55 / 68
大賢者は魔に染まる。
二対の虫 キング編
しおりを挟む
魔王城で問答無用で斬り進む勇者一行の前を二匹の虫が行く手を阻んだ。残る四天王のキングアトモスとクイーンメタルバグだ。アトモスは白い毛が生え、六枚の羽をたなびかせる大きな蛾。メタルバグは全身が鋼色をした大きな蟻だ。
「ここから先は……」「通さんぞ…!」
二人して大きな威圧感を放っているが、勇者一行はあまり気にしていなかった。それどころか、
「……あの蛾は私が狩りますのでお二人はそこの蟻を相手にしててください。」
クリムが少し怒り気味に呟いた。
「大丈夫か?無茶はしない方が……」
ガンドフがそう言うと声を変えずに返した。
「………私、あの虫に少し怨みがあるんです。……ですので、私だけにやらせてください。」
そう言うとアーサーもガンドフも諦めてクリムにアトモスを任せた。クリムがアトモスを睨み付け言い放つ。
「あなたですよね?その周囲に舞ってる粉塵はあの村で見たことあります。……あなたがあの村の人たちを壊滅させてゾンビにしたんでしょう!」
「あんなもの、ただの遊びだよ。何をそんなに怒っている?」
アトモスが当たり前のように呟く。クリムは話すこと自体無意味だと思い攻撃する。
「風迅魔法【サイクロン】!」
アトモスに多大なダメージが与えられる。
「ッチィ、風魔法か。我が苦手とする属性を知っているのか……ならば、爆炎魔法【フレア】!」
クリムにそれなりのダメージが入る。普通なら怒りが高まるほどではないのに大した威力でないことが仇となった。
「こ…こんなやつのせいで……ユウカちゃんまで失うことに……」
この時点で終焉魔法の副作用で去っていったと勘違いしているクリム。その怒りを力に替えた。
「ゆ、許さない……許さないから!風迅究極魔法【タイフーン】!」
掌から出る竜巻がアトモス目掛けて突っ込んだ。サイクロンで多大なダメージを負ったアトモスが耐えれるわけもなく、断末魔もなしに事切れてしまった。ガンドフにおつかれさんと言われてクリムは前を向き直した。
「ここから先は……」「通さんぞ…!」
二人して大きな威圧感を放っているが、勇者一行はあまり気にしていなかった。それどころか、
「……あの蛾は私が狩りますのでお二人はそこの蟻を相手にしててください。」
クリムが少し怒り気味に呟いた。
「大丈夫か?無茶はしない方が……」
ガンドフがそう言うと声を変えずに返した。
「………私、あの虫に少し怨みがあるんです。……ですので、私だけにやらせてください。」
そう言うとアーサーもガンドフも諦めてクリムにアトモスを任せた。クリムがアトモスを睨み付け言い放つ。
「あなたですよね?その周囲に舞ってる粉塵はあの村で見たことあります。……あなたがあの村の人たちを壊滅させてゾンビにしたんでしょう!」
「あんなもの、ただの遊びだよ。何をそんなに怒っている?」
アトモスが当たり前のように呟く。クリムは話すこと自体無意味だと思い攻撃する。
「風迅魔法【サイクロン】!」
アトモスに多大なダメージが与えられる。
「ッチィ、風魔法か。我が苦手とする属性を知っているのか……ならば、爆炎魔法【フレア】!」
クリムにそれなりのダメージが入る。普通なら怒りが高まるほどではないのに大した威力でないことが仇となった。
「こ…こんなやつのせいで……ユウカちゃんまで失うことに……」
この時点で終焉魔法の副作用で去っていったと勘違いしているクリム。その怒りを力に替えた。
「ゆ、許さない……許さないから!風迅究極魔法【タイフーン】!」
掌から出る竜巻がアトモス目掛けて突っ込んだ。サイクロンで多大なダメージを負ったアトモスが耐えれるわけもなく、断末魔もなしに事切れてしまった。ガンドフにおつかれさんと言われてクリムは前を向き直した。
0
お気に入りに追加
372
あなたにおすすめの小説
【完結】 元魔王な兄と勇者な妹 (多視点オムニバス短編)
津籠睦月
ファンタジー
<あらすじ>
世界を救った元勇者を父、元賢者を母として育った少年は、魔法のコントロールがド下手な「ちょっと残念な子」と見なされながらも、最愛の妹とともに平穏な日々を送っていた。
しかしある日、魔王の片腕を名乗るコウモリが現れ、真実を告げる。
勇者たちは魔王を倒してはおらず、禁断の魔法で赤ん坊に戻しただけなのだと。そして彼こそが、その魔王なのだと…。
<小説の仕様>
ひとつのファンタジー世界を、1話ごとに、別々のキャラの視点で語る一人称オムニバスです(プロローグ(0.)のみ三人称)。
短編のため、大がかりな結末はありません。あるのは伏線回収のみ。
R15は、(直接表現や詳細な描写はありませんが)そういうシーンがあるため(←父母世代の話のみ)。
全体的に「ほのぼの(?)」ですが(ハードな展開はありません)、「誰の視点か」によりシリアス色が濃かったりコメディ色が濃かったり、雰囲気がだいぶ違います(父母世代は基本シリアス、子ども世代&猫はコメディ色強め)。
プロローグ含め全6話で完結です。
各話タイトルで誰の視点なのかを表しています。ラインナップは以下の通りです。
0.そして勇者は父になる(シリアス)
1.元魔王な兄(コメディ寄り)
2.元勇者な父(シリアス寄り)
3.元賢者な母(シリアス…?)
4.元魔王の片腕な飼い猫(コメディ寄り)
5.勇者な妹(兄への愛のみ)
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!
青空一夏
ファンタジー
婚約者(レミントン侯爵家嫡男レオン)は何者かに襲われ亡くなった。さらに両親(ランス伯爵夫妻)を病で次々に亡くした葬式の翌日、叔母エイナ・リック前男爵未亡人(母の妹)がいきなり荷物をランス伯爵家に持ち込み、従兄弟ラモント・リック男爵(叔母の息子)と住みだした。
私はその夜、ラモントに乱暴され身ごもり娘(ララ)を産んだが・・・・・・この夫となったラモントはさらに暴走しだすのだった。
ラモントがある日、私の従姉妹マーガレット(母の3番目の妹の娘)を連れてきて、
「お前は娘しか産めなかっただろう? この伯爵家の跡継ぎをマーガレットに産ませてあげるから一緒に住むぞ!」
と、言い出した。
さらには、マーガレットの両親(モーセ準男爵夫妻)もやってきて離れに住みだした。
怒りが頂点に到達した時に私は魔法の力に目覚めた。さて、こいつらはどうやって料理しましょうか?
さらには別の事実も判明して、いよいよ怒った私は・・・・・・壮絶な復讐(コメディ路線の復讐あり)をしようとするが・・・・・・(途中で路線変更するかもしれません。あくまで予定)
※ゆるふわ設定ご都合主義の素人作品。※魔法世界ですが、使える人は希でほとんどいない。(昔はそこそこいたが、どんどん廃れていったという設定です)
※残酷な意味でR15・途中R18になるかもです。
※具体的な性描写は含まれておりません。エッチ系R15ではないです。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる