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第三十五話「極寒の地での任務について」
概要説明
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外の寒さに比べて、暖房が効いているプレハブ内は暖かかった。
三人は外衣を脱いで前に抱えると、アバルキンに促されて奥側の席に座った。それに続いて入り口側にロシア軍の三人が座る。
そして六人の前に立ったアバルキンが「さて」と一呼吸置いて、
「今回は少々特殊な環境と状況とはなっているが、ロシアと日本、この二カ国で合同演習が行えることを喜ばしく思う」
そう前置きをしてから、少佐は説明を始めた。
「事前に知らされているとは思うが、今回の軍事演習は二日間に渡って行われる。まず本日だが、自衛隊と我々との模擬戦闘を実施する。これは互いの技量について擦り合わせる為のものだ。両者、存分に力を発揮してもらいたい」
少佐がそう言った所で、エリツィナが自衛隊三人を横目で睨む。彼女からの明らかな敵意の眼差しに気づいたのは比乃だけだったが、そんな目で見られる覚えが本人にはないので、比乃は適当に軽く頭を下げて置いた……視線が更にきつくなった気がした。
アバルキンがごほんと態とらしく咳をすると、中尉はふいと視線を前に戻した。
「そして明日だが、日比野軍曹らから直接、対OFM戦闘についてここでレクチャーして貰い、その後、最後の締め括りとして、実機を使って対OFM戦を日露合同で行った場合を想定した演習を行う。これが大体のスケジュールだ」
ここまで何か質問は、と少佐が六人を一瞥すると、比乃が挙手して立ち上がった。
「最後に行うと言う日露合同での作戦を想定した訓練ですが、それはつまり、今後自分達とそちらで組んでOFM撃退を行う可能性もあるということでしょうか?」
「それは多分に政治的問題が関わるので、私からは断言できないが、今回の演習内容に関しては上からの指示であるため、それもあり得ると考えてもよいかもしれないな」
上からの指示、となると、ロシアの上層部は日本と協力してでもOFMの対処を行いたいということなのだろうか。
そこまでこの国が切羽詰まっているとは考えていなかったが、今回の演習もロシア側から頼まれたと言うことであるし、自分が思っているよりもロシアの状況は逼迫しているのかもしれない。
比乃は短時間でそう分析して「わかりました」と席に座った。そのタイミングで、外から大型車両のエンジン音が複数聴こえてきた。全員がそちらを見やると、例の機材を積んだトラックが広場に入ってきた所だった。
「ちょうどそちらの機体も到着したようだな。それでは、模擬戦の細かい打ち合わせをする」
それから、壁に広げられた地図を使って、模擬戦を行う地域と範囲、お互いの初期位置などについて詳しく打ち合わせが行われた。模擬戦に参加する全員がそれらを確認した所で、ミーティングは解散となった。
後は機体のセッティングが終わるまで待機となる。それまでの待ち時間、比乃ら自衛隊組は整備スタッフの所に集まっていた。三人を出迎えたのは、数ヶ月ぶりに顔を見る整備員、森一等陸曹であった。
「よう比乃に志度に心視、久しぶりだね」
「森さんもお久しぶりです」
「森のあんちゃん! 元気してたか!」
「森一曹……お久しぶり……」
三者三様の反応に、森は苦笑しつつ、
「元気だよ元気、そっちこそ学校とかどうだい?」
森は近づいて来た志度の頭をわしゃわしゃ撫でながら、笑みを浮かべて聞く。比乃が「学業も滞り無くやれてますよ」と胸を張って言うと「そりゃ良かった」と志度の頭から手を離した。
「さて、感動の再会は一先ず置いといて、装備の説明だね」
真面目な顔になった森が、腰に巻いていたバックルから大型の端末を取り出して、画面に触れて操作すると、今回のTkー7改二の武装一覧が映し出された。それを三人に見えるように持ち替える。
それを見た比乃が「あれ?」と怪訝そうな声を上げた。志度と心視も同様に、疑問符を作っている。
「森さん、まさかですけど、改二の装備……」
「そう、そのまさか。Tkー7更なる改造案に変わってるよ。志度と心視の機体もこれになってるから、二人もよく見といてね」
三人の前に表示されたTkー7改二の立体モデルの隣にある装備欄には、ある意味で見慣れた、しかし最近はほとんど目にしなかった装備が追加されていた。
「今更スラッシャー付け直すんですね……」
Tkー7改二の腕部に外付けされた武装、それは多目的アンカー「スラッシャー」であった。旧Tkー7や、Tkー7改に取り付けられていた。市街地での戦闘において高い汎用性を発揮する武装である。志度と心視も「おお、懐かしい」と声を漏らす。
「使い勝手良いから俺は好きだけどな」
「……先祖、帰り?」
「まぁ三人が戸惑うのもわかるけどね、技本の方から正規軍相手に新装備のデータを得るチャンスだからって押し付けられちゃってね」
「……でも森さん、ここ、市街地じゃなくて森林地帯ですよ?」
