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思惑が交わる時

10年たった今の生活

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気づけばあれから10年も経っていた

今私は平穏な生活を送っている

「おはようございます、ルチル様」
「おはよう、エリア」

エリアはいつもの時間に職場に足音もなくやって来る

「みんな変わりない?」
「はい、もうそろそろ当番の者たちがくるかと」

みんなとは職場の仲間のことだ。
そして、職場のとはここ
『α・図書館』のこと
この図書館の字から分かるように、転生した世界の字は前世の日本語と同じだった。ただ、それはこの大陸の共通言語としてであり、違う言語もある。また、前世のにはあって、この大陸にはない言葉も沢山あり、特に英語のようにカタカナ表記のものはほとんどなかった。共通言語でない言葉を使う、前世でいう所の外来語はカタカナ表記で使うこともあるけどね
大体始めて来たお客さんには、
「この図書館の名前って何て読むのですか?」と聞かれるのは日常茶飯事だ。 
ちなみに「α」は「アルファ」と読むなんて言っても、皆首を傾げる人が大抵だ。
図書館にも二通りある。
一つ目は公立図書館。
公認の図書館で信用性は高い。展示されるものにも制限がかかり、毎度チェックされる。素人が本を載せるのは難しい図書館。
2つ目は、個人が運営する図書館。
後ろ盾は個人で持っていなければないし、資金等の援助もない。だか、それ故に、ある程度の自由が認められている。ジャンルに偏りがあってもいいし、騒がれない程度には、評論のような本をあげて、自分の考えや意見を取り上げてもいい。
2つには違いが顕著に見られるが、『本を客に売ってはいけない』という法がある。本の売買には別に本屋さんがあるからだ。
では、どのように稼ぐのか。公認の図書館は税金から資金が出るため、困らないが、個人は違う。
うちが採用しているのは本の貸借りとカフェテリアだ。
敷地も広めに取り、見栄えも良いよう、庭師がするように、花などを植えてたりしている。それによって、カフェテリアで本を読見ながら、景色を見たり、ティータイムを楽しんだりしに来るお客さんが結構多い。
本のラインナップは、誰でも手に取りやすいような絵本や小説を主としている。
だが、集めるとなると、相当なお金がかかるため、村に住む人達から、読まなくなった本を安値で買い取っている。
なかでも人気なのは、意外にも、探偵小説だった。参考書のようなものが多く、こういうジャンルはまだないので、興味を引かれやすいのかもしれない。シリーズ化していて、予約数週間待ちというのが、ざらだった。

ガチャ
「おはようございます、ルチル様」
「おはよう、りさ」
ガチャ
     ・
     ・
     ・
     ・

朝の挨拶を交わしていくと、人が集まり始めた。

目の前には、五人の男性女性が並んでいる。

外見は様々だ。
人当たりよさそうな感じの顔つきの女性リサ

すっとした顔つきに髪をしっかり束ねている女性メロッサ

身長は他を比べると低くいが、幼さの残る顔は可愛げすら感じる男性スタック

身長が高く布ごしでもわかるくらい筋肉のある男性ゼロ

そしてエリア

「全員揃ったことだし、朝の定例会議を行おう」

「まず、近況報告を順々に」

すると、メロッサが口を開く
「はい、まずは受付担当科の私から。
昨日起こったカフェテリアでの言い合いで、ペナルティポイントがリーチに差し掛かった方がいるので、注意するよう指示を出しました。」

メロッサの受付担当科は図書館の本館入り口前にいて、受付し、出入りを管理する人達 

ペナルティポイント
それはこの図書館の利用規約に記されている御法度を行った回数や程度を点数化したものだ。例えば、共有して使う本は譲り合うとかだ。喧嘩を起こせばポイントが加算され、その記録は受付嬢である彼等の手のうちにあり、顔を覚え、ポイントによっては出禁を言い渡すからだ。

「カフェテリアはやっぱり事件回数が多いね。もしも人手が足りなかったら、多い時間帯だけでも、人員を増やしてあたってくださいね、りさ」

りさは接客担当科
図書館の本館内にいて、探している本の場所を教えたり、 事件の収束、本の運搬などを行う人達だ。

「カフェテリアが人気なのは仕方ありません。人気探偵シリーズが、原則読み放題ですからね。予約が取れない人が集まり、取り合いになりますからね。あ、探偵物以外にもありますが。」

カフェテリアは2つのスペースがある。

1、借りた本を椅子やテーブルを利用しながら、読めるスペース
テーブルが仕切られている個人スペースから、大テーブルまで色々な形の机があり、持ち込みは禁止してるが、飲食も有料で利用できる。
ここは本館とは別スペースで、館内人気本を追加で置いており、お一人様飲食物最低一点お買い上げのお客様のみ利用可能なシステムがある。

2、個室のスペース
利用料金がかかるが、完全に個室で、お一人様から複数人で利用できる。時間制でお金はかかるが、室内は原則自由。また、室温や照明、音量なども各自調節可能で、魔道具に魔力を注げばいい。わからなければ、店員に頼めばいい。カフェとしての機能も使える部屋だ。前世でいうカラオケボックスのような感じだな。それにここにも図書館おすすめや人気の本が置いてあり、時間内はそれを独り占めできてしまう。ぬ

「人手なら僕の所から出せるよ!」

明るめに声を発するのはスタック

スタックは言わばお助け担当科
人手を出したり、買い出し、伝令役など請け負う役割は様々な応用の効く人達の集まりだ

「緊急案件時には、ほんと役に立つよね~。スタックの所は本当に、人を大切にしてほしいよ。」

りさの言葉はもっともである
ある意味いろんな担当科を繋ぎ止める役割を果たしている

「大丈夫だよ!仕事はちゃんと教えてるし、暇になったらゼロ君のところにお世話になってるみたいだからね!」

そう言って流した目の先にいたゼロと呼ばれた男性
警備担当科であるこの男性は口を開く

「世話しているほどのことではない。
俺たちの人数合わせでもあるし、お互いwin-winだろ」

警備は普通に図書館敷地内の見回りや立ち入り禁止に見張りもこなすが、庭の手入れや破損箇所の修復もこなせる範囲で請け負っている
ある意味人手がありすぎて困るといることはない

「win-winって・・・。
まぁ、いいか」

お互いメリットがあるものがあるのであればいいか
それぞれ仕事時間を有意義に過ごしてもらえているならば結構!

「さて、定例会議を続けるよ」
    ・
    ・
    ・      

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

30分後

「以上、定例会議を終了します。いつも通り、交代の際は定例会議の重要事項伝達を忘れずにお願いします!」

「皆さん、いつも通りよろしくお願いします!」

定例会議が終わり、メンバーが戻っていく
今日は珍しくスターティングメンバーがそれぞれの担当科の担当長だったが、そうでない場合は、スターティングメンバーの中から誰か代表を選出している

今日はより引き締まった一日になりそうだ

自分に言い聞かせながら、思い描いていたものが現実になって目の前にある由縁を思い起こす

自分の柵から逃げ出した
人に手を借りる事が出来ないという現実からだった
今の現実を構成する要素は全て自分で用意したものだ
この図書館やその内装
そして職場仲間さえも
自分から行動して積み上げてきたもの

今日もこの山が崩れないように私は生きる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「すみません!
自分、この領地で文官を務めているものなのですが、この図書館の責任者の方にお会いしたいのですが、お取り次ぎ願いたい」

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