ホスト異世界へ行く

REON

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第三章 異世界ホスト、訓練開始

スラム(西区)

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食事の後はバスに乗った。
この異世界のバスは日本でお馴染みのガソリンや電気で動くバスではなく、魔力を封じ込めたというものが動力になっている。

バスがあるのだから自家用車も当然ある。
ただ車輌がとんでもなく高価な上に魔封石に魔力をチャージするのも高額らしく、そんな金食い虫を所有する物好きは配送に利用する商人や財力のある貴族くらいなものだとか。

という訳で庶民の味方がバス。
王都の中を走るバスだけは数少ない交通手段の一つとして国が管理していて、一般国民でも乗れる運賃に設定されている。
南区や北区に暮らす人たちはそのバスを利用して仕事に通っているとのこと。

そのバスに乗って向かったのは終点。
スラムと呼ばれる西区の手前にバスの終点があった。

「スラムの中は通ってないのか」
「通ったりしてみろ。襲撃されて運賃は奪われるし車輌も解体されて売りさばかれるぞ。運転手の命も危ない」
「……なるほど」

まさにスラム。
そういう事情があるならスラムの手前が終点なのも納得。

「スラムはそこかしこにスリが居ると思ってくれ。一応ローブを羽織ってるけど財布は必ず盗まれ難い場所へ仕舞うように。あと物乞いに近付いてくる奴は相手せずに無視しろ。女子供だからって気を許すと身ぐるみ剥がされるぞ」

デンジャーゾーン。
エドやベルにもローブを持って来るよう言った理由は服の上にローブを羽織れば財布を盗み難くなるからだったようだ。
ドニからレクチャーを受けて俺も一番安全だろうスーツの内ポケットに財布をしまった。

「教会に行きたいって言ってたよな?」
「うん。目的地は」

今回スラムを選んだ理由は教会に行きたかったから。
と言っても神に祈りたくなった訳じゃない。
もし神に祈りたいだけならわざわざスラムまで来なくとも召喚祭をやった巨大な大聖堂が南区にある。

「じゃあ目的地は教会ってことで」
「案内頼む」
「了解」

抜きやすいよう剣の位置を直しながらドニは頷いた。


「使用人というか……護衛だな」
「まあ」

ドニと俺の前を歩くベルと後ろを歩くエド。
スラムに入ってすぐ自然とその配置で歩き始めた二人にドニは苦笑する。

ワタクシたちはシンさまの生活全てのサポートをするためにおりますので。身の回りのお手伝いをさせていただくことはもちろんのこと、冒険者として依頼を受ける際にはパーティメンバーにもなりますし、普段の護衛もいたします」
「ほんと万能。まあでも辺境の地から来た人に連いて行くならそのくらい万能じゃないと勤まらないか」

ベルの話を聞いたドニは俺に視線を向けてクスっと笑う。
辺境の地から来たとは思ってない癖に。

「分かった。認める。俺は異世界人だ」
「シンさま。話してしまって良かったのですか?」
「辺境の地の人って設定は無理があったからな。この世界では有り得ないはずの髪と瞳の色をした特殊な奴が居るとなれば、洞穴に篭って人目に触れないようにしない限り情報がまわる」

この世界に居ないはずの存在なんてそれこそ研究対象。
どのような原因でそのような色を持つ人族が生まれたのか、何か特別な能力が備わっているんじゃないかと、マッドサイエンティストなら興味を惹かれて放っておいてはくれないだろう。

「だろうとは思ってたけど何で隠してたんだよ」
「この世界の人って異世界人イコール勇者だと思ってるだろ?実際に今まではそうだったみたいだから仕方ないんだけど、一緒に召喚されたアイツらと違って俺は本当に勇者じゃなかったんだ。だから勇者のアイツらとは別々に生活してる」

異世界人だと認めること自体は嫌じゃない。
それが事実だし、恥じることでもないから。

「異世界人ってだけで勇者と勘違いされる俺が過ちを犯せば本物の勇者に迷惑をかけるかも知れない怖さがあるし、救世主でも何でもないのに人が集まって騒ぎになったり神か仏かっていうように頭を下げられるのも嫌だってのも大きいかな」

