15 / 23
五日目
二
しおりを挟む
この半年の間の様子を天界ではあきれながら眺めていた。
「人間達は創造神の意向を各国との駆け引きに利用しているのか?」
「いつの間にか種族が国家にすり替わってしまっていることに誰も気づかないほど愚かだったとは・・・」
「誰が伝えれば正しく伝わるのだろうか・・・」
「いや、誰が伝えに行っても同じ結果になるだろうな」
「心の中では真実だと理解しているのに、それまでも駆け引きの道具としてしまうとは・・・」
「政府が表立って動かないから、国民達は安心しきってしまっている」
「高次元の魂達が苦戦するはずだ。ここまで心の目が曇ってしまっているのだから」
今回は悪魔達も神の真の御心をはかり切れずにいたため目立った動きをしないで静観していたが、にもかかわらず、危機感を抱く者達は高次元の魂の持ち主と近しいごく一部の者達にとどまっていた。なかなか天界の意図が届かないということは、それだけ人類と神々との距離が開いてしまっていることであり、それだけ悪魔達が人間の日常に浸透し、影響を与えている何よりの証拠だ。
神々も守護神や守護霊を通して人間と関わってきてはいるのだが、経験の積み重ねで成長し、実現できる魂の特性よりも、虚構ではあるものの短期間で実現できる魔物の特性の方が現代社会を生きる人間には受け入れられやすいようだ。
「初めから判りきっていたことではあったがな・・・」
突きつけられた現実に神々も困惑の表情を隠せない。
「地球の状態をみれば当然だ。彼らが個人的な財産・権力に固執などしなければ、こんなに酷くはならなかっただろうからな」
「このまま彼らは一年を過ごしてしまうのでしょうか・・・」
地球上での役割を終えて天界に上ってきた魂達も不安そうに地上を見下ろしている。
「そうならないように祈るしかない。それが我らにできる唯一の方法だ」
神々の祈りに天使達も言葉を続けた。
「幸いにも人間達は神や仏を見失ったと同時に悪魔達のことも見失っています。ですから、彼らも求められなければ動くことができません。人間達の発するマイナスエネルギーは果てしなく強大ですが、悪魔達によって穢されているものではないということです。その要因となっている不安や恐怖、恐れや妬みなどを幸福感で少しでも満たすことができれば、地球が言うように自力再生の道が開かれる可能性はまだあるかもしれません」
「悪魔達の力を借りなくても、人間達はこのようなエネルギーのうねりを生み出せるものなのでしょうか」
「もともと人間は我々と同じで創造神から直接分けられた御霊であるから、魂自体の強さは強大なものを持っている。だから彼らが生み出した悪魔達の力も決して侮ることはできないのだ。問題は人間達が力を持っていることに気付いていないということだ。無意識で行っていることだから、それこそ制御ができないということだからな」
「もはや人間達だけの問題ではないというのに・・・」
人間達が現実と信じて疑わない三次元世界では、無情にも刻一刻と静かに、そして確実に時間が流れていた。
「人間達は創造神の意向を各国との駆け引きに利用しているのか?」
「いつの間にか種族が国家にすり替わってしまっていることに誰も気づかないほど愚かだったとは・・・」
「誰が伝えれば正しく伝わるのだろうか・・・」
「いや、誰が伝えに行っても同じ結果になるだろうな」
「心の中では真実だと理解しているのに、それまでも駆け引きの道具としてしまうとは・・・」
「政府が表立って動かないから、国民達は安心しきってしまっている」
「高次元の魂達が苦戦するはずだ。ここまで心の目が曇ってしまっているのだから」
今回は悪魔達も神の真の御心をはかり切れずにいたため目立った動きをしないで静観していたが、にもかかわらず、危機感を抱く者達は高次元の魂の持ち主と近しいごく一部の者達にとどまっていた。なかなか天界の意図が届かないということは、それだけ人類と神々との距離が開いてしまっていることであり、それだけ悪魔達が人間の日常に浸透し、影響を与えている何よりの証拠だ。
神々も守護神や守護霊を通して人間と関わってきてはいるのだが、経験の積み重ねで成長し、実現できる魂の特性よりも、虚構ではあるものの短期間で実現できる魔物の特性の方が現代社会を生きる人間には受け入れられやすいようだ。
「初めから判りきっていたことではあったがな・・・」
突きつけられた現実に神々も困惑の表情を隠せない。
「地球の状態をみれば当然だ。彼らが個人的な財産・権力に固執などしなければ、こんなに酷くはならなかっただろうからな」
「このまま彼らは一年を過ごしてしまうのでしょうか・・・」
地球上での役割を終えて天界に上ってきた魂達も不安そうに地上を見下ろしている。
「そうならないように祈るしかない。それが我らにできる唯一の方法だ」
神々の祈りに天使達も言葉を続けた。
「幸いにも人間達は神や仏を見失ったと同時に悪魔達のことも見失っています。ですから、彼らも求められなければ動くことができません。人間達の発するマイナスエネルギーは果てしなく強大ですが、悪魔達によって穢されているものではないということです。その要因となっている不安や恐怖、恐れや妬みなどを幸福感で少しでも満たすことができれば、地球が言うように自力再生の道が開かれる可能性はまだあるかもしれません」
「悪魔達の力を借りなくても、人間達はこのようなエネルギーのうねりを生み出せるものなのでしょうか」
「もともと人間は我々と同じで創造神から直接分けられた御霊であるから、魂自体の強さは強大なものを持っている。だから彼らが生み出した悪魔達の力も決して侮ることはできないのだ。問題は人間達が力を持っていることに気付いていないということだ。無意識で行っていることだから、それこそ制御ができないということだからな」
「もはや人間達だけの問題ではないというのに・・・」
人間達が現実と信じて疑わない三次元世界では、無情にも刻一刻と静かに、そして確実に時間が流れていた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
ふたつの足跡
Anthony-Blue
SF
ある日起こった災いによって、本来の当たり前だった世界が当たり前ではなくなった。
今の『当たり前』の世界に、『当たり前』ではない自分を隠して生きている。
そんな自分を憂い、怯え、それでも逃げられない現実を受け止められるのか・・・。
リモート刑事 笹本翔
雨垂 一滴
ミステリー
『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。
主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。
それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。
物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。
翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?
翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。
【完結】永遠の旅人
邦幸恵紀
SF
高校生・椎名達也は、未来人が創設した〈時間旅行者協会〉の職員ライアンに腕時計型タイム・マシンを使われ、強引に〈協会〉本部へと連れてこられる。実は達也はマシンなしで時空間移動ができる〝時間跳躍者〟で、ライアンはかつて別時空の達也と偶然会っていた。以来、執念深く達也を捜しつづけたライアンの目的とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる