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バスレク
橋コース
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橋を通るコースは大変過ぎて人気がない。
それは部活の先輩からも聞いていた。
ひとつはアップダウンが他のコースよりもあること。
ひとつは本格的な?吊り橋があること。
川までの落差が大きいのと、足元の隙間がけっこう広いのと、かなり揺れるのと。
注意を受けてしまったせいで、選択肢がなくなった私達の班は、左周りの橋コースを歩き始めた。
流石に皇子くんは他の班の女子を遠ざけるようになり、今は6人しかいない。
やっとみんなで過ごせる…。
そう思ったのに。
遊歩道ってウソでしょ?って思う。
段差の高さも幅も不規則な階段状の道は、登山道の間違いじゃないか?と思う。
ハアハア息を切らしながら、みんなについて行くのがやっとだった。
もっと楽しく和気藹々お喋りしながら歩けると思っていたのに…。
そうやって20分程歩いた頃。
「皇子!さすがにもう止めて!翠が死ぬ!」
「ああ、疾風!ストップ!」
だけど皇子くんの声は遠すぎて届きそうもない。
「チッ!北斗達はゆっくり来て。
追っかけて待たせておくから!」
そう言って皇子くんは走り出した。
こんなにローペースになったのは私のせい。
中野さんは和津くんの手を引いて、
「行こう、行こう!」
と先頭を元気に張り切って歩いていった。
置いていかれないように頑張ってはみたけれど、和津くんと中野さんとの距離はどんどん開いて行って、今はもう背中すら見えない。
「ゴメン、少し休ませて。」
と座り込んだ。
「大丈夫?水飲む?」
優ちゃんと北斗くんがすごく気を遣ってくれてるのがわかって、申し訳なくなる。
「本当…ごめん…。大丈夫だから、先に行ってて。」
「それはしない!」
優ちゃんがきっぱりと言い切ってくれるのが、正直嬉しい。
「ってか、中野マジやり過ぎ。」
「あああからさまだと引くって。」
優と北斗くんの会話はほとんど耳に入らない。
頭がガンガンしてきた。お腹も腰も重い。
生理痛がぶり返してきたのだ。
朝、薬を飲んでから…まだ5時間。ちょっと早いけどもう一回飲むか…。
リュックを漁り、薬の入った袋を取り出すと、優ちゃんはサッと何かに気付いてくれたみたい。
「北斗、ダッシュ!和津くん呼んできて!」
「えっ?なんで?」
「いいから、早く行って!」
優ちゃんが北斗くんをこの場から離れさせようとしてくれる。
本当ゴメン。
だけど薬を飲むところを見られたらきっと理由を聞かれる。
…言えないよ。恥ずかしくて。
「…イヤだ!」
きっぱりハッキリ、北斗くんは拒んだ。
「ゴメン、間違っていたらゴメン。
んで俺が聞いて良い事じゃないかもしれないけど。
もしかして翠ちゃん、生理痛?」
「北斗!バッカ!」
「ゴメン、本当ゴメン。
俺、姉ちゃんがいるから…なんとなく?そうかなぁって?」
…恥ずかしくて顔があげられないよー。
だけど北斗くんは話をする。
「なあ、翠ちゃん、優ちゃん。
俺たち合コンしに来てるわけじゃないよね?学校の行事だよ。
理由がわかればみんな何すれば良いかわかるよ、それで助けられることがあれば、俺、なんでもするよ?」
…そうだった。
これは学校の行事で、授業だ。
「北斗…ゴメン。少し中野に引きずられ過ぎてた。」優ちゃんが謝った。
「…ごめんなさい。優ちゃんは悪くないから、責めないで。私が恥ずかしくて言えなかった。うん、そうなの。今薬飲むね。」
堂々と薬を出して飲んだ。
恥ずかしがっていないで最初からそうすれば良かったんだ。
「俺、おんぶするよ。」
「えっ、そこまでしなくていい。大丈夫、歩ける。」
「無理してない?」
「無理…してるけど、甘えたくない。頑張りたい。」
「うん、わかった。じゃ、荷物は俺が持つ。ゆっくり行こう。」
「ありがとう…。」
優ちゃんが背中からリュックを引き剥がして北斗くんに渡す。
「さあ、行こう。」
私から立ち上がって声を掛け、3人で歩き出した。