何処に行っても髪と瞳の色で
もちろん犯罪を犯すつもりはないけど、俺が居た世界とこの異世界では法律ルールも違うから『そんなつもりじゃなかったのに』ってことも有り得なくはない。

「悪いな。本当に勇者じゃなくて」
「いや。俺がイメージしてた勇者の姿とシンがピッタリだったってだけで、違うって言ってるのに信用しなくて悪かった」

話せて良かった。
親しくなって話す機会が増えた人と誤魔化し誤魔化し会話をするのは心苦しいから。

「……なんか雰囲気が変わった」
「今まではスラムの入口だっただけ。本格的なスラムはこの先からだ。元犯罪者もゴロゴロ居るから気をつけろ」

道を一本曲がっただけで様子が変わった。
今までも路上に座っている大人や子供が俺たちを遠巻きに見てたりはしたけど、ここは廃れている建物や落書きも多く腐敗臭のような嫌な臭いもしてくる。

「待った」
「ん?」

警戒しつつ辺りを見渡しながら歩いていてあるものが視界に入り三人を止める。

「なんだこれ……すげぇ」

廃れた建物の壁に描かれている女性。
見上げるほどの巨大な絵に感嘆が洩れる。

「フォルテアルさまですね」
「フォルテアル?」
「この国の人が信仰する神です」

そう教えてくれたのは隣で見上げているベル。
もしかして俺のステータスで遊んでいる神はコヤツか。

「この国の神は女神なのか」
「性別はございません」
「この絵だと女神にしか見えないけど?」
「教会の神像がこちらのお姿をしておりますので」

そういえば召喚祭のあと教会を出る時に見かけたような。
八百万の神が居るらしい日本で育った無宗教の俺には興味がなくて通り過ぎただけだったけど。

「この姿も教会が勝手に作ったイメージ像だろ。信仰対象としての姿があった方がいいから」
「ああ、まあそうだよな」

ドニから苦笑されて納得する。
日本の神々も姿が描かれたり像になってたりするけど、実際にその姿を見て描いた人は居ないだろうし。

「この絵スマホの電源が生きてたら撮りたかった」
「スマホ?」
「異世界の電話というものです。このくらいの板のような」
「電話?板?」
「今度見せてやるよ。もう電源が切れた役立たずだけど」

エドから身振り手振りで説明を受けても理解できないドニは疑問符をあげていて、二人のやり取りにベルはクスクス笑う。
この世界にはスマホどころか固定電話もないんだから理解できないだろう。

「せっかく癒されてたのに無粋だぞ」

俺の左右から背後に居る人物に向けられた剣。
片方はベルの、もう片方はドニの。

さすが剣聖と特殊部隊。
存在に気付いていないかのように壁画を見ながら会話をしつつも三人ともすぐに抜けるよう剣の柄を握っていた。

捕縛バインドをかけます」
「警備兵のスキルも持ってるのか?」
「はい。護衛で必要になる時もありますので」

俺たちの後ろに居たのは見知らぬ男が二人。
エドがスキルを使って拘束したことを確認してからベルとドニは剣を鞘に納める。

「それで?俺たちに何の用があったんだ?」

体を拘束されて身動きが取れない二人の前にしゃがむ。
服も顔も薄汚れているけどまだ若そうだ。

「何しに来たんだ!帰れ!」
「絶対に壊させないからな!」
「ん?なんの話をしてるんだ?」

壊す?なにを?
怒りを露わにする二人の話が理解できず首を傾げる。

「アンタら王宮魔導師だろ!」
「違う」
「嘘つくな!そのローブは王宮魔導師だって知ってる!」
「ああ、原因はこのローブか」

いけ好かない魔導師と勘違いされてしまうのは心外だけど、俺とエドとベルが今着ているローブは国から渡された王宮製の黒いローブだから勘違いしてしまうのも仕方がない。

「俺たちが王宮魔導師だったら問題があるのか?」
とぼけるな!この建物を壊すって言ってただろ!」
「この絵は俺たちがやっと描きあげたんだ!壊させない!」
「なるほど。そういうことか」

