 拓実視点
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小学生の時からずっとトランペットを吹いてきた。
本格的に進路を考えたのが中3の時。
もっともっとトランペットを。
音大に行って、プロになる!
そのために若松高に進学した。
「他の楽器にも触れるように」と、顧問の指示で、4月の間は色々なパートを経験させられた。トランペットを吹けたのは3日だけ。
リード楽器は満足な音が出る前に他の楽器に移動する。叩けばいいだけの打楽器もつまらないだけ。
やらさせている意味なんて考えもしなかった。
5月になったら体育祭の練習が始まり、1年男子はカラーガードに回される。
(なんで?どうして!俺はトランペットが吹きたいのに…。)
少しでもトランペットを吹きたくて朝練の前に学校にいく。
音楽室にはこの時間は鍵が掛かっているはずで、僕には貸して貰えるかはわからない。それでも誰かいてくれないかなぁ、なんて、淡い期待を持ちながら音楽室に向かった。
…いた。
2年の山本先輩が1人で練習をしてた。
まだ基礎の音階練習だけど、でもわかる。この人の音は真っ白で真っ直ぐ、どこまでも伸びていきそうな音。
惹きつけられる音だった。
「おはようございます。」
「おはよう、えっと…ごめん。まだみんなの名前覚えきれてなくて…。」
「北条です。北条拓実。」
「あー、そうだ。北条くん。トランペットが上手だった人だよね。」
ドキン!とした。1年生だけで30人はいる。
「覚えていてくれたんですか?」
トランペットを吹いたのは最初の3日だけだったのに。
「うん、いい音出す子だなぁ、きっとトランペット好きなんだろうなぁ、って。」
「はい!好きです!」
「だからこんなに早く来たんだよね?」
「はい…。」
怒られるかなと思ったら、
「わかるよ、私もだったもん。」
と山本先輩はふふふと笑った。
カラーガードの朝練には遅れないでね、そういってやっぱり山本先輩はふふふと笑った。
本格的に進路を考えたのが中3の時。
もっともっとトランペットを。
音大に行って、プロになる!
そのために若松高に進学した。
「他の楽器にも触れるように」と、顧問の指示で、4月の間は色々なパートを経験させられた。トランペットを吹けたのは3日だけ。
リード楽器は満足な音が出る前に他の楽器に移動する。叩けばいいだけの打楽器もつまらないだけ。
やらさせている意味なんて考えもしなかった。
5月になったら体育祭の練習が始まり、1年男子はカラーガードに回される。
(なんで?どうして!俺はトランペットが吹きたいのに…。)
少しでもトランペットを吹きたくて朝練の前に学校にいく。
音楽室にはこの時間は鍵が掛かっているはずで、僕には貸して貰えるかはわからない。それでも誰かいてくれないかなぁ、なんて、淡い期待を持ちながら音楽室に向かった。
…いた。
2年の山本先輩が1人で練習をしてた。
まだ基礎の音階練習だけど、でもわかる。この人の音は真っ白で真っ直ぐ、どこまでも伸びていきそうな音。
惹きつけられる音だった。
「おはようございます。」
「おはよう、えっと…ごめん。まだみんなの名前覚えきれてなくて…。」
「北条です。北条拓実。」
「あー、そうだ。北条くん。トランペットが上手だった人だよね。」
ドキン!とした。1年生だけで30人はいる。
「覚えていてくれたんですか?」
トランペットを吹いたのは最初の3日だけだったのに。
「うん、いい音出す子だなぁ、きっとトランペット好きなんだろうなぁ、って。」
「はい!好きです!」
「だからこんなに早く来たんだよね?」
「はい…。」
怒られるかなと思ったら、
「わかるよ、私もだったもん。」
と山本先輩はふふふと笑った。
カラーガードの朝練には遅れないでね、そういってやっぱり山本先輩はふふふと笑った。
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