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四日目
四
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世の中が混乱を見せている中で、異彩を放ってその存在の大きさをあらためて示しているのが神社・仏閣である。
絶滅から逃れるための護符やお守りが飛ぶように売れており、どこも三ヶ月から半年待ちの状態だ。書店などではイエスや釈迦の言葉、経典の解釈や命について書かれた書籍やスピリチュアル関連の書籍などが飛ぶように売れ、教会や神社・仏閣に行って神や仏に許しを請うためのツアーやパワースポット巡りなどが日本だけではなく、世界中で大流行している。巡礼ロードなどはさながら歩行者天国であるかのように人でごった返している。また、有名な所だけでなく、地方の神社・仏閣までもが連日初詣のような賑わいをみせており、写経や座禅の体験、法話などの予約も殺到している。『困った時の神頼み』は万国共通のようである。
「別に心から神様を信じてるわけじゃないけど、とりあえず神社やお寺に行ってると心が落ち着くっていうか、自分は大丈夫って思えるんだよね」
という意見があるように、氏子や檀家が増えているわけではなく、安心や心の安定といった内面的に満たされようとするニーズの受け入れ先となっている。
心の安定といえば、心療内科や精神・神経科といった専門の医療機関を訪れる人々も多くなった。常に不安に付きまとわれながら平生を装って仕事や日常を送ることに疲れてしまい、不安神経症やうつ病を発症してしまう人が急激に増えており、精神科医が患者数に対して足りておらず、処方される抗不安薬も生産が間に合わず、製薬会社の在庫も残りわずかとなっている。
「一民族じゃなくてテロ組織や暴力団や犯罪者達を絶滅させてくれれば良いのに。そうしたら世の中から悪い人達が消えて治安も良くなって、武器とかもなくなって環境にも良いんじゃない?」
「でも、そうやって決めちゃうと良い人・悪い人って誰がどうやって決めるの?政治家だって国民よりも自分達の利益にばっかり目を向けてる人が多いし、企業や組織の会長だって人をこき使って不正とか資金隠しとかしてる人いるし、普通に生活してる人だって裏で何やってるかわかんないよ」
「神様だったらそんなこと全部お見通しなんじゃない?閻魔様だっているしさ」
「神様ぁ!そうしませんかぁ!人種で分けるよりも、その人の行いで決めてもらえませんかぁ!」
「神様聞いてるのかなぁ。神社行って叫んだ方が良くね?」
と天に呼びかける人も日に日に多くなっている。
「自分達は大丈夫」
「不安がっていたら返って引き寄せちゃう」
などと物事をポジティブに考えようとする人がいる反面、
「どうせ絶滅するんだから、やってもやらなくても同じで草」
「今までのツケがまわってきたのさ、何をやっても無駄無駄」
「政治家は何をやっているんだ」
「日本の政治家なんて外国に良い顔ばっかりしていて、厳しいこと何にも言えないんだから、犠牲になるのが自分達だったとしても結局何にもできないっしょ」
「実際、外国で『NO!JAPAN!』って書かれたプラカードを掲げてデモ起こされたり、大使館の前で国旗燃やされたりしても『遺憾の意をもって抗議』するだけで、何にも言い返したりしないもんね」
などというあきらめの意見や怒りのコメントなどが街中でも聞かれている。
日を追うごとに、世界中は不安とあきらめ、少数の祈りで覆われていった。
絶滅から逃れるための護符やお守りが飛ぶように売れており、どこも三ヶ月から半年待ちの状態だ。書店などではイエスや釈迦の言葉、経典の解釈や命について書かれた書籍やスピリチュアル関連の書籍などが飛ぶように売れ、教会や神社・仏閣に行って神や仏に許しを請うためのツアーやパワースポット巡りなどが日本だけではなく、世界中で大流行している。巡礼ロードなどはさながら歩行者天国であるかのように人でごった返している。また、有名な所だけでなく、地方の神社・仏閣までもが連日初詣のような賑わいをみせており、写経や座禅の体験、法話などの予約も殺到している。『困った時の神頼み』は万国共通のようである。
「別に心から神様を信じてるわけじゃないけど、とりあえず神社やお寺に行ってると心が落ち着くっていうか、自分は大丈夫って思えるんだよね」
という意見があるように、氏子や檀家が増えているわけではなく、安心や心の安定といった内面的に満たされようとするニーズの受け入れ先となっている。
心の安定といえば、心療内科や精神・神経科といった専門の医療機関を訪れる人々も多くなった。常に不安に付きまとわれながら平生を装って仕事や日常を送ることに疲れてしまい、不安神経症やうつ病を発症してしまう人が急激に増えており、精神科医が患者数に対して足りておらず、処方される抗不安薬も生産が間に合わず、製薬会社の在庫も残りわずかとなっている。
「一民族じゃなくてテロ組織や暴力団や犯罪者達を絶滅させてくれれば良いのに。そうしたら世の中から悪い人達が消えて治安も良くなって、武器とかもなくなって環境にも良いんじゃない?」
「でも、そうやって決めちゃうと良い人・悪い人って誰がどうやって決めるの?政治家だって国民よりも自分達の利益にばっかり目を向けてる人が多いし、企業や組織の会長だって人をこき使って不正とか資金隠しとかしてる人いるし、普通に生活してる人だって裏で何やってるかわかんないよ」
「神様だったらそんなこと全部お見通しなんじゃない?閻魔様だっているしさ」
「神様ぁ!そうしませんかぁ!人種で分けるよりも、その人の行いで決めてもらえませんかぁ!」
「神様聞いてるのかなぁ。神社行って叫んだ方が良くね?」
と天に呼びかける人も日に日に多くなっている。
「自分達は大丈夫」
「不安がっていたら返って引き寄せちゃう」
などと物事をポジティブに考えようとする人がいる反面、
「どうせ絶滅するんだから、やってもやらなくても同じで草」
「今までのツケがまわってきたのさ、何をやっても無駄無駄」
「政治家は何をやっているんだ」
「日本の政治家なんて外国に良い顔ばっかりしていて、厳しいこと何にも言えないんだから、犠牲になるのが自分達だったとしても結局何にもできないっしょ」
「実際、外国で『NO!JAPAN!』って書かれたプラカードを掲げてデモ起こされたり、大使館の前で国旗燃やされたりしても『遺憾の意をもって抗議』するだけで、何にも言い返したりしないもんね」
などというあきらめの意見や怒りのコメントなどが街中でも聞かれている。
日を追うごとに、世界中は不安とあきらめ、少数の祈りで覆われていった。
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