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転生の行方
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『うわ…!!!』
壁の上部から発せられる光に、リア獣はたじろいだ。
岬達の声が一切聞こえていないベッドの上のカップルも、光には気付いたようで、不思議な顔で壁の方を見る。ただ、すぐにそんなことを忘れて、行為に没頭する。
『私の友だちに手出しはさせない!!!』
ライトから聞こえたのは、隣の部屋にいる筈の緑の声だった。
『緑、どうして…?』
『この部屋の声が聞こえてきて、同じライト系統なら移動できるんじゃないかってやってみたらできたの!』
『…ありがとう!!』
いつも隣の部屋にいた緑が同じ部屋にいて助けてくれる、それだけ岬は心強かった。
『ライトごときに何ができる?』
リア獣は諦めずに立ち上がり、岬へと向かってくる。
『なんで?私、腐女神なんかじゃない!』
『岬……!』
どこからともなく聞こえた声は、ねこぱよのものだった。
『ねこぱよ…?』
岬が言いかけた時、ベッドの上のシーツが舞い上がり、リア獣に覆いかぶさる。シーツを払いのけようとリア獣はもがくが、離れそうにない。
『ねこぱよ、ここに来てたの?』
『…うん…、でも…、シーツの寿命が…近いみたいで…、意識が…朦朧としてて……』
『寿命って…!!!』
その言葉を証明するように、リア獣を覆ったシーツはただの布に戻っていった。ねこぱよの声も聞こえない。
『そんな…!』
もう駄目だと思った時、岬は背中を押された気がした。
何が起きたのかと、振り返ると後ろに鏡が見えた。
『…え?私…』
ベッドの上の2人からは見えていないようだが、岬の体が実体化する。手足があって動ける。懐かしい感覚だ。そんな岬を他所に、リア獣は鏡に手を伸ばす。伸ばした手は、鏡の中に入り込み、中から一人の女の子を引きずり出した。
『隠れても無駄だ。腐女神…!』
鏡から出てきたのは、小柄な女の子だった。年齢的には岬と変わらない位だろうか。
『あの子が…腐女神…?』
『岬ちゃんの鏡の奥にいたんですね』
『かわいい…!』
感想は人それぞれだった。ただ、その女の子はリア獣と顔を合わさないように必死で顔を背ける。
『逃げても無駄だ。お主が我と付き合うというまで、我はどこまでも追いかける!』
『…無理!!無理!!!』
腐女神は必死に首を横に振る。
『…ち、痴話げんか?』
『というか、ストーカーと被害者という感じでしょうか?』
相変わらず、キラリは冷静だ。
『でも、困る。ここで痴話げんかされたら、イチャイチャプレイを楽しめないじゃない』
そう言ったのは緑だ。岬は、ねこぱよだったシーツを畳んでいた。ベッドの上は、そんな光景に気付く気配すらない。
『岬ちゃん、ワタクシを腐女神の傍に連れて行って?』
言われて、岬はエアシューターの方へと向かう。カプセルの中に入っていたおもちゃは取り出し、シューターの横に置いておく。そのままカプセルを持って腐女神の元に向かう。
『腐女神さん?あなたはどうして、この人と付き合いたくないのかしら?』
キラリは静かな口調で語りかける。腐女神は何も答えず、ただこぶしを強く握る。
『多分、本当のことを言っても、リア獣さんは傷つかないと思いますけど?』
『…無理だよ…』
腐女神はさらに顔を下に向ける。そんな様子に、リア獣は戸惑いを見せた。
『本当のことってなんだ…?』
『さぁ?セックスをしてみれば分かるんじゃないかしら?ここはラブホテルですよ?』
セックスの場所に選んだのは、この部屋の浴室だった。ただ、セックスをするよりも早く、リア獣は異変に気付く。
『…腐女神…、お前…』
『そうだよ…。男だよ…。ガッカリしたでしょ?オマエ、ノーマルだもんな…』
言いながら、腐女神は自分を嘲るように笑う。リア獣は何を返せば良いのか戸惑うだけだった。
『…だから嫌だったんだ…。折角、好みのタイプのヤツに付き合おうって言われても、こうなるんだ…。だったら、付き合う前に忘れる方がいいじゃないか。そのために、逃げたのに。ノーマルなリア獣が近づかないように、腐女子や腐男子で結界をはったのに…』
そういう腐女神の目からは涙がぽろぽろこぼれていた。
『…なるほどね。ワタクシ達は、結界だったんですね』
『パラダイスかと思っていたのに』
2人がどうなるか心配で、風呂場までついてきた二人は口々にそんなことを口にする。
『でもまぁ、こっちも美味しい思いをしたんだし!』
浴室の上から緑の声が聞こえた。どうやら自由に移動できるようになったようだ。
『ちょ、ちょっと待て!好みのヤツって…!オマエ、我のことがタイプなのか?』
『そうだよ?悪い?』
言われて、リア獣は赤くなった。そして、そのまま、岬達の方を振り返る。
『教えてくれ』
『…何を?』
