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さばかない公爵家嫡男の仲裁
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「生意気生意気生意気! ドリーミングオーガニック厨房!!」
「違うもん、メルがうるさいんだもん!! メルの方がスーパー生意気だし先手必勝以外知らないし、ワナビーのくせにめっちゃ脳筋じゃないのよー!!」
「あんたは脳の筋肉が足りなすぎるのよ、体も中途半端な鍛え方してさ!!」
「農民の足腰を舐めるなっ!!」
ブライアンが心配したメイドに連れられてきた時には、二人はもう、つかみあいの引っ掻きあいで、間違っても「令嬢」と言って表に出せるような顔はしていなかった。
令嬢じゃなくて「霊場」だろ……。
思わずそう言いたくなるような形相で、ハイティーンの美少女二人がビンタだのなんだの、もう酷い状態である。
「……あー……やってるな」
しかし、リヴィの部屋のドアを開けた瞬間、ブライアンが言ったのはその一言だった。
(半年ぶりぐらいか? よくやるな。子どもの頃から、とっくみあいはよくしていたが。そろそろ卒業するかと思ったけれど、二人とも、まだ子どもって事か……?)
そうなのだ。
リヴィは、現代日本で、「きょうだい喧嘩では一日の長」があったのだが、クインドルガに転生してからは、本当に、小さい時から何度も何度も、メルととっくみあいの喧嘩はよくしていた。
そのため、メルも、勿論手加減はして、どこなら攻撃していいかいけないかぐらい分かっている。
「バーカ、バーカ、バカバカバーカ!!」
「バカって言う方がバカなんだからー!!」
最早、どっちがどっちを指して言っているのか分からない状態でもみ合い続けるリヴィとメル。
「リヴィ。メル。夜食を持って来たぞ」
そこで何喰わぬ顔で、ブライアンがそう言った。
その途端。
そのときたまたま、メルの腰の上に乗っかっていたリヴィがぱっとブライアンの方へ振り返った。
「リヴィ。お前の大好きな鯖缶だ。あっためて、温野菜サラダを添えて持って来た。俺が作ったんだぞ。どうだ。食べないか?」
「食べる!」
全く現金なものである。
リヴィはそのままメルの上から飛び起きて、ブライアンの方へと駆け寄った。
そして、鯖缶と温野菜サラダの皿を取ろうとした瞬間に、ブライアンがさっと皿を頭上に掲げてしまった。
「お、お兄ちゃん!?」
「リヴィ?」
ブライアンはそれはそれは優しい笑顔を見せて、可愛い妹へと向かった。
「……」
「リヴィ、何をしていたんだ?」
リヴィは引きつった笑いを見せて、何も言わなかった。
一方、リヴィととっくみあいの喧嘩をしていたメルは、がばっと床から上半身を起こした。
「リヴィがインクの蓋を開けっぱなしにしていたのよ!」
メルは鋭く叫んだ。
ブライアンはそれを聞いて、テーブルの上の真っ黒な藁半紙と墨に汚れた布巾、それにテーブルの下まで零れているインクを目視で確認した。
「インクを倒しちゃったのは私だけど! リヴィがだらしなくてインクの蓋を閉めなかったのが悪かったんだもん! 私ちゃんと謝ったのにリヴィがしつこく怒るし、人の夢はバカにするし、本当に酷かったんだからね!!」
そう叫び、きっとリヴィを睨み付けるメル。
一方、リヴィは、口を半分開けたまんま、ブライアンの手の皿を見上げていた。
ブライアンの方も、リヴィが手が届かないように遥か頭上に皿を持ち上げ、じっと妹の方を見ている。微笑みながら。
