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14話 新たな生活-1
しおりを挟む「玉藻前様、体のお加減は」
「うるさい!あの小娘…殺してやる」
玉藻前は憎しみの表情を浮かべ一人の部下を火だるまにした。
「萩君、今日オムライスが良い」
「この間オムライスだっただろ」
「いいじゃん、オムライス。オムライスに罪はない」
「誰がオムライスに罪を着せるか」
そう言うと萩君は手作りサンドイッチを私と鈴のお皿に置いた。
「あれ、僕の分は?」
「大天狗はもう帰れよ」
「酷いな…一様僕君より偉いし強いんだけど」
「まぁまぁ、一つ…半分でもいいからサンドイッチあげよ」
「半分…馨恵さん辛辣」
「冗談冗談」
萩君は奥からお更に置いたサンドイッチを幸人の前に置いた。あれから三日後、幸人はズット家に入り浸っている。まぁ、住人が一人二人増えようが別に関係は無い…逆にこの家に大妖怪が居るという事で嬉しい。
「あ、馨恵今このままでも良いとな思っただろ」
「な、何故私の心を?!」
「やっぱりな…俺は絶対に許さないからな」
「それは、下心とか嫉妬かな」
「うっせぇ。早く帰れ!」
頬を赤らめた萩君はついにさっきからずっとからかってくる幸人に持っていた包丁を投げた。
勿論幸人はギリギリで包丁をキャッチ。
「見ました?!あの鬼殺しにかかって来ましたよ?!」
「幸人のせいでしょ。もうちょっと落ち着いてご飯食べられないかな」
「本当ですわ。天狗のせいでご飯が不味くなる」
「あれ、俺邪魔者扱い?」
「あ、やばい…俺は学校行ってくるから後はよろしくな。絶対何かするなよ」
「大丈夫大丈夫。こう見えて俺は健全だからさ」
などと、戯けたことを言う幸人…師匠ってこんな人だったか…?
そんなこんな私は食べ終わり食器を洗っている時のことだった。突然鈴がリビングにスライディングのように滑り込んできた。朝の静かな時に何事と思いつつ鈴に近寄ると…
「た、大変…ですわ」
「何があったの?!」
「出ましたの。あいつが…」
そう言われ私は廊下に出た。見える…真っ黒なゴキちゃんが…
「マジか…幸人は?!」
「天狗は駄目だ…さっき家を出ていった」
「そんな…こんな時に使えないやつめ」
そうしてゴキちゃんを倒せない2人は、一度リビングで引きこもるのであった。
「どうする?萩君が帰ってくるまでまだ時間あるし…それに、買い物にも行かなきゃだし」
「私らで退治するのかですわ」
「うん、それしかないと思うけどですゴキブリってつぶすとタマゴが出てくるんだよね…それだけは避けたい…と言うより潰したくはない」
「どうしたものか…焼き払う事もありだが、家を燃やしかねないですわ」
私達がずっとコソコソと倒すために考えているとふと、カサカサと横から聞こえた気がして私は恐る恐る扉を見た。
なんと、ドアの下の隙間からゴキちゃんが入り込んできたでは無いか…
「あ…ぎゃー!!!!」
「わっ、きゅ、急に叫ぶな!」
そして私達は急いで椅子の上に乗った。ここならまだ安心…だと思う。
「どうするんだ?このままじゃ何も出来なくなるぞですわ」
「そんな事言われましても…こうなったら叩き潰すしかないと思う!」
「ついに動くのか!ですわ!」
「うん、要らない新聞紙だせる?」
「お安い御用ですわ」
鈴はそう言って妖術で転送した新聞紙を私に渡した。私はというとそれを丸め叩く準備をした…こっちに来た瞬間にバシッと…
「さぁ、来い!」
ゴキちゃんは私の言葉を聞き取ったのかと思ってしまうほど真っ直ぐにこっちに向かってきたのだが、私が叩く寸前で飛び立ち進んだの方へ向かって行った。
すると珍しく鈴は規制を発し一目散に逃げ惑った。
「ちょっと鈴落ち着い…ぎゃー!!」
「うるさいな…何かあったの?」
そこへいい所にやってきた幸人に助けを求めようとしたのだが遅かった…幸人はゴキちゃんを簡単に仕留めた。この人…ゴキちゃんを踏んだよ…
「あ、踏んじゃった」
「…幸人、エンガチョ」
そうして私たちはお互いに指で円を作りそれを切ったのだった。もちろんその後ゴキちゃんは幸人の手によって回収されゴミ箱行きとなったのだった。
「ただいま」
「あ、酒呑童子。もう帰って来ちゃったのか」
「…やけに静かだな?」
「それは…二人とも疲れて寝ちゃったからだと思う」
そう言うと大天狗は床で寝転がる二人を指さした。疲れているのか風邪ひくぞと呼びかけても全く起きない…一体なにがあったんだ。
「それがさ、二人ともゴキブリのごた騒ぎで疲れ切っちゃったみたいなんだよ」
「ゴキブリが出たのか…大天狗、鈴を屋根裏まで運んでくれないか?」
「えー、僕が馨恵さんを運ぶよ」
「お前に任せられるか」
俺は馨恵を持ち上げると馨恵の部屋に向かった。最初の頃とは全く違い女の子のような部屋…馨恵をベッドに寝かせると布団をかけた。
「本当、気持ちよさそうに寝るな」
軽く頬をつつくと馨恵は顔を顰めた。こうしてると可愛いのに…普段元気がありすぎなんだよな。
「おやすみ、馨恵」
俺はそう告げると馨恵の部屋を出た。
この暮らしはいつまで続くのだろうか…
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