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転生したようです
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岬がトラックにはねられたのは、高校を出て家に帰る途中だった。
居眠り運転だろうか、暴走したトラックにはねられ、岬の体は宙を舞った。空中を舞いながら岬は『このまま異世界転性でもするのだろうか?』と考えていたけれど、目が覚めた時に見たのは白い部屋、そして自分の姿を心配そうに覗き込む医師と看護師の姿だった。
とある週末、繁華街の片隅にあるラブホテル。
シャワーを浴び、バスローブをまとった男性二人が、緊張の面持ちでベッドに座っていた。
「…本当に、男同士でも入れるんだ…」
「岬、緊張してる?」
「…だ、大丈夫!めっちゃイメトレしてきた!」
「イメトレって」
男性は笑いながら、もう一人を押し倒す。
こういう状況になったら、やることは一つ。
お互い男性とのプレイは初めてなのだろう。最初はぎこちなく、戸惑ったり、変に笑ったりしていることも多かったが、途中から気分が乗ってきたのか、プレイに没頭し始めた。部屋に甘い声が響く。
喘ぎ声や液体の音、肌がぶつかり合う音など色々な音が部屋に響く。
そんな状況の中、岬は思った。
『ヤバい!ヤバい!転生してマジ良かった!転生最高!』
岬は興奮を抑えきることができずに、叫びそうになる。そんな岬の目に入ったのは、男性が落としたカードだ。大学の学生証らしい。必死で目を凝らして読んでみる。
『岬 圭吾』と書かれてあった。
岬は、なるほどと頷く。ベッドで組み敷かれ、アンアン喘いでいる男性は、岬という苗字なのか。最初、名前を聞いた時に『おっ!』ッと思ったが、相手の方は名前ではなく苗字らしい。
それでも、自分と同じ名前は親近感が湧く。
ただ、それ以上に興奮材料となるのは目の前の光景だ。慣れてきたのか、さっきとは違う体位に変わっている。岬を抱く男性は、体格がいいだけでなく体力もありそうだ。後、何回位体を繋ぐのだろうと考えると、胸が高鳴る。
そんな男性同士のセックスを眺める岬が、事故後に目を覚ましたのは、このラブホテルの一室だった。
看護師と医者が自分を覗き込んでいるものだから、てっきり病院かと思ったけれど、違ったらしい。
「女物のナース服なんて似合う訳ないじゃんー!」
看護師の格好をした男性が、頬を染めながらもう一人に詰め寄る。
「超似合ってる!ほら、その証拠に!」
そう言って、白衣をまとった男性は、ナース服を着た男性の手を自分の股間に導く。窮屈そうにズボンの中に納まるモノの存在を感じたナース服の男性は、布の上から軽く握りその手を上下させる。
「エッチな看護師さんだなぁ」
医師風の男性はニヤニヤしながら、その光景を眺める。
岬は頭がパニックになりそうだった。
『な、なに!?なんで目の前でこんな美味しい光景が繰り広げられているの!?夢!?幻!?』
とりあえず分かることは、目の前の二人は自分の存在を認識していないようであること。何が起きているのかと、辺りを見回そうとしたけれど、思うように首が動かない。それでもなんとか状況確認をしようとして分かったことは、自分はこの部屋の壁か鏡になっているということだった。確信を持ったのは、部屋の対面にある鏡が目に入ったことだ。そこに映るのは、ナース服と医師の姿でイチャイチャする男性。そしてその前にある鏡がついた壁。
鏡というのであれば理解できる。
目が覚めて最初に見た光景は、着替えが終わった二人が、服の確認のために鏡を覗き込んでいたのだ。
自分は死んだのか何なのか分からないけれど、どうやらこの部屋の壁か鏡に転生をしてしまったらしい。本来であれば、無機物への転生は残念に感じそうなところだけれど、岬にとってはそうでなかったようだ。
『え?もしかしてこれって、男同士のセックス眺め放題!?ヤバい!最強のチート能力じゃん!!!』
元の人生や体が気にならない訳ではない。というか、下校時に鞄に入っていたBL本や、部屋にある数々のお宝。自分が死んだとしたら、あれが人目に触れてしまう。そのことを考えると青ざめるが、今は目の前の状況が気になって仕方ない。
「仕事ができない看護師には、コレでお仕置きしなくちゃね」
「せ、先生、ぼ、僕…もっと頑張りますから!!!」
「だーめ!」
医者の格好をした男性は、ほぼ裸にされた男性の上にのしかかり、自分のモノを挿入していく。ベッドと壁との距離が少しある上に、男性たちは岬に見せるためにセックスをしている訳ではない。そのため、理想のアングルで見れる訳ではないけれど、あがけば多少視界を移動させられることに気付いた。さらに、見えない部分があったとしても、ベッドから聞こえる様々な音や声、会話は妄想を掻き立てる。
2人がチェックアウトをする頃、岬は二人に向かって手を合わせ拝みたい気持ちになっていた。手はなくなったようなので、気持ちの中だけの話となるが。
このホテルは、男同士でも入りやすいという噂が立っているらしく、次々色々な男性カップルが訪れる。若い社会人男性カップルもいれば、どんな関係なんだろうと考えてしまうような組み合わせも多い。全部が岬の好みに合うカップルとは限らないが、興味がなければ見なければ良いだけだった。壁といっても、寝ようと思えば眠ることができる。ただ、最初は興味がないと感じても、眺めていると新しい扉が開くこともあった。
そんな生活をしながら如月岬(17歳女子高生)は思う。
『転生最高ーーーーー!』
そして今日もまた、新たなカップルが部屋に入ってくる。
岬の幸せ転生生活はまだまだ終わりそうにない。
居眠り運転だろうか、暴走したトラックにはねられ、岬の体は宙を舞った。空中を舞いながら岬は『このまま異世界転性でもするのだろうか?』と考えていたけれど、目が覚めた時に見たのは白い部屋、そして自分の姿を心配そうに覗き込む医師と看護師の姿だった。
とある週末、繁華街の片隅にあるラブホテル。
シャワーを浴び、バスローブをまとった男性二人が、緊張の面持ちでベッドに座っていた。
「…本当に、男同士でも入れるんだ…」
「岬、緊張してる?」
「…だ、大丈夫!めっちゃイメトレしてきた!」
「イメトレって」
男性は笑いながら、もう一人を押し倒す。
こういう状況になったら、やることは一つ。
お互い男性とのプレイは初めてなのだろう。最初はぎこちなく、戸惑ったり、変に笑ったりしていることも多かったが、途中から気分が乗ってきたのか、プレイに没頭し始めた。部屋に甘い声が響く。
喘ぎ声や液体の音、肌がぶつかり合う音など色々な音が部屋に響く。
そんな状況の中、岬は思った。
『ヤバい!ヤバい!転生してマジ良かった!転生最高!』
岬は興奮を抑えきることができずに、叫びそうになる。そんな岬の目に入ったのは、男性が落としたカードだ。大学の学生証らしい。必死で目を凝らして読んでみる。
『岬 圭吾』と書かれてあった。
岬は、なるほどと頷く。ベッドで組み敷かれ、アンアン喘いでいる男性は、岬という苗字なのか。最初、名前を聞いた時に『おっ!』ッと思ったが、相手の方は名前ではなく苗字らしい。
それでも、自分と同じ名前は親近感が湧く。
ただ、それ以上に興奮材料となるのは目の前の光景だ。慣れてきたのか、さっきとは違う体位に変わっている。岬を抱く男性は、体格がいいだけでなく体力もありそうだ。後、何回位体を繋ぐのだろうと考えると、胸が高鳴る。
そんな男性同士のセックスを眺める岬が、事故後に目を覚ましたのは、このラブホテルの一室だった。
看護師と医者が自分を覗き込んでいるものだから、てっきり病院かと思ったけれど、違ったらしい。
「女物のナース服なんて似合う訳ないじゃんー!」
看護師の格好をした男性が、頬を染めながらもう一人に詰め寄る。
「超似合ってる!ほら、その証拠に!」
そう言って、白衣をまとった男性は、ナース服を着た男性の手を自分の股間に導く。窮屈そうにズボンの中に納まるモノの存在を感じたナース服の男性は、布の上から軽く握りその手を上下させる。
「エッチな看護師さんだなぁ」
医師風の男性はニヤニヤしながら、その光景を眺める。
岬は頭がパニックになりそうだった。
『な、なに!?なんで目の前でこんな美味しい光景が繰り広げられているの!?夢!?幻!?』
とりあえず分かることは、目の前の二人は自分の存在を認識していないようであること。何が起きているのかと、辺りを見回そうとしたけれど、思うように首が動かない。それでもなんとか状況確認をしようとして分かったことは、自分はこの部屋の壁か鏡になっているということだった。確信を持ったのは、部屋の対面にある鏡が目に入ったことだ。そこに映るのは、ナース服と医師の姿でイチャイチャする男性。そしてその前にある鏡がついた壁。
鏡というのであれば理解できる。
目が覚めて最初に見た光景は、着替えが終わった二人が、服の確認のために鏡を覗き込んでいたのだ。
自分は死んだのか何なのか分からないけれど、どうやらこの部屋の壁か鏡に転生をしてしまったらしい。本来であれば、無機物への転生は残念に感じそうなところだけれど、岬にとってはそうでなかったようだ。
『え?もしかしてこれって、男同士のセックス眺め放題!?ヤバい!最強のチート能力じゃん!!!』
元の人生や体が気にならない訳ではない。というか、下校時に鞄に入っていたBL本や、部屋にある数々のお宝。自分が死んだとしたら、あれが人目に触れてしまう。そのことを考えると青ざめるが、今は目の前の状況が気になって仕方ない。
「仕事ができない看護師には、コレでお仕置きしなくちゃね」
「せ、先生、ぼ、僕…もっと頑張りますから!!!」
「だーめ!」
医者の格好をした男性は、ほぼ裸にされた男性の上にのしかかり、自分のモノを挿入していく。ベッドと壁との距離が少しある上に、男性たちは岬に見せるためにセックスをしている訳ではない。そのため、理想のアングルで見れる訳ではないけれど、あがけば多少視界を移動させられることに気付いた。さらに、見えない部分があったとしても、ベッドから聞こえる様々な音や声、会話は妄想を掻き立てる。
2人がチェックアウトをする頃、岬は二人に向かって手を合わせ拝みたい気持ちになっていた。手はなくなったようなので、気持ちの中だけの話となるが。
このホテルは、男同士でも入りやすいという噂が立っているらしく、次々色々な男性カップルが訪れる。若い社会人男性カップルもいれば、どんな関係なんだろうと考えてしまうような組み合わせも多い。全部が岬の好みに合うカップルとは限らないが、興味がなければ見なければ良いだけだった。壁といっても、寝ようと思えば眠ることができる。ただ、最初は興味がないと感じても、眺めていると新しい扉が開くこともあった。
そんな生活をしながら如月岬(17歳女子高生)は思う。
『転生最高ーーーーー!』
そして今日もまた、新たなカップルが部屋に入ってくる。
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