『男同士のやり方を!オマエらは、そういうのに詳しいんだろう!?』
壁の上部から発せられる光に、リア獣はたじろいだ。
岬達の声が一切聞こえていないベッドの上のカップルも、光には気付いたようで、不思議な顔で壁の方を見る。ただ、すぐにそんなことを忘れて、行為に没頭する。
『私の友だちに手出しはさせない!!!』
ライトから聞こえたのは、隣の部屋にいる筈の緑の声だった。
『緑、どうして…?』
『この部屋の声が聞こえてきて、同じライト系統なら移動できるんじゃないかってやってみたらできたの!』
『…ありがとう!!』
いつも隣の部屋にいた緑が同じ部屋にいて助けてくれる、それだけ岬は心強かった。
『ライトごときに何ができる?』
リア獣は諦めずに立ち上がり、岬へと向かってくる。
『なんで?私、腐女神なんかじゃない!』
『岬……!』
どこからともなく聞こえた声は、ねこぱよのものだった。
『ねこぱよ…?』
岬が言いかけた時、ベッドの上のシーツが舞い上がり、リア獣に覆いかぶさる。シーツを払いのけようとリア獣はもがくが、離れそうにない。
『ねこぱよ、ここに来てたの?』
『…うん…、でも…、シーツの寿命が…近いみたいで…、意識が…朦朧としてて……』
『寿命って…!!!』
その言葉を証明するように、リア獣を覆ったシーツはただの布に戻っていった。ねこぱよの声も聞こえない。
『そんな…!』
もう駄目だと思った時、岬は背中を押された気がした。
何が起きたのかと、振り返ると後ろに鏡が見えた。
『…え?私…』
ベッドの上の2人からは見えていないようだが、岬の体が実体化する。手足があって動ける。懐かしい感覚だ。そんな岬を他所に、リア獣は鏡に手を伸ばす。伸ばした手は、鏡の中に入り込み、中から一人の女の子を引きずり出した。
『隠れても無駄だ。腐女神…!』
鏡から出てきたのは、小柄な女の子だった。年齢的には岬と変わらない位だろうか。
『あの子が…腐女神…?』
『岬ちゃんの鏡の奥にいたんですね』
『かわいい…!』
感想は人それぞれだった。ただ、その女の子はリア獣と顔を合わさないように必死で顔を背ける。
『逃げても無駄だ。お主が我と付き合うというまで、我はどこまでも追いかける!』
『…無理!!無理!!!』
腐女神は必死に首を横に振る。
『…ち、痴話げんか?』
『というか、ストーカーと被害者という感じでしょうか?』
相変わらず、キラリは冷静だ。
『でも、困る。ここで痴話げんかされたら、イチャイチャプレイを楽しめないじゃない』
そう言ったのは緑だ。岬は、ねこぱよだったシーツを畳んでいた。ベッドの上は、そんな光景に気付く気配すらない。
『岬ちゃん、ワタクシを腐女神の傍に連れて行って?』
言われて、岬はエアシューターの方へと向かう。カプセルの中に入っていたおもちゃは取り出し、シューターの横に置いておく。そのままカプセルを持って腐女神の元に向かう。
『腐女神さん?あなたはどうして、この人と付き合いたくないのかしら?』
キラリは静かな口調で語りかける。腐女神は何も答えず、ただこぶしを強く握る。
『多分、本当のことを言っても、リア獣さんは傷つかないと思いますけど?』
『…無理だよ…』
腐女神はさらに顔を下に向ける。そんな様子に、リア獣は戸惑いを見せた。
『本当のことってなんだ…?』
『さぁ?セックスをしてみれば分かるんじゃないかしら?ここはラブホテルですよ?』
セックスの場所に選んだのは、この部屋の浴室だった。ただ、セックスをするよりも早く、リア獣は異変に気付く。
『…腐女神…、お前…』
『そうだよ…。男だよ…。ガッカリしたでしょ?オマエ、ノーマルだもんな…』
言いながら、腐女神は自分を嘲るように笑う。リア獣は何を返せば良いのか戸惑うだけだった。
『…だから嫌だったんだ…。折角、好みのタイプのヤツに付き合おうって言われても、こうなるんだ…。だったら、付き合う前に忘れる方がいいじゃないか。そのために、逃げたのに。ノーマルなリア獣が近づかないように、腐女子や腐男子で結界をはったのに…』
そういう腐女神の目からは涙がぽろぽろこぼれていた。
『…なるほどね。ワタクシ達は、結界だったんですね』
『パラダイスかと思っていたのに』
2人がどうなるか心配で、風呂場までついてきた二人は口々にそんなことを口にする。
『でもまぁ、こっちも美味しい思いをしたんだし!』
浴室の上から緑の声が聞こえた。どうやら自由に移動できるようになったようだ。
『ちょ、ちょっと待て!好みのヤツって…!オマエ、我のことがタイプなのか?』
『そうだよ?悪い?』
言われて、リア獣は赤くなった。そして、そのまま、岬達の方を振り返る。
『教えてくれ』
『…何を?』
『男同士のやり方を!オマエらは、そういうのに詳しいんだろう!?』
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