「大体、リヴィはいつも夢ばかり見ていてぼーっとしていて、とろいし、そのくせ頑固だし、発想がバカだし、第一、反省してても同じ失敗繰り返すし、人を生意気って言って自分が一番生意気だし、それから、まだあるんだけどね!?」
メルは片っ端からリヴィの事を毒舌であげつらい始めた。
そこはなんといっても、腐ってもアメリアである。核心をナイフで突き刺すような恐ろしい勢いの毒舌であったし、確かにこれだけ鋭ければ小説家も夢ではないというような表現も多々含まれていた。
しかし、リヴィが見て居るのは鯖缶だった。
大好きなお兄ちゃんが持って来てくれたお皿の上の鯖缶と温野菜サラダであった。
恐らく、最早、リヴィの全神経は鯖缶にしか集中していないだろう。何が何でもそこにある鯖缶を食うまでは視線を外すまいと決意しているのが明白である。
そして、ブライアンの方も、メルの話を聞いているのかいないのか、微笑みながらリヴィの顔を凝視していた。
「まだまだあるんだけどね!?」
メルはそれから更に、リヴィの成績の事とかリヴィの寝起きの寝癖の事とかリヴィのフォークの持ち方がなってないとか、そういうことをべらべら喋り倒したが、それでも形勢は変わらなかった。
リヴィは、お兄ちゃんのお皿の鯖缶以外、振り向きもしなかった。ブライアンも、気迫に満ちた笑顔で、鯖缶を渡しはしなかった。ここは、妹が反省するまで、鯖缶を与えてはいけない場面なのである。
「人の話を聞けーっ!!」
絶叫するメル。しかし、リヴィもブライアンもびくともしない。
ついに、メルはそこに座り込んで泣き出した。
「何よ。私は鯖缶以下って言う訳か!?」
どんな悪口言ったところで、それを一言も聞いて貰えない上に、返事もないんじゃ言った甲斐がないというものだ。
しかも、目の前にいる相手が、鯖缶だけ見ていてこっちを見向きもしないのだ。フロリーの件からずっと興奮しきっていたメルの精神力はもう本当に限界。
その場で、子どものように泣きじゃくり始めたのであった。
「お兄ちゃん、鯖缶食べたい」
「そうだね、食べたいね、リヴィ」
「食べちゃだめ?」
「ダメ。メルと仲直りしてからにしなさい」
「……メルが意地悪言うから……」
「メルの分の鯖缶も持ってきてあるから、一緒に食べながら、話し合いなさい。メルも鯖缶は嫌いじゃないだろ?」
ぐずぐず泣いていたメルだったが、無視されている訳ではなかったので、立ち上がって、頷きながらテーブルに着いた。
ブライアンは、メイドに命じて掃除をさせると、自分が持って来た鯖缶の皿以外に、メルの分の皿と食器を用意させて、それからリヴィに着席するように言った。
そしてブライアンも真ん中辺りに距離を取って座る。彼の前には彼の分の鯖缶の皿。
リヴィは既に、好物の鯖缶の方に全神経が持っていかれているようだった。考えて見れば当たり前である。昼から何も食べていなかったし、連日のハードスケジュールで、体のエネルギーが全体的に落ちている。
そこに、温めた柔らかい鯖缶と、優しい匂いのする温野菜サラダが運ばれてきたのだ。 怒りも疲労も吹っ飛んで、食欲に取って変わられている。
しかし、メルと会話するのかというと、そういう訳でもないようで、ただひたすら鯖缶とサラダを凝視していた。
メルの方はまだ半泣きで、気まずそうにブライアンと鯖缶を見比べていた。
(お前ら、本当に、猫のきょうだいじゃないんだから……)
ブライアンは苦笑してしまう。
鯖缶を見て食欲で全てを忘れてしまうリヴィもリヴィだが、喧嘩していたリヴィに無視されたと思い込んで泣き出すメルもメル。
あんな凄い悪口言われたら、誰だって傷つくんだが、それをものともせずに無視するリヴィの態度も大したものだ。
(お前、そんなに腹減っていたのか?)
