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今世 第一章 平凡に生きるまでの非凡
過去のお話し~神域編~
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長い間泣き続けたクリスタはある程度泣くと、少々ぐずぐずしながらリュミエルに質問をした。
「リュミエル様は……」
「様はやめてよ。あんまり好きじゃないんだ。」
「じゃあ……リュミエルさん。リュミエルさんが狭間の主になる前は何を……してたんですか?」
その質問にリュミエルはとても驚いていた。想像していなかったことを言われたと言う感じだった。リュミエルは少し顔を強ばらせながら聞き返す。
「……なんで、そう思った?」
「だって……ぐすっ、神域にいた頃って言ってました。元から狭間の主だったのではなくて、元は神様か……なにかだったんじゃ?……と思って。」
そういやそんなこと言ったなぁとリュミエルは頭を悩ませると、ポツリと語りだした。
「これから話すのは、ここに来る前の話だ。あれは……」
「
今から千年ほど前の話だ。アタシは神域に誕生した神の候補生みたいなもんだった。アタシたちは神となるために知識を高め、神となることを夢見て相手を蹴落とし、蹴落とされの戦争みたいになっていた。
アタシは三人の共同戦線を張ることで神になる手前の天使になることはできた。共同戦線の仲間?アタシ、アヴロールそしてシャルロットの三人だ。
シャルロットは……人の国にいくと分かるが、シャルロット教と言うものがあるくらいには凄い奴だった。
……なんで「奴だった」と言うかって?……君は本当に賢いし、頭が働くな。あいつはもう絶命しているんだ。……何でかって?……さあね。そこまではわからんよ。
天使が神になるために必要なのは人からの感謝の念、又は信仰だ。シャルロットは信仰を選び、アタシとアヴロールは感謝の念を選んだんだ。
……まぁ、その過程でアタシは大失敗をしてね、堕天しちまったんだ。……なんだよ。そんな顔すんな。アタシだって悔しかったけど、堕天した後もそれなりに充実した生活はしてたさ。
アタシが母様と呼んでいたのは、堕天して人として暮らしていたときに親身になってくれたとあるおばあちゃんさ。アタシはその人を一生支えていくつもりだった。
」
「……そのあとでまぁ、なんやかんやあって今に至るって訳だ。」
最後が物凄く雑い気がするが、まぁ、気にしないことにした。
「さて、そろそろ戻れ。エドも心配してると思うぞ。」
クリスタはもう泣き止んでおり、リュミエルは立ち上がり、空間を歪めた。それは里への直通ルートだった。
「リュミエルさん。ありがとうございました。また今度、良ければもっと詳しく教えてくださいね。」
そう言うとクリスタはタッタッタと小走りで里へと戻った。それを見送り、歪んだ空間をもとに戻すと、自らの頭をさすりながら一言、
「シャルロット……。もう二度と……起きてくれるなよ。」
そう言うと、暗闇のなかに消えていった。
「リュミエル様は……」
「様はやめてよ。あんまり好きじゃないんだ。」
「じゃあ……リュミエルさん。リュミエルさんが狭間の主になる前は何を……してたんですか?」
その質問にリュミエルはとても驚いていた。想像していなかったことを言われたと言う感じだった。リュミエルは少し顔を強ばらせながら聞き返す。
「……なんで、そう思った?」
「だって……ぐすっ、神域にいた頃って言ってました。元から狭間の主だったのではなくて、元は神様か……なにかだったんじゃ?……と思って。」
そういやそんなこと言ったなぁとリュミエルは頭を悩ませると、ポツリと語りだした。
「これから話すのは、ここに来る前の話だ。あれは……」
「
今から千年ほど前の話だ。アタシは神域に誕生した神の候補生みたいなもんだった。アタシたちは神となるために知識を高め、神となることを夢見て相手を蹴落とし、蹴落とされの戦争みたいになっていた。
アタシは三人の共同戦線を張ることで神になる手前の天使になることはできた。共同戦線の仲間?アタシ、アヴロールそしてシャルロットの三人だ。
シャルロットは……人の国にいくと分かるが、シャルロット教と言うものがあるくらいには凄い奴だった。
……なんで「奴だった」と言うかって?……君は本当に賢いし、頭が働くな。あいつはもう絶命しているんだ。……何でかって?……さあね。そこまではわからんよ。
天使が神になるために必要なのは人からの感謝の念、又は信仰だ。シャルロットは信仰を選び、アタシとアヴロールは感謝の念を選んだんだ。
……まぁ、その過程でアタシは大失敗をしてね、堕天しちまったんだ。……なんだよ。そんな顔すんな。アタシだって悔しかったけど、堕天した後もそれなりに充実した生活はしてたさ。
アタシが母様と呼んでいたのは、堕天して人として暮らしていたときに親身になってくれたとあるおばあちゃんさ。アタシはその人を一生支えていくつもりだった。
」
「……そのあとでまぁ、なんやかんやあって今に至るって訳だ。」
最後が物凄く雑い気がするが、まぁ、気にしないことにした。
「さて、そろそろ戻れ。エドも心配してると思うぞ。」
クリスタはもう泣き止んでおり、リュミエルは立ち上がり、空間を歪めた。それは里への直通ルートだった。
「リュミエルさん。ありがとうございました。また今度、良ければもっと詳しく教えてくださいね。」
そう言うとクリスタはタッタッタと小走りで里へと戻った。それを見送り、歪んだ空間をもとに戻すと、自らの頭をさすりながら一言、
「シャルロット……。もう二度と……起きてくれるなよ。」
そう言うと、暗闇のなかに消えていった。
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