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兄は悪くないから

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 MargaretはGeoffの話が再び出てくるとは思わなかったと涙を流した。あの不気味な男たちによって大好きなお兄様がこの街では悪く言われていた。あんなに優しくていつも味方になってくれた人だったのに、自分の両親を殺したなど思えなかった。だから群衆たちが亡くなったはずのGeoffを探し出し、死体となったGeoffの墓を探し出し、丁度お参りをしていたMargaret達の元に人々はやってきた。Margaret達をどかし、墓を穿り出しその骨を晒そうという魂胆だった。残酷なことが行われることに我慢のならなかったMargaretは気の狂ったような目をしている人々に大声で

「違うわ!Geoff…お兄様はそんなことをする人ではないもの」

と言い出した。周りの2人が止めようとしたが、大好きな兄のことならMargaretは黙っていられず、怒りは収まらなかった。人々の前に立ち、兄の潔白を証明しようと言い出した。

「何をしている」

とどこからか声がした。長老のように白く長いひげを生やし、腰を曲げたお爺さんがやってきた。そのお爺さんが歩くところに道ができ、敬う様な姿勢を見せた。

「お嬢さんや、わしの土地でなに大声で喚いていたのだ」

どこの誰だかわからないが、土地という発言から偉い身分の人だと判明し、丁寧にお辞儀をした。

「ごめんなさい、お爺様。私、こんな残酷なことをする人たちが我慢できませんでしたの。貴方の場所だとは知りませんでしたわ」

その言葉からそのお爺さんは「残念だが、そのことを命令したのはわしだよ」

「え?」

「昔はここは平和だった。だがその男のせいで平和は崩れてしまった。じゃから二度とこのようなことはするなと言う見せしめだ。いくらその人がお前さんの兄でも、骨になったものはモノとしては変わりない。教養の材料にしたほうが今後の身のためだと思うがね」

その言葉に思わずMargaretは何叫ぶ声で

「いいえ、そうは思いませんわ。それに私のお兄様はそのようなことをしていないわ」

といった。NicolasもMichelも止めに入ろうと加わった時、長老はニヤリと笑い

「ならば、誰だと言いたいのかね?」と聞いた。

「それは…」

Margaretは口ごもった。だがやがてはっと思い出し

「Geoff兄さまが言っていたわ、俺はBu…」

Margaretが言い終わらないうちに強い力でそのお爺さんに口を塞がれた。

「この治安を悪くするようなもの共を連れていけ」

その人は力がヨボヨボではなく力強く、それに誰かの声に似ていた。

(どうして早く気づかなかったのかしら)

三人は馬車に乗せられ、しばらく走った後NicolasとMichelは降ろされた。Margaretだけそこに残され、森の奥深くまでその馬車は走り続けた。
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