実際に、鯖缶は、食欲を刺激する匂いを放っている。温める時に、刻んだ生姜を入れているのだ。鯖缶の濃く甘い匂いの間に生姜のすっきりした匂い。
温野菜サラダの方は、腹に優しそうな根菜を中心に、彩りの良いトマトやピーマンを添えられていた。そしてレモンドレッシング。
「お兄ちゃん……」
「食べる前に言う事があるだろう。神様に食事の祈りをするものだし、神に祈る時に、お前ら、喧嘩しっぱなしでいいのか?」
「「……」」
リヴィとメルは、同時にお互いの顔を見た。
そして、全く同時に、つんと顔を背けた。
(これだよ。全く、猫レベルだよ)
ブライアンは、思わずため息をついてしまった。
「違うもん、メルがうるさいんだもん!! メルの方がスーパー生意気だし先手必勝以外知らないし、ワナビーのくせにめっちゃ脳筋じゃないのよー!!」
「あんたは脳の筋肉が足りなすぎるのよ、体も中途半端な鍛え方してさ!!」
「農民の足腰を舐めるなっ!!」
ブライアンが心配したメイドに連れられてきた時には、二人はもう、つかみあいの引っ掻きあいで、間違っても「令嬢」と言って表に出せるような顔はしていなかった。
令嬢じゃなくて「霊場」だろ……。
思わずそう言いたくなるような形相で、ハイティーンの美少女二人がビンタだのなんだの、もう酷い状態である。
「……あー……やってるな」
しかし、リヴィの部屋のドアを開けた瞬間、ブライアンが言ったのはその一言だった。
(半年ぶりぐらいか? よくやるな。子どもの頃から、とっくみあいはよくしていたが。そろそろ卒業するかと思ったけれど、二人とも、まだ子どもって事か……?)
そうなのだ。
リヴィは、現代日本で、「きょうだい喧嘩では一日の長」があったのだが、クインドルガに転生してからは、本当に、小さい時から何度も何度も、メルととっくみあいの喧嘩はよくしていた。
そのため、メルも、勿論手加減はして、どこなら攻撃していいかいけないかぐらい分かっている。
「バーカ、バーカ、バカバカバーカ!!」
「バカって言う方がバカなんだからー!!」
最早、どっちがどっちを指して言っているのか分からない状態でもみ合い続けるリヴィとメル。
「リヴィ。メル。夜食を持って来たぞ」
そこで何喰わぬ顔で、ブライアンがそう言った。
その途端。
そのときたまたま、メルの腰の上に乗っかっていたリヴィがぱっとブライアンの方へ振り返った。
「リヴィ。お前の大好きな鯖缶だ。あっためて、温野菜サラダを添えて持って来た。俺が作ったんだぞ。どうだ。食べないか?」
「食べる!」
全く現金なものである。
リヴィはそのままメルの上から飛び起きて、ブライアンの方へと駆け寄った。
そして、鯖缶と温野菜サラダの皿を取ろうとした瞬間に、ブライアンがさっと皿を頭上に掲げてしまった。
「お、お兄ちゃん!?」
「リヴィ?」
ブライアンはそれはそれは優しい笑顔を見せて、可愛い妹へと向かった。
「……」
「リヴィ、何をしていたんだ?」
リヴィは引きつった笑いを見せて、何も言わなかった。
一方、リヴィととっくみあいの喧嘩をしていたメルは、がばっと床から上半身を起こした。
「リヴィがインクの蓋を開けっぱなしにしていたのよ!」
メルは鋭く叫んだ。
ブライアンはそれを聞いて、テーブルの上の真っ黒な藁半紙と墨に汚れた布巾、それにテーブルの下まで零れているインクを目視で確認した。
「インクを倒しちゃったのは私だけど! リヴィがだらしなくてインクの蓋を閉めなかったのが悪かったんだもん! 私ちゃんと謝ったのにリヴィがしつこく怒るし、人の夢はバカにするし、本当に酷かったんだからね!!」
そう叫び、きっとリヴィを睨み付けるメル。
一方、リヴィは、口を半分開けたまんま、ブライアンの手の皿を見上げていた。
ブライアンの方も、リヴィが手が届かないように遥か頭上に皿を持ち上げ、じっと妹の方を見ている。微笑みながら。
「大体、リヴィはいつも夢ばかり見ていてぼーっとしていて、とろいし、そのくせ頑固だし、発想がバカだし、第一、反省してても同じ失敗繰り返すし、人を生意気って言って自分が一番生意気だし、それから、まだあるんだけどね!?」