そう、スラッシャーは建造物や大型の構造物などを用いて、三次元での立体起動を行うための装備である。今、比乃達がいるような山中で使うには、ちょっとコツがいるし、万全にその効果を発揮できない。
Tkー7の整備士である森はそれを承知していないはずもなく、彼は頰をぽりぽり気不味そうに掻いた。
「いやね、技本もそれはわかってるはずなんだけど、“それでもあの三人なら使いこなせるはずだ”って豪語されちゃって……使ってもらえるよね?」
どうやら、技本から過大評価を受けているらしい。比乃は困り顔になりつつも「まぁ、わかりました」と了承した。
「命令とあらば、どうにか使ってみせます。データが必要ってことは、それなりに活用しないといけないんでしょう? 完全な平地でもなければ、やりようはありますから」
「流石は比乃、物分かりが良い!」
嬉しそうな森に諦め気味に言った比乃は「ただし」と付け加える。
「スラッシャーを積極的に使うのは僕だけでいいですよね、データ取るならそれでもいいはずです」
「それはいいけど、なして?」
森と、隣の志度と心視が首を傾げた。比乃は説明する。
「この中で、一番スラッシャーを使うのに慣れてるのは僕です。志度はこれが無くても近接戦闘ができますし、心視はポジション的にあんまり使用経験がありません。そんな二人が変にスラッシャーをい使って模擬戦で足枷になるくらいなら、慣れてる僕が使えば良い。それだけの話です」
「なるほど、一理ある」
説明を聞いて頷く森だったが、志度は「えー?」と不満そうな声をあげた。
「俺だって使えるぞ、そんな負担にならないって!」
「それじゃあ聞くけど、これ使った三次元機動テスト、志度と僕で評価の差はどれくらいあった?」
「うっ……それは……」
思わず呻いた志度の名誉のために詳細は省くが、この二人でのワイヤーアンカーの扱い方の評定には、二段階ほど差があった。その上、比乃はスラスターを用いた三次元機動のテストも行なっているのである。これに関してだけは、その技量差は一目瞭然であった。
「というわけで、二人は無理せずいつも通り戦ってね」
「ちぇ、わかったよ」
「了解……」
「うん、流石はまとめ役。それじゃあそういう風にセッティングしとくから、もう少し待っててちょうだいな」
そう言うと、森は三人から離れて機体の入ったコンテナの前で集合していた整備スタッフ達にあれこれ指示を出し始めた。
指示を受けたスタッフ達がそれぞれの担当部位に移動していくのを見送って、比乃はプレハブの隣、おそらくは相手側のペーチルが収まっているであろう、大型コンテナの方を見て呟く。
「さて、相手はどんな装備で来たのかな」
三人は外衣を脱いで前に抱えると、アバルキンに促されて奥側の席に座った。それに続いて入り口側にロシア軍の三人が座る。
そして六人の前に立ったアバルキンが「さて」と一呼吸置いて、
「今回は少々特殊な環境と状況とはなっているが、ロシアと日本、この二カ国で合同演習が行えることを喜ばしく思う」
そう前置きをしてから、少佐は説明を始めた。
「事前に知らされているとは思うが、今回の軍事演習は二日間に渡って行われる。まず本日だが、自衛隊と我々との模擬戦闘を実施する。これは互いの技量について擦り合わせる為のものだ。両者、存分に力を発揮してもらいたい」
少佐がそう言った所で、エリツィナが自衛隊三人を横目で睨む。彼女からの明らかな敵意の眼差しに気づいたのは比乃だけだったが、そんな目で見られる覚えが本人にはないので、比乃は適当に軽く頭を下げて置いた……視線が更にきつくなった気がした。
アバルキンがごほんと態とらしく咳をすると、中尉はふいと視線を前に戻した。
「そして明日だが、日比野軍曹らから直接、対OFM戦闘についてここでレクチャーして貰い、その後、最後の締め括りとして、実機を使って対OFM戦を日露合同で行った場合を想定した演習を行う。これが大体のスケジュールだ」
ここまで何か質問は、と少佐が六人を一瞥すると、比乃が挙手して立ち上がった。
「最後に行うと言う日露合同での作戦を想定した訓練ですが、それはつまり、今後自分達とそちらで組んでOFM撃退を行う可能性もあるということでしょうか?」
「それは多分に政治的問題が関わるので、私からは断言できないが、今回の演習内容に関しては上からの指示であるため、それもあり得ると考えてもよいかもしれないな」
上からの指示、となると、ロシアの上層部は日本と協力してでもOFMの対処を行いたいということなのだろうか。
そこまでこの国が切羽詰まっているとは考えていなかったが、今回の演習もロシア側から頼まれたと言うことであるし、自分が思っているよりもロシアの状況は逼迫しているのかもしれない。
比乃は短時間でそう分析して「わかりました」と席に座った。そのタイミングで、外から大型車両のエンジン音が複数聴こえてきた。全員がそちらを見やると、例の機材を積んだトラックが広場に入ってきた所だった。
「ちょうどそちらの機体も到着したようだな。それでは、模擬戦の細かい打ち合わせをする」