感情のままに声を荒らげる二人から壁の絵を見あげる。
たしかにこの絵を描きあげるのは大変だっただろう。

「お前らこの絵と人の命のどっちが大事だ?」

建物をざっと見渡しながら二人に問う。

「……どういう意味だ」
「この建物はじきに崩れる」
「そんなはずない!昔からあるんだぞ!?」
「じゃあなおさら。建物にも寿命があるんだ。お前らは比較的ヒビ割れが少ないここを選んで描いたみたいだけど、もうこの様子だと建物の中は壁や天井も落ちてるんじゃないか?吹き込む雨風で腐ったり錆びたりしてるだろ」

巨大な絵が描かれた建物はあらゆる場所がひび割れ既に崩れている箇所も見受けられる。
何年もこのまま放置されているのか蔦や苔が生えていてと呼ぶに相応しい様相だ。

「で、だ。何年も雨風にさらされて老朽した建物が突然崩れたらどうする?この壁が道側のこっちに倒れて来たらどうなる?たまたまそこに人が居たらどうする?お前たちは自分が描いた神の絵を守るために人の命を奪うのか?もしそうならとんだ信仰心だな。フォルテアルって神は死神だったのか?」

老朽化した建物が崩れる前に壊すのは致し方ないこと。
昔からここにある建物なら中には思い入れのある人も居るだろうけど、安全面を考えれば解体した方が良い。

「そんなの知らなかった。そんなことは教えてくれなかった」
「ここに来た魔導師は説明しなかったのか?」
「うん。汚いから壊すって」
「スラムは勇者さまに見せられない恥だからって」
「はぁ……やっぱ殴っとくべきだった」

すっかり大人しくなった二人の話を聞いて溜息とともにそんな本音が口を衝く。
やろうとしてること(解体)自体は間違ってると思わないけど、どうして必要な説明をせずに余計なことだけは言うのか。

「エド。もう解放してやってくれ」
「よろしいのですか?背後から襲おうとしたのに」
「もしまだ襲って来ても殴れば終わる」
「承知しました」

コイツらは俺たちを魔導師と勘違いして襲おうとしただけ。
仮に今までの話が全部嘘だったとしても、このガリピョロの二人には負ける気がしない。

「この建物は壊すしかないけどお前ら才能あるよ。絵画は全く興味がない俺が足を留めるほどに目を惹かれたんだから。まだ若いんだから可能性を捨てずに沢山練習して、いつか絵画に携わる仕事をしたらどうだ?本当に絵を描くのが好きなら」

日本に居た時は有名な画家が描いた絵にさえ興味が無かった俺の足を留めさせるくらいの代物だし、解体してもう見れなくなるのが惜しいと思うほど立派な出来栄え。
全く興味がない奴にそこまで思わせる絵を描ける二人は才能がある。

「スラムの奴に夢を見させんなよ。可哀想だろ?」
「おいおい。スラムってのはこんな次々と構ってちゃんが湧いてくる場所なのか?スライム並の遭遇率の高さだな」

絵の男二人との件が片付きそうになったところで新手。
カ〇ダタ風のバッキバキマッチョとカ〇ダタ子分が四人、仲間になりたそう……ならぬ構ってほしそうにこちらを見ている。

「お前らの仲間か?」
「ち、違います!」

ドニから聞かれた二人は大きく首を横に振って否定する。
もしこの二人がカ〇ダタの仲間だとしたらパシリ役としか思えないくらい系統が違うし、俺たちの気を逸らすための餌役だったなら声をかけず襲うだろうから嘘は言ってないだろう。

「じゃあハイエナだな」
「ハイエナ?」
「やり合ってる後から来て美味しいとこを持って行く奴」
「殴り合いさえしてないけど。話してただけで」
「少なくとも足留めにはなった」
「ああ。確かに」

