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オマケ
お披露目のち(終)
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観音開きの扉を潜り抜ける。
薄暗い聖堂内から明るい屋外に出たからか、雪が降り積もっているからか、視界が真っ白に輝いて何も見えなくなった。
エルが立ち止まる。
あれ?どした?
予定ではこのまま階段を降りて参道を歩き馬車に乗り込む…んだったんじゃ無かったっけ?
「…エル?」
「レイチェル、ちょっといい?」
「…はい?」
ゼットンが盆を掲げて小走でエルの横に立った。
黄色の布に包まれた何か…が盆に載せられている。
それをエルが掴み上げて、私に見せながら包みを開いた。
あっ。
それは綺麗な短剣だった。
艶のある黒に塗られた鞘に銀の細工が施されて、緑色のエメラルドが埋め込まれて…。
エルが膝をついた。
「レーチェ、俺が持つもの全て、今後手に入れる全てをあなたに捧げると誓う。この誓いを破る日は永遠に無い事も誓う。どうか剣に込めた俺の愛を受け取って。」
「…嘘つき…しないって言ってたじゃない…。」
エルは狡いと思う。こんな大勢の前で、しかも少しでも私たちの姿を目に焼き付けようとこんな雪の日に集まってくれた国民の前で、しないって言ってた剣の誓いを捧げてくるなんて!!
「お願いだから迷わないで。笑顔で受け取って。」
迷わないけど、笑顔は無理。
だって嬉しくて嬉しくて涙が溢れて止まらないんだもん!
震えながら手を伸ばし、それをむんずっと掴んだ。
シュッと素早く鞘から剣を引き抜いて鞘を下に落とした。
キラキラと輝く刃に泣き顔の私が映ってる。
普通は抜かない剣をあっさりと抜いてみせたことに唖然とするエルにニッコリと微笑んで、クルリと身体の向きを変えて、エルに背を向けた。
むき身の剣の柄を両手でしっかりと握り締める。
「レ、レーチェ!!」
「まあ!!」
震えるようなエルの声が聞こえて、人が息を呑む様子が見えた。
慌てたエルが背中から私の身体を包み込んだ。
そう、これを待ってた。私とエル、あの日あの夜を思い出す。
…大きく息を吸って…叫ぶ。
「エル!約束するから。この剣で自分を貫いたりしない。エルに仇なすこともしない。
この剣は、エルに仇なす人と共に戦う為に使うから。そう誓うから!!
…だから私を貴方の隣に居させて!!
ずっと永遠に。死ぬまで!!」
ずっと考えていた事だった。
私達の出会いはおそらく最低の場面だった。
だから嫌な思い出を揺り起こさないように、エルは剣の儀式を敢えてしてこなかった。
でも、もし…。
エルが拝剣の誓いを立ててくれるなら、私はこうエルに誓おうと思ってた。
捧げられた剣を悲しい使い方はしない、って。
愛でもって、愛するエルのために使うって。
でも、でもね。
こんなに大勢の人の前でする事になるなんて思ってなかったんだけど!?
こんなにたくさんの人の前で誓ったら…本当に後戻りは出来ないじゃない?
まあ、するつもりも無いんだけど。
エルの温かい大きな身体が震えていた。
「…ダメ。」
耳元で囁かれた言葉は思ってもいなかった言葉で。
えっ!?ここでそんな事言うの!?
「もう、心臓止まるかと思ったよ。あんまり驚かせないでくれ。
違うよ、死んでも…だから。間違えないで。死んで生まれ代わっても、ずっとずっと…だから。」
「…何それ…。」
「嫌?」
「…ヤ、じゃない。」
そっと手首を掴まれる。あの夜とは違って優しく労わるような力加減で。
抜き捨てた鞘を誰かが拾ってくれて、そっと捧げられた。それを受け取って刀身を鞘に戻して、綺麗な剣を胸に抱いた。その手にエルの大きな手が重ねられた。
「とんだサプライズだよ…。」
「貴方も…ね。」
チュッと頬にキスをされて、クルリと体の向きを変えられた。
「…愛してる、エル。」
「…愛してる、俺だけのレーチェ。」
どちらともなく顔を寄せ合って唇を重ねあった。
寒い寒い冬、雪が降り頻る中で。
薄暗い聖堂内から明るい屋外に出たからか、雪が降り積もっているからか、視界が真っ白に輝いて何も見えなくなった。
エルが立ち止まる。
あれ?どした?
