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今世 第二章 まずは何する?働こう。
バードテン酒宿屋
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お昼時はお客さまがまず来ないらしいので、昼間は酒場を閉めているらしい。ただし、外商が来る日に限っては一日中営業しているらしい。と、言うわけで宿屋二階の泊まる場所にやって来ました。
「ここに来たら先ずはノックをして確認です。お客様がいらっしゃる可能性もありますから。」
そう言うと、ハザリナはコンコンとドアをノックする。そして、
「失礼します。」
と言って入った。外からの呼び掛けは無しですか、そうですか。そう思いながらクリスタも続いて部屋に入る。そこには勿論誰もいない。それもそのはず。ここはクリスタが泊まっていた部屋だ。ふと気づく。
「あれ?ボクは何処に泊まればいいんだろう?ここは客室だし、持ち家もないし……。」
そう言うと、ハザリナは当たり前のような顔で、
「休眠室ってちゃんとあるよ。五人くらいは泊まれるんだけど、店長ってあんな顔じゃん?私以外怯えてこなくなっちゃって。店長は店長でショックだったみたい。」
あははと笑いながらハザリナが答えた。そのあとに真剣な顔で、
「掃除の前に先ずは忘れ物チェックです。お客様の忘れ物にちゃんと気づくのが大切なんですよ。」
この部屋には特に私物はない。全て狭間にしまい込んでいるからだ。あるとするならば……床に落ちたままで放置されている髪の毛だろう。
「さて、チェックが済みましたら次は掃除です。床ではなく、先ずは上からです。棚とか、ベッドとかです。」
そう言うと、ハザリナは魔導書を取り出し、
「生活魔法『掃除』!」
と、唱えると風が舞い棚の上にある埃がごっそり落ちてきた。……便利だなぁ、生活魔法。ボクも覚えたいや。そう思った。
「………これって二人もいるかな?どう見てもハザリナが居れば充分だと思うんだけど。」
そう問いかけると、ハザリナはそう上手くいかないのよとため息混じりに説明してくれた。
「生活魔法は便利だけどね、魔力消費量が激しいんだぁ。それに、マナの森に何だか変な生物が生息しだしたせいで魔力回復薬に使う黄金草が取れなくって回復薬の物価がものすごく高くなってるの。」
「そうなんだ……(黄金草?栽培してたような……。)た、大変なんだねぇ。」
そう言うと、ハザリナはじっとこちらをみつめてくる。あれ?バレたか?と思っていると、
「と言うわけで~後の部屋は手作業だぞ~頑張ろ~」
と言い出した。クリスタはため息を吐いてハザリナについていった。
(何はともあれ、今は仕事を頑張るか。ファイトだ、ボク。)
こうしてクリスタの人の町での生活が始まった。
「ここに来たら先ずはノックをして確認です。お客様がいらっしゃる可能性もありますから。」
そう言うと、ハザリナはコンコンとドアをノックする。そして、
「失礼します。」
と言って入った。外からの呼び掛けは無しですか、そうですか。そう思いながらクリスタも続いて部屋に入る。そこには勿論誰もいない。それもそのはず。ここはクリスタが泊まっていた部屋だ。ふと気づく。
「あれ?ボクは何処に泊まればいいんだろう?ここは客室だし、持ち家もないし……。」
そう言うと、ハザリナは当たり前のような顔で、
「休眠室ってちゃんとあるよ。五人くらいは泊まれるんだけど、店長ってあんな顔じゃん?私以外怯えてこなくなっちゃって。店長は店長でショックだったみたい。」
あははと笑いながらハザリナが答えた。そのあとに真剣な顔で、
「掃除の前に先ずは忘れ物チェックです。お客様の忘れ物にちゃんと気づくのが大切なんですよ。」
この部屋には特に私物はない。全て狭間にしまい込んでいるからだ。あるとするならば……床に落ちたままで放置されている髪の毛だろう。
「さて、チェックが済みましたら次は掃除です。床ではなく、先ずは上からです。棚とか、ベッドとかです。」
そう言うと、ハザリナは魔導書を取り出し、
「生活魔法『掃除』!」
と、唱えると風が舞い棚の上にある埃がごっそり落ちてきた。……便利だなぁ、生活魔法。ボクも覚えたいや。そう思った。
「………これって二人もいるかな?どう見てもハザリナが居れば充分だと思うんだけど。」
そう問いかけると、ハザリナはそう上手くいかないのよとため息混じりに説明してくれた。
「生活魔法は便利だけどね、魔力消費量が激しいんだぁ。それに、マナの森に何だか変な生物が生息しだしたせいで魔力回復薬に使う黄金草が取れなくって回復薬の物価がものすごく高くなってるの。」
「そうなんだ……(黄金草?栽培してたような……。)た、大変なんだねぇ。」
そう言うと、ハザリナはじっとこちらをみつめてくる。あれ?バレたか?と思っていると、
「と言うわけで~後の部屋は手作業だぞ~頑張ろ~」
と言い出した。クリスタはため息を吐いてハザリナについていった。
(何はともあれ、今は仕事を頑張るか。ファイトだ、ボク。)
こうしてクリスタの人の町での生活が始まった。
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