さすがカ〇ダタ。やることが汚い。
ただ、殴り合いさえしてないことが分かっていながらハイエナしに来たんだから、わざわざ俺たちが弱ったところを狙わなくても勝てる自信があるんだろう。

「それで?一応聞くけどお前たちは何の用だ」

この状況で世間話をしに来たとは思わないけど。

「金目の物を置いていけ」
「断る‪(  ˙-˙  )スンッ‬」
「おとなしく言うことを聞いた方が身のためだぞ?」
「だが断る‪(  ˙-˙  )スンッ‬」

即答で二度答えるとドニがぷっと吹き出して笑う。
それに釣られるようにエドとベルにもクスクスと笑われた。

「話はそれだけか?終わったなら失礼する」
「ここを何処だと思ってる?なんでもありのスラムだぞ」
「そんなルールはお前たちが勝手に決めただけだろ」
「口の減らない坊ちゃんだな。死ななきゃ分からないか」

カ〇ダタ子分はナイフを出して、カ〇ダタ親分は拳を握る。
どうやら『にげる』の選択肢がない強制戦闘のようだ。

「お前は格闘士か」
「だからどうした」
「拘束する」

殴るモーションに入ったところで闇属性を使って拘束する。
バッキバキのマッチョに殴られてやるほどマゾじゃない。

「ミグル!」
「お前なにを!」
「おい。一度殺ろうとした相手に背を向けるな」

ピクリともしなくなったカ〇ダタを見て俺にロックオンした子分たちはドニとエドとベルから首元に剣を突きつけられる。

「危ないだろ。お前たちの身が。ついでに縛っといてやる」

カ〇ダタの子分たちも四人纏めて捕縛。
勢いよく纏めた所為でごっつんこしたのは許して欲しい。
ちょっとばかり加減を間違えた。

「どういう意味だ。コイツらの身が危ないって」
「三人とも武器を持った相手には手加減しないだろうから」
「当然だろ。例えナイフであろうと命を脅かす可能性のある武器を向けられた時点で応戦していい理由は成立してる」
「知ってる」

三人が剣を鞘に納めるのを見て苦笑する。
この異世界はまさに『撃っていいのは撃たれる覚悟の~』がまかり通るハードボイルドな世界。
言い換えるなら『殺っていいのは殺られる覚悟のあるヤツだけだ』が、平然と国の法律で決められている。

つまり俺の方が先に攻撃を仕掛けて返り討ちにあって死んだとしても、返り討ちにした相手は罪に問われない。
日本にも正当防衛というものがあるけど、この異世界の正当防衛は日本と違ってはない。

「どうする?コイツら全員元囚人だけど」
「知ってる奴なのか?」
「手の甲の刻印。無抵抗の相手を瀕死にしたり性犯罪で檻に入った重罪受刑者は一目で分かるよう囚人印を押される」
「瀕死……殺した場合の刑は?」

ドニに問うと無言のまま親指で首を切る仕草をする。
瀕死どころか殺した場合には牢屋に入る以前に胴から頭がオサラバする、と。

「そういうことならコイツらは解放する訳にいかないな」
「ベルと私が警備兵に引き渡して参ります」
「二人が?」
「はい。ここからですと教会の方が近いですからシンさまとドニさまはこのまま教会へとお向かいください」

解放してしまうと被害者が増えそうだから引き渡しに戻るしかないかと思っているとエドがその役目を申し出る。

「良いのか?あるじを護らなくて」
ワタクシどものあるじがスラムの痴愚ちぐな罪人風情に負けるとでも?」
「わ、分かった!頼む!」

ドニの問いにブラックなベルが現れ、連れ同士でのは勘弁して欲しくて間に入る。

「お強いドニさまだからこそ信頼してお任せできるのです。それに私たち二人であれば身軽に動けます。シンさまの安全を第一に考えて申し出たことですのでどうぞご理解ください」