リュックだけじゃない、なんだか心が軽くなった気がする。
10分くらい歩いたところで、皇子くん達と合流できた。
それは部活の先輩からも聞いていた。
ひとつはアップダウンが他のコースよりもあること。
ひとつは本格的な?吊り橋があること。
川までの落差が大きいのと、足元の隙間がけっこう広いのと、かなり揺れるのと。
注意を受けてしまったせいで、選択肢がなくなった私達の班は、左周りの橋コースを歩き始めた。
流石に皇子くんは他の班の女子を遠ざけるようになり、今は6人しかいない。
やっとみんなで過ごせる…。
そう思ったのに。
遊歩道ってウソでしょ?って思う。
段差の高さも幅も不規則な階段状の道は、登山道の間違いじゃないか?と思う。
ハアハア息を切らしながら、みんなについて行くのがやっとだった。
もっと楽しく和気藹々お喋りしながら歩けると思っていたのに…。
そうやって20分程歩いた頃。
「皇子!さすがにもう止めて!翠が死ぬ!」
「ああ、疾風!ストップ!」
だけど皇子くんの声は遠すぎて届きそうもない。
「チッ!北斗達はゆっくり来て。
追っかけて待たせておくから!」
そう言って皇子くんは走り出した。
こんなにローペースになったのは私のせい。
中野さんは和津くんの手を引いて、
「行こう、行こう!」
と先頭を元気に張り切って歩いていった。
置いていかれないように頑張ってはみたけれど、和津くんと中野さんとの距離はどんどん開いて行って、今はもう背中すら見えない。
「ゴメン、少し休ませて。」
と座り込んだ。
「大丈夫?水飲む?」
優ちゃんと北斗くんがすごく気を遣ってくれてるのがわかって、申し訳なくなる。
「本当…ごめん…。大丈夫だから、先に行ってて。」
「それはしない!」
優ちゃんがきっぱりと言い切ってくれるのが、正直嬉しい。
「ってか、中野マジやり過ぎ。」
「あああからさまだと引くって。」
優と北斗くんの会話はほとんど耳に入らない。
頭がガンガンしてきた。お腹も腰も重い。
生理痛がぶり返してきたのだ。
朝、薬を飲んでから…まだ5時間。ちょっと早いけどもう一回飲むか…。
リュックを漁り、薬の入った袋を取り出すと、優ちゃんはサッと何かに気付いてくれたみたい。
「北斗、ダッシュ!和津くん呼んできて!」
「えっ?なんで?」
「いいから、早く行って!」
優ちゃんが北斗くんをこの場から離れさせようとしてくれる。
本当ゴメン。
だけど薬を飲むところを見られたらきっと理由を聞かれる。
…言えないよ。恥ずかしくて。
「…イヤだ!」
きっぱりハッキリ、北斗くんは拒んだ。
「ゴメン、間違っていたらゴメン。
んで俺が聞いて良い事じゃないかもしれないけど。
もしかして翠ちゃん、生理痛?」
「北斗!バッカ!」
「ゴメン、本当ゴメン。
俺、姉ちゃんがいるから…なんとなく?そうかなぁって?」
…恥ずかしくて顔があげられないよー。
だけど北斗くんは話をする。
「なあ、翠ちゃん、優ちゃん。
俺たち合コンしに来てるわけじゃないよね?学校の行事だよ。
理由がわかればみんな何すれば良いかわかるよ、それで助けられることがあれば、俺、なんでもするよ?」
…そうだった。
これは学校の行事で、授業だ。
「北斗…ゴメン。少し中野に引きずられ過ぎてた。」優ちゃんが謝った。
「…ごめんなさい。優ちゃんは悪くないから、責めないで。私が恥ずかしくて言えなかった。うん、そうなの。今薬飲むね。」
堂々と薬を出して飲んだ。
恥ずかしがっていないで最初からそうすれば良かったんだ。
「俺、おんぶするよ。」
「えっ、そこまでしなくていい。大丈夫、歩ける。」
「無理してない?」
「無理…してるけど、甘えたくない。頑張りたい。」
「うん、わかった。じゃ、荷物は俺が持つ。ゆっくり行こう。」
「ありがとう…。」
優ちゃんが背中からリュックを引き剥がして北斗くんに渡す。
「さあ、行こう。」
私から立ち上がって声を掛け、3人で歩き出した。
リュックだけじゃない、なんだか心が軽くなった気がする。
10分くらい歩いたところで、皇子くん達と合流できた。
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