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第1話
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一人の少女が森の中に入っていく。
「まぁ、素敵なものが沢山あるわ」
骨董屋でRoseは茶器を眺めていた。彼女は普段のお勉強や作法を学んだりするのがうんざりで時々屋敷を抜け出しては、近くの森へ探検にいくのだった。今日はそんな森の奥深くまで行ってみようと彼女とお友達の馬に乗り見つけたのが洋館だった。
そんな彼女の言葉に反応し、奥から1人のおばあさんが出てきた。
「それは、あなたの夢を叶えてくれる特別なものだよ」
「夢?」
「そう、古のものの中にそれは代々伝わったものじゃ…。あっ、ちょっとまっててね」
おばあさんは奥へ行くと1つの置物を持って現れた。
それは羽が青白くキラキラしている鳥の置物だった。
「かわいいわ」
彼女を真っ直ぐ見つめたその鳥を見て、Roseは手を叩いてニコリと笑った。
「これはきっとあなたの役に立つでしょう」
おばあさんはそう言うとRoseにその置物を渡した。
「けれど決して誰にも話してはならないからね。話せばたちまち不幸が訪れる。それをもう見るのはうんざりなのだよ…。心の優しいお嬢さんならきっと…」
おばあさんはその言葉を残し、奥へ入っていった。残された彼女は喜びを隠せないまま、その場から帰って行った。
その夜、Roseは自分の屋敷に戻り部屋の中にいた。椅子に座りその鳥の置物を撫でていた。
「あなたの妖精となりましょう」
どこから声がするのか、Roseは辺りを見渡した。けれど周りには誰もいなかった。両手を広げたその上に青白い鳥がいた。先程の置物よりも少し大きくその鳥の嘴が開いた。
「これからはずっとあなたのおそばに」
彼女は驚きつつもそっと胸によせた。
そんな彼女を夫人は見ていた。
(置物に話しかけて何をしているのかしら。それにあんな置物、どこから…)
夫人はRoseが今日のレッスンを無断で休んでいたことを思い出し、またどこかへ遊びに行ったことを悟った。
「嫁入り前の娘があんなはしたないことを…やめさせなければならないわね」
次の日、Roseは昨日の森の中の洋館へ行った。隣には騎士たちが歩いている。彼女は昨日の他に可愛いものを探しに行こうと思ったのだった。
「なんでついてくるのよ」
頬を膨らませながら彼女が言うと騎士は
「旦那様に叱られます…」と言った。
「勝手に昨日外を出られたでしょう?」
「そうだけど…」
「それに、お嬢様どこへ行かれるのですか?」
と困った顔をしている。
(昨日おばあさんが言ってたのは置物を話さないってことだったわ…。入り口でこの人たちを置いとかなきゃ…)
彼女は彼らの言葉を無視して入っていった。しかし、昨日とは打って変わって、その洋館には昨日の輝かしいキラキラしたものたちはなくなっていた。屋根は高く、周りはレンガが積まれておりそれ以外は何も無かった。何かを悟り騎士は剣を抜いた。
「お嬢様、お下がりください。ここは、魔女の館でございましょう」
「魔女?」
彼女は首を傾げた。
「昨日の置物もこちらで?それはもしかしたらなにかの呪いの品でしょう」
そう言うと、ポケットからRoseの部屋にあったはずの鳥の置物を出した。
「あっ、それ…」
彼女が取り上げようをするのを避け、
「怪しいと思ったんですよ。お嬢様、二度とこのような場所へ立ち入ってはなりません」と言った。
「違うの…それは…」
止めようとする彼女を無視して1人の騎士はその置物を持ち上げるやいなや、床にたたきつけた。鳥の首はバウンドし壁にあたり粉々になり、胴体はあちこち裂け、羽根は輝きを失い黒くなった。
「まぁ、素敵なものが沢山あるわ」
骨董屋でRoseは茶器を眺めていた。彼女は普段のお勉強や作法を学んだりするのがうんざりで時々屋敷を抜け出しては、近くの森へ探検にいくのだった。今日はそんな森の奥深くまで行ってみようと彼女とお友達の馬に乗り見つけたのが洋館だった。
そんな彼女の言葉に反応し、奥から1人のおばあさんが出てきた。
「それは、あなたの夢を叶えてくれる特別なものだよ」
「夢?」
「そう、古のものの中にそれは代々伝わったものじゃ…。あっ、ちょっとまっててね」
おばあさんは奥へ行くと1つの置物を持って現れた。
それは羽が青白くキラキラしている鳥の置物だった。
「かわいいわ」
彼女を真っ直ぐ見つめたその鳥を見て、Roseは手を叩いてニコリと笑った。
「これはきっとあなたの役に立つでしょう」
おばあさんはそう言うとRoseにその置物を渡した。
「けれど決して誰にも話してはならないからね。話せばたちまち不幸が訪れる。それをもう見るのはうんざりなのだよ…。心の優しいお嬢さんならきっと…」
おばあさんはその言葉を残し、奥へ入っていった。残された彼女は喜びを隠せないまま、その場から帰って行った。
その夜、Roseは自分の屋敷に戻り部屋の中にいた。椅子に座りその鳥の置物を撫でていた。
「あなたの妖精となりましょう」
どこから声がするのか、Roseは辺りを見渡した。けれど周りには誰もいなかった。両手を広げたその上に青白い鳥がいた。先程の置物よりも少し大きくその鳥の嘴が開いた。
「これからはずっとあなたのおそばに」
彼女は驚きつつもそっと胸によせた。
そんな彼女を夫人は見ていた。
(置物に話しかけて何をしているのかしら。それにあんな置物、どこから…)
夫人はRoseが今日のレッスンを無断で休んでいたことを思い出し、またどこかへ遊びに行ったことを悟った。
「嫁入り前の娘があんなはしたないことを…やめさせなければならないわね」
次の日、Roseは昨日の森の中の洋館へ行った。隣には騎士たちが歩いている。彼女は昨日の他に可愛いものを探しに行こうと思ったのだった。
「なんでついてくるのよ」
頬を膨らませながら彼女が言うと騎士は
「旦那様に叱られます…」と言った。
「勝手に昨日外を出られたでしょう?」
「そうだけど…」
「それに、お嬢様どこへ行かれるのですか?」
と困った顔をしている。
(昨日おばあさんが言ってたのは置物を話さないってことだったわ…。入り口でこの人たちを置いとかなきゃ…)
彼女は彼らの言葉を無視して入っていった。しかし、昨日とは打って変わって、その洋館には昨日の輝かしいキラキラしたものたちはなくなっていた。屋根は高く、周りはレンガが積まれておりそれ以外は何も無かった。何かを悟り騎士は剣を抜いた。
「お嬢様、お下がりください。ここは、魔女の館でございましょう」
「魔女?」
彼女は首を傾げた。
「昨日の置物もこちらで?それはもしかしたらなにかの呪いの品でしょう」
そう言うと、ポケットからRoseの部屋にあったはずの鳥の置物を出した。
「あっ、それ…」
彼女が取り上げようをするのを避け、
「怪しいと思ったんですよ。お嬢様、二度とこのような場所へ立ち入ってはなりません」と言った。
「違うの…それは…」
止めようとする彼女を無視して1人の騎士はその置物を持ち上げるやいなや、床にたたきつけた。鳥の首はバウンドし壁にあたり粉々になり、胴体はあちこち裂け、羽根は輝きを失い黒くなった。
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