色んな意味で苦労かけるな……エド。
お父さん(主)が不甲斐ないばかりに。
 
「あ、このまま引き渡して魔法の解除はできるか?」
「いえ。警備兵に闇魔法を使える者はおりません」
「そっか。じゃあ解除するからすぐにスキルをかけてくれ」
「承知しました」

気付いて良かった。
闇属性や時空属性は魔導師になってから学ぶとエミーから聞いた記憶があったから、もし警備兵が闇属性を使えないなら俺がかけた闇属性の拘束も解けないんじゃないかとふと思った。

「ベル、ドニ。動けるようになるから逃げないよう頼む」
「承知しました」
「了解」

カ〇ダタもカ〇ダタ子分も今はまるで抜け殻のように大人しくなっているけど、解除すれば抜け殻状態なのも正常に戻る。
エドがかけ終わるまでの短い時間だろうと腕のたつ奴なら逃げられてしまうかも知れない。

「解除」

タイミングをとりやすいよう声に出して魔法を解くと同時に今まで捕縛されてた五人の体がガクンと落ちるように動く。

捕縛バインド

カ〇ダタたちの動きを見て解除したことを確認したエドはすぐにスキル魔法をかけた。

「お前……俺に何をしたんだ」
「殴られる前に拘束しただけ。バキバキのマッチョに殴られて喜ぶ性癖はしてないんだ。避けられる戦いは避けるのが基本」

闇魔法の拘束を解いたら早速。
ただ捕縛する前ほどの元気はなく、特にカ〇ダタ子分の四人は俺を見上げて怖がっているように見えた。

「立て蛮族ども。あるじを狙う痴愚め」

ベル……病み子ちゃんのが顔が出てるから。
俺が危険に晒された時のベルの病み子ちゃんぶりは異常。

「それでは私どもは引き渡してから参りますので」
「頼んだ。気を付けろよ?」
「「シンさまも」」

怖がっていることは少し気になったものの引渡すまでは大人しい方が好都合だからそのまま連れて行って貰った。

「お前ら律儀だな。片付くのを待ってて」
「「あ」」

逃げられる状況だったことに気付いてなかったらしく律儀に座って待っていた最初の二人に笑う。

「俺たちももう行くから。いつ王宮魔導師が来るのかは知らないけど、見納めするにしても建物には近寄らないようにな」
「分かった」

今すぐ崩れるってことはないだろうけど念のため。
中に入る馬鹿は自業自得として、偶然道を歩いている人が万が一にも巻きこまれないよう道路に面した部分の壁だけ時空魔法で補強しておいた。

「絵が見たかっただけなのに余計な足留めされた」
「その王宮製のローブで金を持ってそうに見えるんだと思う。食うものも住むところもない奴が多いスラムで金を持ってそうな奴が歩いてたら標的にもなる」
「そっか」

王宮は王城(国)に関係した仕事に就いている人が暮らしている地区とはいっても軍人からお役所仕事(事務員)と幅が広い。
だから給金もピンキリで『王宮地区暮らし=裕福な人』とは限らないんだけど、スラムの人からすれば王宮製のローブを着てる人はみんな裕福な人のイメージなんだろう。

「ただ、王宮魔導師や師団だと思ってる奴が多いからスリや物乞いが寄って来ないって利点もある。冒険者は国王軍を見る機会も多いから違うローブだって分かるけど、普段軍人と関わりのない国民にはローブの違いなんて分からない人が多い」
「王宮魔導師と思われるのは複雑」

印象最悪の魔導師と思われるのは複雑な心境。
でもたしかに『スリには気を付けろ物乞いは無視しろ』と忠告された割には絵画の二人が襲ってくるまで誰も近寄ってこなかったことが事実。

「教会までもう少しだ。絡まれないに越したことはない」
「まあたしかに」

ドニの言う通り。
スラムに来た目的は教会に行くことだから、勘違いだろうと足留めされずに済んでることを有難いと考えよう。
 
そう気持ちを切り替え再び教会へ向かった。
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