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俺と幼馴染

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俺、平岡蒼汰は顔がいい。

幼稚園時代から女の子にモテている自覚があったし、中学校の頃からは男にも告白されるようになった。人のモテ期は一生のうちに3回訪れるというが、俺は生まれてこの方、ずっとモテ期だ。

ただ、19歳になった今まで、俺の恋は叶ったことがない。
頻繁に告白されるのなら、ヨリドリミドリだろうと外野は言うが、俺には心に決めたヤツがいる。それが、俺の幼馴染だ。



顔がいいというのは大変だ。
「お兄さん、かっこいいからおまけしといたよ!」
食堂のおばちゃんは、いつもおまけをくれる。他の奴にはそんなことをしていない。
それ以外にも、やたらプレゼントを貰ったり、親切にされたり、はっきり言って俺の人生はチートだ。
ただ、顔が良すぎるための弊害もある。

「嫌だ!離せ!」
「いいじゃないか。どうせ色んな奴とヤリまくってんだろ?」
「…そんなことしてないっ!」
俺は、大学キャンパス内でも人が少ない棟の空き部屋に連れ込まれていた。俺を押さえつけているのは、マスクとサングラスをした二人組。
俺は上半身裸にされ、下半身も後はパンツだけという絶体絶命な状況だ。

顔が良いと大切にされるが、襲われることも多い。
襲う理由は、顔が好みということもあれば、俺が振った、素っ気ない態度を取ったからと逆恨み的なものも多い。俺にとっては、迷惑な話だ。

俺は顔は良いが、非力だ。男に押さえつけられると、どうすることもできない。
最後に残ったパンツにも、手を賭けられ俺は思わず声を上げる。
「助けて!!!」
その声を聞いて、パンツに手をかけていた男が「こんな場所、誰も来ねーよ」と楽しそうに言った。
まさに絶体絶命と思った時、部屋のドアが開き、俺を襲おうとしていた男は吹っ飛ばされた。
「…大丈夫か?」
俺の目の前に立っていたのは、幼稚園に入る前から一緒に遊んでいた、幼馴染の加藤司だった。
司は心配そうに俺の前に歩み寄る。手前に落ちていた俺のシャツを拾って、それを肩にかけてくれる。司は強いだけでなく、優しい。
そんな司を前に、俺はある一点にくぎ付けになる。
「司…勃ってる」
俺の目の前にあるのは、服の上からでも分かる程、はっきりと勃起した司のチンポ。修学旅行とかで実物を見たことがあるけれど、とにかくデカい。そういえば、旅行先の温泉でもフル勃起状態になっていたっけ。
おれは、そんな生身のチンポを思い出しながら、目の前の股間のふくらみを眺める。思わずうっとりしてしまう。
ああ、これが俺のナカに挿入されたらどうなるんだろう?とりあえず、口に入れてくれてもいい。俺は、喜んで舐めるだろう。
襲われていた顔のいい幼馴染を前に、チンポは臨戦態勢。すぐ横には倒れている奴が2人いるが、それでも俺は目の前のチンポに欲情してしまう。
司は、そんな俺の様子を気にすることもなく
「蒼汰の裸を見たら勃った」
と、平然とした顔で言う。
股間の状態と言っていることと、顔と態度が合わない。19歳の男子なら、もっと欲望に素直になってもいいんじゃないか?俺の裸を見て勃起したというのなら、そのまま手を出してきてもいいんじゃないか!?
「…じゃ、じゃあ!俺が責任取る!俺の体自由に使っていいよ!口でもお尻でも!」
俺が司の股間に手を伸ばそうとしたら、司は体の向きを変え入口の方に向かった。
一度振り向くと
「トイレで抜いてくる」
それだけ言い残して、部屋を後にした。
「は…はぁ~~~~~!?」
残された俺は、その場で頭を抱えた。

俺は、物心ついた時から俺のことを守ってくれる加藤司に片想いをしていた。
司も、俺のことを大事にしてくれていたし、小さな頃は俺の着替えを見て顔を赤くしている場面も目撃した。中学生の頃になると、プールの授業で俺の方を見て勃起している姿を目にすることもあった。同性なんだから、自意識過剰じゃないか、見間違えじゃないかと思うこともあった。でも、中学の修学旅行で司は「蒼汰の裸を見ると勃起する」とハッキリ言った。
俺のことを意識してくれていることが嬉しかったが、その後の態度は素っ気なかった。さっきと同じように「抜いてくる」そう言って、俺の前から離れただけだった。
その後も、仲の良い幼馴染として接してくれているし、俺に対し勃起をしている場面は何度も目にしている。
「俺見て勃起するのなら、その場でセックスだろ!その場で結婚だろ!今すぐここに教会建てるだろ!!」
俺が言うと
「じゃあ普通に告白すればいいじゃん」
そう言いながら、倒れていた二人が立ち上がった。
こいつらは、大学に入って知り合った友人だ。俺と司が上手くいくように、俺が襲われているような状況を作り出して貰った。
「したよ!!!何度も!!でも、何故か付き合えないって言うんだ!!」
俺は、泣きそうな声を出していた。実際に涙がこぼれているような感覚もした。
「じゃあ、勃起はただの条件反射で、恋愛感情は持っていないってことじゃねーの?」
「でも、俺以外の裸に反応しないし、女子見て勃起してるのみ見たことない!」
「…オマエ、ずっと幼馴染の股間観察してんの?」
「そんなワケじゃないけど」
そんなやりとりをしていたら、司が戻ってきた。股間を見ると、すっかり収まった状態となっていた。
「こんなのの相手をしてると大変だろう?」
司は俺を無視して、部屋の二人に話しかける。冷静に話しているところを見ると、さっきの茶番もバレていたようだ。
「いえ、まぁ、暇なんで」
一人は頭を掻きながら照れたように笑う。
そして、もう一人は思わぬことを言った。
「加藤さん、何をオカズに抜いてるんですか?」
言われてハッとした。そういえば、勃起をして抜きに行く姿は何度も見た。でも、司が何を想像して抜いているかは、全く知らなかった。
同級生やアイドル、AV女優とかをオカズに抜いていたらどうしよう。そんなの、男の俺じゃ勝ち目がない。
男にしては綺麗だから勃起することがあるだけで、それ以外は女が好きな普通の男なら、俺の恋は絶望的じゃないか。
でも、見込みがないと分かったのなら、俺はこの恋を諦めて先に進める。欲望に素直な恋人ができるかもしれない。
そもそも、俺は男女ともにモテモテで、相手なんてヨリドリミドリだ。
そんなことを考えていた時に振ってきた言葉は
「何って、蒼汰だけど?」
「…は!?司、俺をオカズに抜いてるの!?」
「さっきだけじゃなくて、毎日、蒼汰が俺のを咥えてヨガる姿で抜いている」
司は、さらっととんでもないことを言う。
「お、オマエ、おれをオカズにする位、好きなのかよ!?」
「そうだけど?」
とんでもない発言をしつつも、司は淡々としゃべる。小学生とか中学生とかの頃は、多少の照れがあったのに、最近はとても淡々としている。
「俺のこと、オカズにする位好きなら、勃起した時突っ込めばいいじゃないか!」
「それはできない。付き合ってないし」
「じゃあ、付き合え!!!」
「それは無理。あ、俺この後講義があるから」
そう言うと、呆然とする俺を残し、司は部屋から消えていった。
友人達が俺の肩をポンポンと叩き「ドンマイ」と言う。


俺の苦悩の日々はまだまだ終わりそうになかった。
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