若松2D協奏曲

枝豆

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体育祭

帰り道

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学校から電車で離れたから、わたしは1駅、和津くんは3駅戻る事になる。

なんとなくこのまま歩いて帰る事にした。
手を差し出されたから、手を繋いだ。
大きい手。
見上げると和津くんは今は私を見ててくれるから、綺麗な横顔は見れない。

ちょっと残念。そしてすごく安心する。

言いたい事がたくさんたくさん溢れて、どれから話したら良いかわからない。

切っ掛けは和津くんがくれた。

「翠、よく頑張ったな。やり遂げられて良かったな。」

泣きそうになった。
カッコ良かったとか頑張ったとか出来を褒める言葉はたくさん言ってもらえたけど、最後まで投げ出さなかった事を褒めてくれた人は他にはいない。

「あっ!ゴメン。俺泣かせた?」
慌てて和津くんは指で涙を拭いてくれる。

「ううん、違う。嬉しかった。」

あのね、途中辞めたい時があったの。
でもね、和津くんが掛けてくれた言葉が私に前を向かせてくれた。

「ありがとう。和津くんのお陰でやり切れた。」
「なんかよくわかんないけど、役に立てたなら良かった。」

「でもな、翠。カッコ良さ過ぎ。」

…それ私のセリフだよ?

「みんなが翠を見てるから、焦る。」

…それも私のセリフだよ。

「あのね、和津くん。
今日ね、沢山の子が和津くんのこと褒めてたよ。」
「うーん。あんまりそういうの興味ないわ。翠は?翠はどう思ってくれた?」
「私?私は…。もちろんカッコ良いと思ったよ。」
「そうか!それは嬉しい。」

言わなきゃ。言わなきゃ伝わらない。

「でね。
他の子が和津くんの事を話していた時に、ちょっとやだなぁ、って思ったの。」
「えっ?」
「和津くんが他の子の事を好きになっちゃうの、やだなぁ、って。だから…。」

「待って!言わないで!」
あっ。
「ご、ごめん。」
こういうの嫌だった?

「いや、待って!違う、違うから。
俺から、俺から言わせて。」

和津くんは大きく深呼吸して、真っ直ぐに私を見つめた。

「翠が好き。ずっと翠だけを見てた。
お願いだから、ここに、俺の横にいて。」

「ずるい…。私だって言いたかった。

和津くんが好き。だから他の子のこと見ないでいて。」

和津くんが手を広げてくれるから、何にも考えないで飛び込んだ。

「ずっと、ずっと。一緒にいよう。」
「うん。」
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