メルは片っ端からリヴィの事を毒舌であげつらい始めた。
そこはなんといっても、腐ってもアメリアである。核心をナイフで突き刺すような恐ろしい勢いの毒舌であったし、確かにこれだけ鋭ければ小説家も夢ではないというような表現も多々含まれていた。
しかし、リヴィが見て居るのは鯖缶だった。
大好きなお兄ちゃんが持って来てくれたお皿の上の鯖缶と温野菜サラダであった。
恐らく、最早、リヴィの全神経は鯖缶にしか集中していないだろう。何が何でもそこにある鯖缶を食うまでは視線を外すまいと決意しているのが明白である。
そして、ブライアンの方も、メルの話を聞いているのかいないのか、微笑みながらリヴィの顔を凝視していた。
「まだまだあるんだけどね!?」
メルはそれから更に、リヴィの成績の事とかリヴィの寝起きの寝癖の事とかリヴィのフォークの持ち方がなってないとか、そういうことをべらべら喋り倒したが、それでも形勢は変わらなかった。
リヴィは、お兄ちゃんのお皿の鯖缶以外、振り向きもしなかった。ブライアンも、気迫に満ちた笑顔で、鯖缶を渡しはしなかった。ここは、妹が反省するまで、鯖缶を与えてはいけない場面なのである。
「人の話を聞けーっ!!」
絶叫するメル。しかし、リヴィもブライアンもびくともしない。
ついに、メルはそこに座り込んで泣き出した。
「何よ。私は鯖缶以下って言う訳か!?」
どんな悪口言ったところで、それを一言も聞いて貰えない上に、返事もないんじゃ言った甲斐がないというものだ。
しかも、目の前にいる相手が、鯖缶だけ見ていてこっちを見向きもしないのだ。フロリーの件からずっと興奮しきっていたメルの精神力はもう本当に限界。
その場で、子どものように泣きじゃくり始めたのであった。
「お兄ちゃん、鯖缶食べたい」
「そうだね、食べたいね、リヴィ」
「食べちゃだめ?」
「ダメ。メルと仲直りしてからにしなさい」
「……メルが意地悪言うから……」
「メルの分の鯖缶も持ってきてあるから、一緒に食べながら、話し合いなさい。メルも鯖缶は嫌いじゃないだろ?」
ぐずぐず泣いていたメルだったが、無視されている訳ではなかったので、立ち上がって、頷きながらテーブルに着いた。
ブライアンは、メイドに命じて掃除をさせると、自分が持って来た鯖缶の皿以外に、メルの分の皿と食器を用意させて、それからリヴィに着席するように言った。
そしてブライアンも真ん中辺りに距離を取って座る。彼の前には彼の分の鯖缶の皿。
リヴィは既に、好物の鯖缶の方に全神経が持っていかれているようだった。考えて見れば当たり前である。昼から何も食べていなかったし、連日のハードスケジュールで、体のエネルギーが全体的に落ちている。
そこに、温めた柔らかい鯖缶と、優しい匂いのする温野菜サラダが運ばれてきたのだ。 怒りも疲労も吹っ飛んで、食欲に取って変わられている。
しかし、メルと会話するのかというと、そういう訳でもないようで、ただひたすら鯖缶とサラダを凝視していた。
メルの方はまだ半泣きで、気まずそうにブライアンと鯖缶を見比べていた。
(お前ら、本当に、猫のきょうだいじゃないんだから……)
ブライアンは苦笑してしまう。
鯖缶を見て食欲で全てを忘れてしまうリヴィもリヴィだが、喧嘩していたリヴィに無視されたと思い込んで泣き出すメルもメル。
あんな凄い悪口言われたら、誰だって傷つくんだが、それをものともせずに無視するリヴィの態度も大したものだ。
(お前、そんなに腹減っていたのか?)
実際に、鯖缶は、食欲を刺激する匂いを放っている。温める時に、刻んだ生姜を入れているのだ。鯖缶の濃く甘い匂いの間に生姜のすっきりした匂い。
温野菜サラダの方は、腹に優しそうな根菜を中心に、彩りの良いトマトやピーマンを添えられていた。そしてレモンドレッシング。
「お兄ちゃん……」
「食べる前に言う事があるだろう。神様に食事の祈りをするものだし、神に祈る時に、お前ら、喧嘩しっぱなしでいいのか?」
「「……」」
リヴィとメルは、同時にお互いの顔を見た。
そして、全く同時に、つんと顔を背けた。
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