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第五章「上の上」

追撃

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「何言ってるのよ!」
アルカは泣きながらレイトの肩を軽くポンと叩くと、レイトを抱えようとするが、自分の足もまともに機能しないため、終わりを待つしかない状態になってしまっていた。
「爆発する。」
「え?」
「爆発するんだ。きっと。あの魔法瓶に入ってる液体。爆破するようなものだろ。」
「そんな。」
「きっと俺たちをここへ転生させた神もお怒りだろうな。なんで。」
「弱音なんて吐くんじゃないわよ!」
アルカは今の全力でレイトにそう怒鳴った。
ギリギリ脱出した他の四人は二人の救出を試みた。
「私が行く。」
ケイナが直ぐに立候補した。
「俺もだ。」
続いてシドが。
「俺とフレデリカは回復の準備をしておく。」
「私もガルドから学んで回復魔法が少しなら使えるわ。」
「わかったわ。じゃぁ、行くわよ。」
「あぁ。」
城の炎よりもケイナの光が勝り、ケイナとシドはみるみると進んでいき、二人を探す。しかし、フレアナの生成した炎は凄まじく強く、ケイナの体力をみるみると奪っていく。シドも同じように。
「レイト!アルカ!」
ケイナは必死に叫んだ。すると見た事のある足が両足転がっていた。
「これは。」
その奥にはレイトとアルカが倒れていた。
「レイト!アルカ!」
「ケイ、、、ナ?」
「ええそうよ。早く出るわよ。」
「いや、もう手遅れだ。」
「え?」
そうレイトが言った瞬間、フレアナの城は跡形あなく爆発し、一切と形跡を残すことはなかった。
それを目の前でみたガルドとフレデリカは驚愕した。
「なぁ。」
「何?」
「これ。やばくないか?」
「え、、、、えぇ。」
フレデリカは恐怖のあまりまともな言葉が出てこなかった。
しかし、その目の前には4人の姿が現れた。
「はぁ。はぁ。」
ケイナはかなりの体力を消費したようで、過呼吸であった。
「お前ら!」
ガルドは慌ててケイナに回復魔法をかけようとするが。
「先に、、、レイト、、、、これ。」
「これは。」
ケイナが抱えていたのレイトの膝下からの両足だった。
「わかった!その間フレデリカが残りの三人を!!」
「わかったわ!!」
ガルドは一目散にレイトに向かっていく。
「レイト!レイト!ガルドだ!分かるか?!」
「ガ、、ル?」
「あぁ意識はあるみたいだな。直ぐにくっつけてやるからな!!」
「お前、、、足くっつけれんのか??」
「あぁそうだ。かなりの魔力を使うが、そんな事言ってる場合じゃねぇ!」
「すまねぇ。もっと早く動いていれば。、、、、、、」
レイトはしばらく間を開けた後に言葉を続けた。
「俺さ、もうここでダメかもしれないって思ってさ、だいぶイキってたよな。情けないよ。まだ俺はひとりじゃ何も出来なかった。周りが強かったから、、、」
レイトは涙を流しながらそう言った。
「そんなことねぇよ。お前の行動は誰かに何かを与えてるはずだ。苦しい時も、諦めなっただろ?」
「けどさ、さっき俺はもう死ぬんだって思ったよ。そしたらアルカがさ。」
「アルカ。大丈夫!?」
「えぇ。私の方は。実はさ。だいぶレイトが庇ってくれたから。」
「そうなのね。アイツもやるじゃない。」
「アルカを守ろうとしたけど、俺の魔法じゃ守りきれなかった。」
時間が経ち、全員が何とか回復しきり、全員がギルドに戻った。




するとケイナがレイトに言った。
「ごめんなさい。私があんなこと言うから。」
「いえ、そんなことないですよ。今回のクエスト。失敗ですよね。」
「実は失敗ではないのよ。」
「え?」
「討伐が目的じゃなくて、あの城から撤退させるのが目的だったの。まぁ、跡形もなくなっちゃったけどね。」
「そうなんですか。なら良かったです。」
「また、お願い出来る?実は私、あなた達のパーティ好きよ。みんなで戦う方が勇気があったり、彼らを思い出せるの。」
「そうですか。何時でも呼んでくださいよ。次はいい結果に。」
「えぇ。」
そうするとレイトは三人と合流した。
「久々にさ、みんなで食事でもするか。この四人で。」
「そう来たか!ならとことんやるか。」
ガルドはその提案に直ぐに乗ると、フレデリカ、アルカも続いた。
久しぶりの四人きりの食事や会話は、いつもより活気があり、楽しかった。
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