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第四十一話「困った時の親頼みについて」
各々の思惑
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雑居ビルの上階、テロリストが待機していたその場所では、こんな会話が行われていた。
「そろそろ返答がないまま五十分になりますが、標的は何を迷っているのでしょうか」
「自衛官とは言えど、自分の身柄をはいそうですかと差し出せはしないということだろう。当然とも言える」
「民間人と自分を天秤に乗せて同じ重さだと思っている、やはり自衛隊は腐ってますね」
「言ってやるな、自衛官とて、我々と同じ人間なんだからな。いつも最適な行動が取れるとは限らんのだろう。もっとも、最適な行動も取れない人間が国防を司っている時点で、自衛隊の底も知れるがな」
そう勝手に評して、リーダーらしい男は、目出し帽を鼻の辺りまで捲りあげて缶コーヒーを啜った。
そもそも、このテロリスト達は、元々過激派市民団体のメンバーだった。「だった」と言うのは、今の彼らがまだ世界中でテロが勃発し始める前に大陸や半島に渡り、特殊訓練や思想矯正を受けた工作員もどきになっているからだ。
そして工作員もどきなのは、自分達に訓練を施し、日本に帰国させた組織母体が、四つに割れて内戦を始めたり、片や南北での衝突の激化によって解体されてしまったからだ。それ以来、この集団は元々の市民団体としての目的、つまりは「自衛隊という不当な武力に対する抗議」または「自衛隊の解体」を、元々よりも過激な方法で達成しようとしていた。
だが、それも上手くはいっていなかった。組織の構成員はテロを起こす度に拘束されるか、あるいは殺害されてしまっており、その上、直接的なテロだけではなく、“少々”過激なデモを行なっても、同じ結果を招いているのだ。
おかげで、素性不明のスポンサーに従うことになったり、その要求に従うために、素人同然の他団体や暴力団にまで協力を仰ぐ必要が出てしまった。しかし、それも今回だけであると、この作戦さえ上手くいけば自衛隊に大打撃を与えることができるのだと、少なくともこの一団は考えていた。
誰も「日比野 比乃の身柄を受け渡したら爆破しない」とは言っていないのだ。あのホテルには一般の観光客の他に、東京から来た修学旅行生がいる。それだけではない、スポンサーから提供された情報によれば、そこには森羅財閥の令嬢と、なんと英国の王女までいるのだ。
それらを纏めて吹き飛ばしたらどうなるか……さぞ、自衛隊と日本政府、与党の立場は厳しい局面となるだろう。
スポンサーからの要望では令嬢と王女も確保するように言われているが、自分達にとって彼女らは有象無象共々消し飛んでくれた方が都合が良い。言い訳はいくらでも用意できる。
「もしかすると、目標は爆弾をブラフだと思っているかもしれんが、それは大きな間違いだ。それに万が一、目標が出て来なければ、強硬策に出れば良い」
そのためのAMWであり、そのために訓練された人員もいる。二手も三手も有利を取ったと見たリーダーは、自分達の勝利を確信して笑みを浮かべた。
* * *
一方その頃、ホテルのエントランス、
怪しげなケースを背負った大男と、何やら刀らしき物をベルトにぶら下げているモデル並みの美女の二人が、ホテル受付の従業員を困惑させていた。
「一泊したいんだけど、部屋は空いてる?」
「え、ええ……空いていますが……あの、そちらのお荷物は?」
「あら、このホテルは手荷物検査なんてするの? 随分とセキュリティが厳重なのね。安心安全そうだし、ご贔屓にしようかしら」
「お、恐れ入ります……あの、つきましてはそのケースと……刀? をフロントでお預かりさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「あ、それはちょっと駄目よ。どっちも素人に持たせたら危ない代物なの。ねぇあなた、あなたもそう思うでしょう?」
あなた、と呼ばれた大男――安久が、自分のことを言っていることに気付くまで反応を遅らせてから、
「……そうだな、これは一般人に持たせるわけにはいかんからな」
一般人に持たせられない荷物を持った客など、宿泊させるわけにはいかないのだが、従業員が遠回しにそれを言い出すよりも早く、美女、宇佐美が畳み掛ける。
「ねぇお願いよ、私たち長旅でとっても疲れてるの。どうしてだか他のホテルは全部部屋がないって言われちゃうし、ここが駄目だったら、最近物騒な土地で野宿しなきゃいけなくなっちゃうわ。テレビで観光客が野宿してる所を襲われて死亡したなんてニュース、見たくないでしょ?」
「そ、それはそうですが……しかしですね……」
「安心してくれ、この荷物は使い方さえ間違えなければ安全な物だ。危険はない」
