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大賢者は魔に染まる。
大賢者は魔に染まる。
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『どうした?なにを悩んでいるの?』
その声にユウカはビクッと身体を震わせて辺りを見渡す。何処にも居らず、誰?と声を出そうとするとまた聞こえた。
『あぁ、喋らなくていい。キミの思ったことが私には届く。この声もキミの頭のなかに直接語りかけているから他の者には聞こえないよ。』
そう言うと謎の声は続ける。
『ユウカ、アーサー達は好きか?』
そう言われ、もちろんと返した。そして、更に聞こえてきた。
『どんな事になってもあいつらを信じてやれるか?』
そう言われて少し悩んだが、信じたいし、信じる。と返した。すると、
『じゃあ動きなよ。私も手を貸してあげる。キミはただただ彼らが止めてくれることを信じて待てばいい。』
そう言われてユウカは初めて気づいた。この声は……
(あぁ、そうか。この声は……ボク……か。)
ユウカは目を閉じると自由に動き出す身体に違和感も覚えずに意識を落とした。この宿のとある一室には壁にこんな書き込みが残っている。
『どれだけかけても良い。ボクを嫌いになって良い。殺したって構わない。だから、ボクを止めて欲しい。大好きな三人の仲間たちに……。』
「………………。」
ユウカは冷ややかな視線を送ると物凄い跳躍力で去っていった。
「ユウカ!まてっ!………くそっ……。」
アーサーが叫ぶがもう届かない。ふと死んだ人たちを見ると父の元仲間だった人達だった。
「…………ユウカちゃん、いったいどうしちゃったんだろ…。」
三人はユウカが去っていった方を見送り、とりあえず出ていくための準備をした。ふとその時にあの書き残しを見つけ心に止める勇者一行であった。
その声にユウカはビクッと身体を震わせて辺りを見渡す。何処にも居らず、誰?と声を出そうとするとまた聞こえた。
『あぁ、喋らなくていい。キミの思ったことが私には届く。この声もキミの頭のなかに直接語りかけているから他の者には聞こえないよ。』
そう言うと謎の声は続ける。
『ユウカ、アーサー達は好きか?』
そう言われ、もちろんと返した。そして、更に聞こえてきた。
『どんな事になってもあいつらを信じてやれるか?』
そう言われて少し悩んだが、信じたいし、信じる。と返した。すると、
『じゃあ動きなよ。私も手を貸してあげる。キミはただただ彼らが止めてくれることを信じて待てばいい。』
そう言われてユウカは初めて気づいた。この声は……
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『どれだけかけても良い。ボクを嫌いになって良い。殺したって構わない。だから、ボクを止めて欲しい。大好きな三人の仲間たちに……。』
「………………。」
ユウカは冷ややかな視線を送ると物凄い跳躍力で去っていった。
「ユウカ!まてっ!………くそっ……。」
アーサーが叫ぶがもう届かない。ふと死んだ人たちを見ると父の元仲間だった人達だった。
「…………ユウカちゃん、いったいどうしちゃったんだろ…。」
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