それから、壁に広げられた地図を使って、模擬戦を行う地域と範囲、お互いの初期位置などについて詳しく打ち合わせが行われた。模擬戦に参加する全員がそれらを確認した所で、ミーティングは解散となった。
後は機体のセッティングが終わるまで待機となる。それまでの待ち時間、比乃ら自衛隊組は整備スタッフの所に集まっていた。三人を出迎えたのは、数ヶ月ぶりに顔を見る整備員、森一等陸曹であった。
「よう比乃に志度に心視、久しぶりだね」
「森さんもお久しぶりです」
「森のあんちゃん! 元気してたか!」
「森一曹……お久しぶり……」
三者三様の反応に、森は苦笑しつつ、
「元気だよ元気、そっちこそ学校とかどうだい?」
森は近づいて来た志度の頭をわしゃわしゃ撫でながら、笑みを浮かべて聞く。比乃が「学業も滞り無くやれてますよ」と胸を張って言うと「そりゃ良かった」と志度の頭から手を離した。
「さて、感動の再会は一先ず置いといて、装備の説明だね」
真面目な顔になった森が、腰に巻いていたバックルから大型の端末を取り出して、画面に触れて操作すると、今回のTkー7改二の武装一覧が映し出された。それを三人に見えるように持ち替える。
それを見た比乃が「あれ?」と怪訝そうな声を上げた。志度と心視も同様に、疑問符を作っている。
「森さん、まさかですけど、改二の装備……」
「そう、そのまさか。Tkー7更なる改造案に変わってるよ。志度と心視の機体もこれになってるから、二人もよく見といてね」
三人の前に表示されたTkー7改二の立体モデルの隣にある装備欄には、ある意味で見慣れた、しかし最近はほとんど目にしなかった装備が追加されていた。
「今更スラッシャー付け直すんですね……」
Tkー7改二の腕部に外付けされた武装、それは多目的アンカー「スラッシャー」であった。旧Tkー7や、Tkー7改に取り付けられていた。市街地での戦闘において高い汎用性を発揮する武装である。志度と心視も「おお、懐かしい」と声を漏らす。
「使い勝手良いから俺は好きだけどな」
「……先祖、帰り?」
「まぁ三人が戸惑うのもわかるけどね、技本の方から正規軍相手に新装備のデータを得るチャンスだからって押し付けられちゃってね」
「……でも森さん、ここ、市街地じゃなくて森林地帯ですよ?」
そう、スラッシャーは建造物や大型の構造物などを用いて、三次元での立体起動を行うための装備である。今、比乃達がいるような山中で使うには、ちょっとコツがいるし、万全にその効果を発揮できない。
Tkー7の整備士である森はそれを承知していないはずもなく、彼は頰をぽりぽり気不味そうに掻いた。
「いやね、技本もそれはわかってるはずなんだけど、“それでもあの三人なら使いこなせるはずだ”って豪語されちゃって……使ってもらえるよね?」
どうやら、技本から過大評価を受けているらしい。比乃は困り顔になりつつも「まぁ、わかりました」と了承した。
「命令とあらば、どうにか使ってみせます。データが必要ってことは、それなりに活用しないといけないんでしょう? 完全な平地でもなければ、やりようはありますから」
「流石は比乃、物分かりが良い!」
嬉しそうな森に諦め気味に言った比乃は「ただし」と付け加える。
「スラッシャーを積極的に使うのは僕だけでいいですよね、データ取るならそれでもいいはずです」
「それはいいけど、なして?」
森と、隣の志度と心視が首を傾げた。比乃は説明する。
「この中で、一番スラッシャーを使うのに慣れてるのは僕です。志度はこれが無くても近接戦闘ができますし、心視はポジション的にあんまり使用経験がありません。そんな二人が変にスラッシャーをい使って模擬戦で足枷になるくらいなら、慣れてる僕が使えば良い。それだけの話です」
「なるほど、一理ある」
説明を聞いて頷く森だったが、志度は「えー?」と不満そうな声をあげた。
「俺だって使えるぞ、そんな負担にならないって!」
「それじゃあ聞くけど、これ使った三次元機動テスト、志度と僕で評価の差はどれくらいあった?」
「うっ……それは……」
思わず呻いた志度の名誉のために詳細は省くが、この二人でのワイヤーアンカーの扱い方の評定には、二段階ほど差があった。その上、比乃はスラスターを用いた三次元機動のテストも行なっているのである。これに関してだけは、その技量差は一目瞭然であった。
「というわけで、二人は無理せずいつも通り戦ってね」
「ちぇ、わかったよ」
「了解……」
「うん、流石はまとめ役。それじゃあそういう風にセッティングしとくから、もう少し待っててちょうだいな」
そう言うと、森は三人から離れて機体の入ったコンテナの前で集合していた整備スタッフ達にあれこれ指示を出し始めた。
指示を受けたスタッフ達がそれぞれの担当部位に移動していくのを見送って、比乃はプレハブの隣、おそらくは相手側のペーチルが収まっているであろう、大型コンテナの方を見て呟く。
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