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今世 第一章 平凡に生きるまでの非凡 

神話の力、ゴッデスの実力

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「ええい、暴れるでない、止まらんか!」

リュミエルがクリスタを必死で止めていた。暴走クリスタの力はまさしく幻想級ファンタズムと言っていい力だった。リュミエルにとっては苦戦する相手では(普通は)ないのだが、人々を護りながら戦うには荷が重かった。

「キュガ、ギギ……ギュギャァアアアァァァ!」

暴走クリスタが苦しそうな叫びをあげる。リュミエルはクリスタ自身も止めたくても止められないことにようやく気づいた。そこで、一呼吸置き、冷静に見つめた。

(……クリスタ、君は何がしたい?何に苦しんでいるのだ?)

そう思っていると暴走クリスタは黒い魔法弾らしきものを自らの周囲に生成し始めた。その黒い弾は存在するその周囲の空間を歪め始めた。リュミエルは目を大きく開き、分かりやすく驚いた。

(あれは……空間魔法!?……と言うことは……。まさか……)

空間魔法とは、別名狭間魔法と言うリュミエルが造り出した万能魔法。用途は想像以上に様々で、狭間を開き実際になんでもかんでも行ってしまう。記憶を読んだり、ワープしたりと。

驚き考え込んだリュミエルは、放たれる魔法弾を避け損なってしまった。小型の爆発音が響、黒い煙が球体状に広がった。その光景を見た人間は、

「あの女の子がやられたぞ!や、ヤバい!」
「くっそぉ!何なんだよあのウォーバード!」
「は、早く逃げるぞ!」

と次々に喚き散らした。すると、

『五月蝿い。静かにしろ、人間ども。』

と声がした。リュミエルのように聞こえた。しかし、そこに異質な少女の姿はなかった。あったのは……

         影

光を遮る黒く大きな影とその中に光る赤い目だった。しかし、そこから聞こえてくる声こそリュミエルだった。

『しかし、ここまでするとはなぁ。いつ以来だ?この姿も。……今……止めてあげるからな。……痛くても、我慢だぞ。』

そう言うと影は散り、視認できなくなった。暴走クリスタがキョロキョロしていると、足元から影がヌッと伸び、あっという間に大きなウォーバードの身体を包み込んだ。するとクリスタは、狭間の方へと吸い込まれていった。

狭間の世界はクリスタもよく行くが実は元々、まともに動くことすらできない場所である。リュミエルは普段狭間に特別な空間を創ることで、そこのみ別の生物も普通に生きれる場所にしてある。では、何も手を加えてない場所ならば……

『さて……クリスタ?ちょぉっと、痛いかもな。……ま、喋ることも出来んだろうし、一発で仕留めたげる。』

狭間の中でリュミエルの姿は元の姿へと戻った。実際に倒すだけならばこの姿で十分だと言うわけなのである。

「次起きたら元通りだから……。神罰【シャドウジャッジメント】!」

クリスタが目を開ける事も出来ぬまま、黒い光線に一瞬で吹き飛ばされてしまったのだった。
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