予定ではこのまま階段を降りて参道を歩き馬車に乗り込む…んだったんじゃ無かったっけ?
「…エル?」
「レイチェル、ちょっといい?」
「…はい?」
ゼットンが盆を掲げて小走でエルの横に立った。
黄色の布に包まれた何か…が盆に載せられている。
それをエルが掴み上げて、私に見せながら包みを開いた。
あっ。
それは綺麗な短剣だった。
艶のある黒に塗られた鞘に銀の細工が施されて、緑色のエメラルドが埋め込まれて…。
エルが膝をついた。
「レーチェ、俺が持つもの全て、今後手に入れる全てをあなたに捧げると誓う。この誓いを破る日は永遠に無い事も誓う。どうか剣に込めた俺の愛を受け取って。」
「…嘘つき…しないって言ってたじゃない…。」
エルは狡いと思う。こんな大勢の前で、しかも少しでも私たちの姿を目に焼き付けようとこんな雪の日に集まってくれた国民の前で、しないって言ってた剣の誓いを捧げてくるなんて!!
「お願いだから迷わないで。笑顔で受け取って。」
迷わないけど、笑顔は無理。
だって嬉しくて嬉しくて涙が溢れて止まらないんだもん!
震えながら手を伸ばし、それをむんずっと掴んだ。
シュッと素早く鞘から剣を引き抜いて鞘を下に落とした。
キラキラと輝く刃に泣き顔の私が映ってる。
普通は抜かない剣をあっさりと抜いてみせたことに唖然とするエルにニッコリと微笑んで、クルリと身体の向きを変えて、エルに背を向けた。
むき身の剣の柄を両手でしっかりと握り締める。
「レ、レーチェ!!」
「まあ!!」
震えるようなエルの声が聞こえて、人が息を呑む様子が見えた。
慌てたエルが背中から私の身体を包み込んだ。
そう、これを待ってた。私とエル、あの日あの夜を思い出す。
…大きく息を吸って…叫ぶ。
「エル!約束するから。この剣で自分を貫いたりしない。エルに仇なすこともしない。
この剣は、エルに仇なす人と共に戦う為に使うから。そう誓うから!!
…だから私を貴方の隣に居させて!!
ずっと永遠に。死ぬまで!!」
ずっと考えていた事だった。
私達の出会いはおそらく最低の場面だった。
だから嫌な思い出を揺り起こさないように、エルは剣の儀式を敢えてしてこなかった。
でも、もし…。
エルが拝剣の誓いを立ててくれるなら、私はこうエルに誓おうと思ってた。
捧げられた剣を悲しい使い方はしない、って。
愛でもって、愛するエルのために使うって。
でも、でもね。
こんなに大勢の人の前でする事になるなんて思ってなかったんだけど!?
こんなにたくさんの人の前で誓ったら…本当に後戻りは出来ないじゃない?
まあ、するつもりも無いんだけど。
エルの温かい大きな身体が震えていた。
「…ダメ。」
耳元で囁かれた言葉は思ってもいなかった言葉で。
えっ!?ここでそんな事言うの!?
「もう、心臓止まるかと思ったよ。あんまり驚かせないでくれ。
違うよ、死んでも…だから。間違えないで。死んで生まれ代わっても、ずっとずっと…だから。」
「…何それ…。」
「嫌?」
「…ヤ、じゃない。」
そっと手首を掴まれる。あの夜とは違って優しく労わるような力加減で。
抜き捨てた鞘を誰かが拾ってくれて、そっと捧げられた。それを受け取って刀身を鞘に戻して、綺麗な剣を胸に抱いた。その手にエルの大きな手が重ねられた。
「とんだサプライズだよ…。」
「貴方も…ね。」
チュッと頬にキスをされて、クルリと体の向きを変えられた。
「…愛してる、エル。」
「…愛してる、俺だけのレーチェ。」
どちらともなく顔を寄せ合って唇を重ねあった。
寒い寒い冬、雪が降り頻る中で。
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