どうせパッとしないなら異世界転生なんて必要ない！

プロローグ

僕は気づいたら暗い空間にいた。どこかも分からない。なんでいるのかも全く。けど別にずっとそこにいる人生でも良かった。僕の人生は普通だった。十七年間生きていたが、これといった思い出もなく。なんの偏りもない人生を送っていた。だから神様から必要ないと思われたのかもしれない。
「どうした？そんな悲しそうな顔して。」
奥の方から男性の声がした。しかも僕の心境とは全く合わない呑気な声で謎の男が僕に声をかけてきた。
「いや、なんか。」
やっぱりこの状況が理解できない。なんでこんな所にいるのかが分からない僕は、困惑の声しか出すことができなかった。
「まぁそうだな。君はさっき不幸な事故でこの世からいなくなっちゃったんだよ。残念！」
つまり僕は交通事故で死んだみたいだ。もう少し気をかけた言葉をかけてくれてもいいじゃないかと強く怒りを感じだが、明確な事実だからしょうがない。と僕はここでも受け止めることしかできなかった。
「で、ここではなにをするんですか？」
やっぱりそれは気になる。凄く。とても。「あぁそうそうそうそう。それを言わないとなぁ。すまないなちょっとここで待ったんじゃないか？」
ベラベラと喋る彼の話を何故かふむふむと聞き入ってしまった。
「まぁそんなことはいいんだよ。まぁ地球じゃぁなんか微妙な人生送っていたみたいだな。ここの書類に書いてあるけどほぼまっしろ！みんなもう少し書いてあるのになぁ。だから！ここで俺から少し希望になりそうなプレゼントをあげよう。」
「もう死んじゃってるのに何を貰えるんですか？来世の人生でも選べるんですか？」
「それでもいいけどなぁ。あぁそれいいな！今度からその選択肢も加えておこう！」
ここで僕の希望はほぼ消えていた。まだこいつは喋り続ける。
「でな！そうそう。君には今からこの世界に行ってもらう。ほら、異世界転生だぞ！良かっなぁ！でもひとつだけ問題があってな。」
「問題？」
「あぁ。なんかよく小説でみるチート能力！とか、最強ランク！とか逆に最弱！とか実はそういうの全くないんだよね。ったく。誰だよあんなの考えたやつ。来るやつ来るやつがチート能力ください！とか美少女ヒロインともしかして！！！！とか言ったりするけどさぁ。ないの！まったくないの！現実を見ろ！ナッシング！」
「は、はぁ。」
とりあえず相槌だけはしておく。なんとなく。
「なんかあれだなぁ。でも君顔はいいね！気に入ったからこれは持っていくといいよ！ちょっとは役にたつから！」
「あ、ありがとうございます。」
そう彼から貰ったのは普通の銃だ。
「ん？」
「これはな、魔力を込めて撃つ銃なんだよ。まぁ説明はあっちにいる人に聞くといいよ。じゃぁ！」
「え？」
そう彼が言うと目の前にはザ！異世界！という景色が広がっていた。
普通なようで普通ではない。そんな僕の異世界生活はまだ始まったばかりなのであった。