どうせパッとしないなら異世界転生なんて必要ない!

桜田紅葉

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第六章「転生者とは」

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「あれが転生者が持つという特殊能力なのか?」
指揮官はそう察していた。
「ピストルセレクトブルー。ロックオン。」
レイトはゴットマシンガンを変形させ、スコープのようなものを出現させると、その対象をロックオンした。
そしてロックオンが完了すると、全く関係ないところに発砲する。
「どこに撃ってるんだ?あいつ。」
そうすると、弾丸は方向を一気に変え、対象者に高速で襲いかかる。
「避けろ!それか弾け!!!」
彼は持っていた剣で弾丸を弾こうとするも、それをスっと弾丸は避け、対象者の脳天に貫通した。
「俺らに逃げ道はないのかよ。」
「メーデー!」
指揮官はやっと自分から戦闘態勢になった。
「お前ら!ロックオンされたら終わりだ!!そうなったら死んでもアイツに刃を貫かせろ!!!」
「はい!!!」
絶望の彼方で頭がおかしくなったのか、全員死を覚悟したのか諦めたのかはわからないが、その指揮官の一言で軍の指揮は一段と増していく。
「なら今すぐにでも。」
レイトは慌てて次の技を繰り出そうとする。
そこにガルドが駆け寄る。
「いいかレイト。あの指揮官だけは生かした方が絶対良い。大事な情報源だ。」
「あぁ。分かってる。心配すんな。」
「そこだな。」
それを聞いたガルドは安心しながら後ろへと引き下がる。
「ロックオン。フォーカード。」
「ロックオンされるぞ!!!命を捨てて突撃しろ!!!!」





そこからは一方的な展開が待ち受けていた。
駆け寄る人々はレイトに届くことなくことごとく倒れていき、ついに指揮官のみになっていた。
「貴様ァァァァ!!!!」
その指揮官でさえも理性を失い、怒りと焦りだけをレイトにぶつけようとする。
「ピストルセレクト!レッド!!!!」
レイトが放った銃弾は指揮官の肩を貫き、指揮官はその場に倒れた。
そしてレイトが質問をし出す。
「あなた達は一体なぜ僕たちを狙うんですか。」
指揮官は少し黙っていたが、諦め話し始めた。
「我々はこの世界のもの達だけで平和に暮らしたいだけであった。しかし近代、明らかにおかしい能力を持った人間がどこからともなく現れ、この世界の構図を壊していく、文明も、価値観も、まるでそいつらがこの世界を救うという口実の裏、力を使いこの世界を新たに征服するのではないかとあの方は考えていた。だから我々そのものともども抹消し続けていた。」
「それでも、そうじゃない奴らが大半なんじゃないのか?」
「そんなことは簡単に言える。そういう異世界人を何人も見てきた。」
「そうか。」
レイトは自分の周りを眺め、倒れた兵士を眺めながら難しい顔で呟いた。
「もしかして俺も、自分の正義を押し付け悪にでもなっていたのか?」
そう後ろを見ていた隙に、指揮官は最後の力を振り絞り刃をレイトに振りかざす。
「オノレぇぇぇ!」
そう叫びながら振るも、いち早く気づいていたアルカがその腕を切り落とす。
「クソォォォォォ!」
まだ生きてはいるが、残りの時間はそう多くは残されていないであろう指揮官にレイトは質問を続けた。
「俺らをここへ送り出している神は一体なんなんだ?」
「、、、、それは我々もわからない。我々は、あの方が本物の神と思っている。今でも、これからも。」
「そうか。今までどれくらいの地球人を抹消したんだ?」
「さぁな。そんなもの数えてなどない。お前らには価値がないからな。」
「これだけは知って欲しい。地球人が全員そういう奴ばかりではないということを。少なくとも、俺らやケイナは。そして、その仲間達も。」
「またそうやってお前らは、、、せいぎ、、を。」
その言葉は最後まで続くことなく、指揮官は息絶えた。
そうするとガルドがレイトに話した。
「大丈夫だレイト。同じ人と戦ってすこし頭がおかしくなるかもしれないが、こいつらだって自分たちの正義のために関係ない人々を巻き込み続けていた。今だって。」
「あぁ。そうだといいんだけどな。ただ。」
「ただ?」
「俺らはなんのためにこの世界に送られたんだろうか。」
「それは俺にも分からない。ただ。今俺らがやることはわかってるだろ?」
「あぁ。」
レイトの顔は日を増すことに逞しくなっていた。
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