上 下
38 / 56
第四章「消えていく戦友たち」

ダミー

しおりを挟む
レイトの放った「フルハウス」はスクイーの胸に刺さると、その瞬間から体内がとても熱くなった。
「初めてやった技だけど、どうか?」
レイトはそう独り言を呟くと、目の前のスクイーは溶けだす。
ドロドロと低音な歪な音を立てながら溶けていくスクイーを見ていくうちに、レイトは1つ思ったことがあった。
「これが本物じゃなさそうだな。」
ダミー。もしくはほんの一部。レイトはフルハウスを撃ちまんまとやられていくのはおかしいと思っていた。確かにフルハウスは自信のある技ではあったが、一撃で倒せるような技ではまだない。なのに何故こうもまんまとスクイーは溶けていくのか。とりあえずこのことをガルドに伝える。
「ん?レイト?」
レイトのテレパシーを受け取ったガルドはそれに答える。
「どうした?」
「スクイーのようなものを倒した。けど多分これは違う。一体スクイーってどんな形なんだ?」
「前も言ったように色んな者になれるからな。俺がこれ!とは言えないんだよな。でも。」
「でも?」
「纏ってるオーラが別格だ。」
レイトはガルドのでも。という言葉を聞いた瞬間に何かを察知した。突然後ろを見ると、黒いフードを被った小柄な少年の姿があった。
「あぁ。確かにそうだな。」
レイトはそう言いながらその少年を見つめていた。
「やぁ、君がオハラレイトかい?」
「あぁ。ってこはお前がスクイー本人が。」
「本人って。まぁ、事実そうなんだけど。さっきのは僕が呼び起こした魔獣だよ。ほんの見せしめにと思ったんだけど、なんか大したことはなかったね。君のあんなので一撃だもん。下手したらそこら辺の村人でも倒せるよ。」
「随分自信があるみたいだが。随分大層なこと言ってくれるな。」
レイトはそう言いながらゴットマシンガンを構えていた。
「もちろん。」
そうスクイーが呟くと、スクイーは右手の指をパチンと鳴らした。
「ん?」
その瞬間だった。黒い光線が指を鳴らした後にスクイーは手の形を銃のようなポーズをすると、その指先から放たれた。
野生の勘なのか、すぐに反応したレイトは頭をスっと右にずらすと、左の頬にかすり、後ろで壮大な爆発音がした。
「まじか。」
レイトの第一声はそれだった。すると隙を与える暇もなくスクイーはもう一度同じような行動をとる。しかしレイトはその行動を読み取り、そのフットワークから壁をジャンプし避けると、赤い弾丸を放った。しかしそれを軽々とスクイーは避ける。
「遅い遅い!僕にはそんなのスローで見てるよ!」
そうスクイーが言うと、スクイーの後ろを確認するとニヤッと笑みを浮かべる。
アルカ含め4人が合流したのであった。先制攻撃のようにガルドが攻撃を仕掛けるも、スクイーにかわされてしまう。
「ガルド。お前も始末するように魔王様から司令がかかってるんだ。」
「へぇ。それはご苦労さまですね。」
ガルドは呆れた様に反応した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

チート能力「看守」を使って異世界で最強と言われる

唐草太知
ファンタジー
チートスキル:看守。 これを使って、神を殺さなければならないらしい。 そして、脱走した囚人たちも処罰しなければならない。 なんでも、その脱走した神は人間たちに力を与えて逃げてるらしい。 そのせいで人間社会が可笑しくなってると言う。 神の関与しない世界にするべく主人公は旅に出る。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

暗澹のオールド・ワン

ふじさき
ファンタジー
中央大陸に位置するシエラ村で、少年・ジュド=ルーカスはいつもと変わらない平穏で退屈な日々を過ごしていた。 「…はやく僕も外の世界を冒険したいな」 祖父の冒険譚を読み耽る毎日。 いつもと同じように部屋の窓際、お気に入りの定位置に椅子を運び、外の景色を眺めている少年。 そんな彼もいつしか少年から青年へと成長し、とうとう旅立つ日がやって来る。 待ちに待った冒険を前に高鳴る気持ちを抑えきれない青年は、両親や生まれ育った村との別れを惜しみつつも外の世界へと遂に足を踏み出した…! 待ち受ける困難、たくさんの仲間との出会い、いくつもの別れを経験していく主人公。 そして、彼らは平穏な日々の裏に隠された世界の真実を知ることとなる。 冒険の果てに彼らが選択した未来とは―。 想定外の展開と衝撃の最期が待ち受ける異世界ダークファンタジー、開幕!

処理中です...