使い方を間違えれば危ない荷物を持った客など、宿泊させるわけにはいかないのだが、従業員がストレートにそれを言い出すよりも早く、二人がカウンターに身を乗り出す。
「部屋、空いてるんでしょう?」
「部屋は空いているのだろう?」
従業員は、涙目になりながら、上司を呼ぶインターホンを鳴らした。
そんな問答を、フロントの端、利用客のために置かれたソファーに、ワイシャツにスラックスといったサラリーマン風の男が腰掛けていた。その男は、新聞紙を広げて視線を露出しないようにしながら、受付の方を観察していた。
(なんなんだ……あいつらは)
自分も、その手の専門職から見れば不審者に見られてしまうかもしれない様相をしているが、今、受付カウンターで従業員を言いくるめようとしている二人組は、自分以上の不審者だった。
この男の役目は、ホテルの従業員が爆弾に勘付いて、警察への通報や宿泊客の避難をさせ始めたら、上に報告することである。不審者が現れた場合の対処など、指示されていない。
(一応……一応、報告しておくか)
万が一、あれが警察や自衛隊の変装(だとはとても思えないが)だったら事である。そう思った男はワイシャツの襟裏に隠してある小型マイクのスイッチを入れようとして、
「おっと、一匹目発見」
後ろからそんな言葉が聞こえたかと思うと、男は自分の首に細い何かが巻きつくのを感じた。それが何かを考えるよりも早く、強く圧迫されたそれによって、男は瞬時に意識を落とした。
「部隊長、もしかして……やっちゃいました?」
「流石に、こういった場所で公然と処理するのは……」
受付にやってきた上司に、部隊長、日野部の名前を出して諸々を納得させた安久と宇佐美は、ソファーの後ろに男を横たえた部隊長にそう聞いた。
「馬鹿者、こんな所で殺しなどするか、失神させただけだ」
その言葉に安堵したように息を吐く安久と、「なーんだ、つまんないの」と、危険な思考が見え隠れしている宇佐美のリアクションを無視して、部隊長は腕時計を見る。
「そろそろ比乃が指定された時間になる。その前に爆弾を発見しなければならん。不審物を発見次第俺に連絡しろ」
「それは良いですけど、従業員に咎められたらどうすればいいんです?」
「俺の名前を出せばいい。安心しろ、ここのオーナーとは、旧知の仲でな」
その一言で合点がいった二人は「了解」と二手に別れてその場から離れた。
二人を見送った部隊長は、懐から携帯端末を取り出して、目的の番号を入力し終えると、耳にそれを当てる。
「さてさて、外の調査はどうなっているかな」
「そろそろ返答がないまま五十分になりますが、標的は何を迷っているのでしょうか」
「自衛官とは言えど、自分の身柄をはいそうですかと差し出せはしないということだろう。当然とも言える」
「民間人と自分を天秤に乗せて同じ重さだと思っている、やはり自衛隊は腐ってますね」
「言ってやるな、自衛官とて、我々と同じ人間なんだからな。いつも最適な行動が取れるとは限らんのだろう。もっとも、最適な行動も取れない人間が国防を司っている時点で、自衛隊の底も知れるがな」
そう勝手に評して、リーダーらしい男は、目出し帽を鼻の辺りまで捲りあげて缶コーヒーを啜った。
そもそも、このテロリスト達は、元々過激派市民団体のメンバーだった。「だった」と言うのは、今の彼らがまだ世界中でテロが勃発し始める前に大陸や半島に渡り、特殊訓練や思想矯正を受けた工作員もどきになっているからだ。
そして工作員もどきなのは、自分達に訓練を施し、日本に帰国させた組織母体が、四つに割れて内戦を始めたり、片や南北での衝突の激化によって解体されてしまったからだ。それ以来、この集団は元々の市民団体としての目的、つまりは「自衛隊という不当な武力に対する抗議」または「自衛隊の解体」を、元々よりも過激な方法で達成しようとしていた。
だが、それも上手くはいっていなかった。組織の構成員はテロを起こす度に拘束されるか、あるいは殺害されてしまっており、その上、直接的なテロだけではなく、“少々”過激なデモを行なっても、同じ結果を招いているのだ。
おかげで、素性不明のスポンサーに従うことになったり、その要求に従うために、素人同然の他団体や暴力団にまで協力を仰ぐ必要が出てしまった。しかし、それも今回だけであると、この作戦さえ上手くいけば自衛隊に大打撃を与えることができるのだと、少なくともこの一団は考えていた。
誰も「日比野 比乃の身柄を受け渡したら爆破しない」とは言っていないのだ。あのホテルには一般の観光客の他に、東京から来た修学旅行生がいる。それだけではない、スポンサーから提供された情報によれば、そこには森羅財閥の令嬢と、なんと英国の王女までいるのだ。
それらを纏めて吹き飛ばしたらどうなるか……さぞ、自衛隊と日本政府、与党の立場は厳しい局面となるだろう。
