39 / 242
体育祭
撮影会
しおりを挟む
デモが終わり、グランドから抜けると涙が溢れた。
緊張感が切れて、トランペットを抱えて膝から崩れる。
「翠!翠!頑張ったよ。良かったよ。」
金管の先輩達が声をかけて肩を叩いてくれる。
「うっうっ、あ、ありがどう、ごじゃいますぅ。」
嗚咽でうまく喋れないのをみんなが笑うから、私は泣き笑いの変顔になる。
「ホラ、泣かない。遥が待ってるよ。」
タオルで目や頬を拭かれる。
えっ?と周りを見ると昨年卒業したトランペットの了先輩と赤ジャケを着た遥先輩がニコニコ顔で立っていた。
「翠!カッコよかったよ。頑張ってくれてありがとう。」
一番親身に指導してくれた遥先輩からの言葉が嬉しくてまた涙が溢れた。
「さっ、撮影会だ!」
同じパートで、同じ学年で、先輩と、後輩と、OBと写真を撮っていく。
マーチング衣装は今日しか着ないから、ちょっとした撮影会になる。
「あのー、山本先輩。一緒に写真撮って貰えますか?」
仲間との撮影が落ち着いた頃を未計ったのかスマホ片手に1年生の女の子が立っていた。
「えっ?私?…私でいいの?」
「是非、お願いします。」
ありがとう、と言いながら1年生の子と写真を撮る。
すると
「私もお願いします。」
と次々と写真を求められる。
体操服の子は吹部じゃない。制服の子は見学に来た中学生だ。
特に中学生との写真撮影は大切にするように顧問からも言われている。来年の後輩になるかもしれない子だから。
「来てくれてありがとうね。」
笑いかけた隣にいる子は一昨年の私だ。
「翠!」
声をかけて来たのは優と応援団の子達。
「私達とも撮ってよ。」
と言われてもちろんと応じる。
だけど和津くんはいない。
「和津くんは?」
「1500に行った。」
…そうか。
和津くんと撮りたかったな。
「翠!」
声を掛けたのは中野さん。
「顧問には上手く言っとくから。和津くんなら5分もあればゴールするっしょ?待ってれば?」
驚きで返事が出来ない。
それを待たずに中野さんは踵を返して走っていった。
「良いとこもあるんだ。」
優ちゃんが呟いた。
…ありがとう、中野さん。
優ちゃんちょっと酷いよね?
和津くんが席に置いていった応援団の法被を皇子くんが渡してくれた。
これを着ていたら最前列で応援出来るって。
もちろん喜んで。
法被を羽織ってみんなについて行った。
緊張感が切れて、トランペットを抱えて膝から崩れる。
「翠!翠!頑張ったよ。良かったよ。」
金管の先輩達が声をかけて肩を叩いてくれる。
「うっうっ、あ、ありがどう、ごじゃいますぅ。」
嗚咽でうまく喋れないのをみんなが笑うから、私は泣き笑いの変顔になる。
「ホラ、泣かない。遥が待ってるよ。」
タオルで目や頬を拭かれる。
えっ?と周りを見ると昨年卒業したトランペットの了先輩と赤ジャケを着た遥先輩がニコニコ顔で立っていた。
「翠!カッコよかったよ。頑張ってくれてありがとう。」
一番親身に指導してくれた遥先輩からの言葉が嬉しくてまた涙が溢れた。
「さっ、撮影会だ!」
同じパートで、同じ学年で、先輩と、後輩と、OBと写真を撮っていく。
マーチング衣装は今日しか着ないから、ちょっとした撮影会になる。
「あのー、山本先輩。一緒に写真撮って貰えますか?」
仲間との撮影が落ち着いた頃を未計ったのかスマホ片手に1年生の女の子が立っていた。
「えっ?私?…私でいいの?」
「是非、お願いします。」
ありがとう、と言いながら1年生の子と写真を撮る。
すると
「私もお願いします。」
と次々と写真を求められる。
体操服の子は吹部じゃない。制服の子は見学に来た中学生だ。
特に中学生との写真撮影は大切にするように顧問からも言われている。来年の後輩になるかもしれない子だから。
「来てくれてありがとうね。」
笑いかけた隣にいる子は一昨年の私だ。
「翠!」
声をかけて来たのは優と応援団の子達。
「私達とも撮ってよ。」
と言われてもちろんと応じる。
だけど和津くんはいない。
「和津くんは?」
「1500に行った。」
…そうか。
和津くんと撮りたかったな。
「翠!」
声を掛けたのは中野さん。
「顧問には上手く言っとくから。和津くんなら5分もあればゴールするっしょ?待ってれば?」
驚きで返事が出来ない。
それを待たずに中野さんは踵を返して走っていった。
「良いとこもあるんだ。」
優ちゃんが呟いた。
…ありがとう、中野さん。
優ちゃんちょっと酷いよね?
和津くんが席に置いていった応援団の法被を皇子くんが渡してくれた。
これを着ていたら最前列で応援出来るって。
もちろん喜んで。
法被を羽織ってみんなについて行った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
僕は☓っぽいけど○だから☓子校に行くなんて間違ってる!
だらけたい
青春
僕は○なんだ。
でも、なぜか☓っぽくみられてしまう。
普通にやってるのに☓っぽいと言われてしまう。
そして、なぜかついには☓子校に通うことになってしまった。
ホントになんでこんなことになってしまったんだ!
何度でも言うよ!僕は○なんだ!!誰がなんと言おうと○なんだ!!!
初金星
淡女
青春
喘息持ちの女子高生、佐々木茜は何にも打ち込むことができなかった。心が震える瞬間をずっと待っていた。そんな時、剣道少女、宗則菊一と出会う。彼女の素振りはその場の空気を、私の退屈を真っ二つに断ち切ったようだった。辛くても息を切らしながら勝ちたい、誰かの為じゃない、自分のために。
片翼のエール
乃南羽緒
青春
「おまえのテニスに足りないものがある」
高校総体テニス競技個人決勝。
大神謙吾は、一学年上の好敵手に敗北を喫した。
技術、スタミナ、メンタルどれをとっても申し分ないはずの大神のテニスに、ひとつ足りないものがある、と。
それを教えてくれるだろうと好敵手から名指しされたのは、『七浦』という人物。
そいつはまさかの女子で、あまつさえテニス部所属の経験がないヤツだった──。
放課後美術室で待ってるから
綾瀬 りょう
青春
美術の神様に愛されている女の子が、自分の高校の後輩として入学してきた。自分は一生関わらないと思っていたら、ひょんな事から彼女の絵のモデルを頼まれることになった、主人公との、淡い恋のお話。
【登場人物】
小山田 郁香(おやまだ ふみか)16歳
→絵を描く事にしか興味のない女の子。友達が居ないが気にしていない。私服は母親の好みのものを着ている。
真田 源之亟(さなだ げんのじょう)
→郁香の祖父。画家として有名だが、その分女遊びも激しかった。郁香の絵の師匠でもある。
西田 光樹(にしだ みつき)18歳
→郁香に絵のモデルを頼まれる。真っすぐな性格。
あの音になりたい! 北浜高校吹奏楽部へようこそ!
コウ
青春
またダメ金か、、。
中学で吹奏楽部に挫折した雨宮洸。
もうこれっきりにしようと進学した先は北浜高校。
[絶対に入らない]そう心に誓ったのに
そんな時、屋上から音が聞こえてくる。
吹奏楽部で青春and恋愛ドタバタストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる