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葵が向かった先は

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 「あいつ…」黒井と小山は何も持たずに飛び出していった葵の元へレンタカーを借りて向かった。またもや何もないところに屋敷がぽつんと立っている。
(別荘…って言ってたよな?)魔女でも出てきそうな建物に黒井はまたかとため息をついた。

「なんか魔女が出てきそうだな」小山も同じことを言い、車のドアを閉めた。蝙蝠がその建物の上を飛んでいれば上出来だと黒井は思った。鉄格子で囲まれた門に干乾びたバラが纏わりついている。建物は洋館で古びていて、物音が一切しない。その場だけ時が止まったかと思われるその建物は全ての窓が閉じられ、稀にカーテンがヒラヒラと靡いて覗いている箇所がある。

「ここの中に入るのかよ」

まだ日は暮れていないはずなのに、その場だけが暗い。二人とも入るのを躊躇っていた。すると入口の方から誰かが出てきた。
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