スポンサーからの要望では令嬢と王女も確保するように言われているが、自分達にとって彼女らは有象無象共々消し飛んでくれた方が都合が良い。言い訳はいくらでも用意できる。
「もしかすると、目標は爆弾をブラフだと思っているかもしれんが、それは大きな間違いだ。それに万が一、目標が出て来なければ、強硬策に出れば良い」
そのためのAMWであり、そのために訓練された人員もいる。二手も三手も有利を取ったと見たリーダーは、自分達の勝利を確信して笑みを浮かべた。
* * *
一方その頃、ホテルのエントランス、
怪しげなケースを背負った大男と、何やら刀らしき物をベルトにぶら下げているモデル並みの美女の二人が、ホテル受付の従業員を困惑させていた。
「一泊したいんだけど、部屋は空いてる?」
「え、ええ……空いていますが……あの、そちらのお荷物は?」
「あら、このホテルは手荷物検査なんてするの? 随分とセキュリティが厳重なのね。安心安全そうだし、ご贔屓にしようかしら」
「お、恐れ入ります……あの、つきましてはそのケースと……刀? をフロントでお預かりさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「あ、それはちょっと駄目よ。どっちも素人に持たせたら危ない代物なの。ねぇあなた、あなたもそう思うでしょう?」
あなた、と呼ばれた大男――安久が、自分のことを言っていることに気付くまで反応を遅らせてから、
「……そうだな、これは一般人に持たせるわけにはいかんからな」
一般人に持たせられない荷物を持った客など、宿泊させるわけにはいかないのだが、従業員が遠回しにそれを言い出すよりも早く、美女、宇佐美が畳み掛ける。
「ねぇお願いよ、私たち長旅でとっても疲れてるの。どうしてだか他のホテルは全部部屋がないって言われちゃうし、ここが駄目だったら、最近物騒な土地で野宿しなきゃいけなくなっちゃうわ。テレビで観光客が野宿してる所を襲われて死亡したなんてニュース、見たくないでしょ?」
「そ、それはそうですが……しかしですね……」
「安心してくれ、この荷物は使い方さえ間違えなければ安全な物だ。危険はない」
使い方を間違えれば危ない荷物を持った客など、宿泊させるわけにはいかないのだが、従業員がストレートにそれを言い出すよりも早く、二人がカウンターに身を乗り出す。
「部屋、空いてるんでしょう?」
「部屋は空いているのだろう?」
従業員は、涙目になりながら、上司を呼ぶインターホンを鳴らした。
そんな問答を、フロントの端、利用客のために置かれたソファーに、ワイシャツにスラックスといったサラリーマン風の男が腰掛けていた。その男は、新聞紙を広げて視線を露出しないようにしながら、受付の方を観察していた。
(なんなんだ……あいつらは)
自分も、その手の専門職から見れば不審者に見られてしまうかもしれない様相をしているが、今、受付カウンターで従業員を言いくるめようとしている二人組は、自分以上の不審者だった。
この男の役目は、ホテルの従業員が爆弾に勘付いて、警察への通報や宿泊客の避難をさせ始めたら、上に報告することである。不審者が現れた場合の対処など、指示されていない。
(一応……一応、報告しておくか)
万が一、あれが警察や自衛隊の変装(だとはとても思えないが)だったら事である。そう思った男はワイシャツの襟裏に隠してある小型マイクのスイッチを入れようとして、
「おっと、一匹目発見」
後ろからそんな言葉が聞こえたかと思うと、男は自分の首に細い何かが巻きつくのを感じた。それが何かを考えるよりも早く、強く圧迫されたそれによって、男は瞬時に意識を落とした。
「部隊長、もしかして……やっちゃいました?」
「流石に、こういった場所で公然と処理するのは……」
受付にやってきた上司に、部隊長、日野部の名前を出して諸々を納得させた安久と宇佐美は、ソファーの後ろに男を横たえた部隊長にそう聞いた。
「馬鹿者、こんな所で殺しなどするか、失神させただけだ」
その言葉に安堵したように息を吐く安久と、「なーんだ、つまんないの」と、危険な思考が見え隠れしている宇佐美のリアクションを無視して、部隊長は腕時計を見る。
「そろそろ比乃が指定された時間になる。その前に爆弾を発見しなければならん。不審物を発見次第俺に連絡しろ」
「それは良いですけど、従業員に咎められたらどうすればいいんです?」
「俺の名前を出せばいい。安心しろ、ここのオーナーとは、旧知の仲でな」
その一言で合点がいった二人は「了解」と二手に別れてその場から離れた。
二人を見送った部隊長は、懐から携帯端末を取り出して、目的の番号を入力し終えると、耳にそれを当てる。
「さてさて、外の調査はどうなっているかな」
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