若松2D協奏曲

枝豆

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コハク島

迷子

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ふと気付いたら、みんながいない。
貝を探して探して探してたから?

そんなに遠くに行ったとは思えないんだけど…。
朝早いとはいえ、ゴールデンウィークの引き潮の時間帯。浜辺には沢山の人、人、人。
立ち上がって周りをキョロキョロ探してみた。

その時、短パンの裾を誰かが引っ張るのを感じた。
えっ?何?
次いで、ママー。と小さくか細い声。

足元を見ると小さな男の子が立っていた。
5歳くらい?可愛らしい子だ。

「あれ?どうした?ママと間違えちゃった?」
声をかけてみる。
「ママ…いないの。」
あー、迷子かあ。

「ママと逸れちゃった?お姉さんと探そうか?」
「うん!」

よく見えるように男の子を抱き上げた。
「ママ見えた?」
ブンブンと首を振った。
「どっちから来たかわかる?」
「…わかんない。」
そっか、そうだよね。
浜辺に目印になる物ないもの。

「よし!少し歩いてみようか?」
「うん。」

少し歩いて立ち止まって周りを見る。
「いそう?」
「いない…。」
もう少し歩いてみる。
「いた?」
「いない。」

その時迷子のお知らせのアナウンスが鳴り響いた。

「みどりくん4歳が迷子になっています…。」
あ、これかな?
「お名前は?」
「みっくん!」
「みっくんかぁ、みどりくん?」
「うん。」

よし、迷子センターに行けばママに会える!

「みっくん、あのね、お姉ちゃんもみどりっていうんだよ。」
「みどりちゃん?」
うんそう。
話しかけながら歩いた。
迷子センターまでもう少しというところで、
「みっくん!!」
という声が聞こえてきて、泣きそうな顔の女の人が走って来るのが見えた。

「ままー!」
それまで普通に話していたみっくんはギャン泣きしはじめた。

そっか、ずっと頑張ってたんだね。

お母さんにみっくんを渡して、ずっと泣かないで頑張っていた事を伝えて、別れた。

さあ、私も戻ろう!

と来た方向に振り返って。

あれ?私はどこに戻れば良いんだろう?
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