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卒業

あとがき

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 あとがきを作品の一部として書くか、あるいは近況ノートの方に書くべきか迷ったのですが、こちらの方が読んでくれる方が多そうな気がするのでこちらに載せることにします。



 この作品の構想を思い付いたのは去年末くらいだったと思います。
 それまでもカクヨムで色々書いてはいたのですが、まあとにかくPVが増えない増えない……もちろん多くの人に読まれることがだけが作品の価値ではないですが、ちょっと一回はウケるものを狙って書いてみよう!というノリの部分もあり、最初に思い付いたのはタイトルでした。
 現在は必ずしも長文のタイトルが強いわけではないかもしれませんが、作品の旨味を説明できるという点でやはりネット小説に於いては依然として有効な手法だと思います。
 自分自身の作品にこういったタイトルを付けることに最初は抵抗感もあったのですが、書いているうちにそんなものはどこかに消えていきました。次回作も恐らくこうしたタイトルを付けると思います。題材は全く違いますが。

 まあそんなわけで半ば実験的な意味合いもあり今年初めからこの作品を連載し始めました。特にはっきりとしたプロットも立てず、アイドル文化に関しては以前から好きだったので書くことがなくなることはない、何とかなるだろ……と見切り発車も良いところの出発でした。

 じわじわとフォロワーの人も増えて、自分の作品としては最も多く読まれる作品にはなっていったのですが……別に大ヒットというほどでもないし、とっとと畳んで次の作品を書こうかな、という気持ちでした。
 
 しかし4月にカクヨム公式のレビューを頂きました。まさかまさかの出来事でした。その日のうちにフォロワーが一気に増えるわ、★も飛んで来るわで夢のような気持ちでした。(今はだいぶ落ち着いてしまいましたが)

 筆者にとってはそこからが大変でした。
 それまでは好き勝手書いていたのですが、一気に責任感が出て来てしまいました。  
 作品をきちんとしたものとして完成させねばという気持ちと、一刻も早く次話を更新せねば……という相反する気持ちを抱えるようになりました。
 しかしまあすぐに悟ります。結局は自分は自分のやり方でしか話を書けないのです。ただレビューをもらった直後、無理矢理にでも毎日更新しておけばもっと閲覧者は増えたかもしれませんし、作者自身の成長にはつながったかもしれません。

 あるいはアイドル転向編以前に公式レビューをもらっていたら、もっと作品の完結を引き伸ばしていたかもしれません。色々なケースのアイドルにスポットを当てることは幾らでも出来たと思います。
 そもそも「百合百合しい展開」と銘打ちながら、親密になったヒロインは2人だけというタイトル詐欺みたいなところがこの作品にはありましてですね……読者の中にはもっとそういった部分を求めていらっしゃった方も多かったのかもしれません。
 どこかのコメントでも「ラブコメというよりはお仕事系の物語だよね」という指摘をいただきましたが、まさにその通りでしてですね……構想を思い付いた時はもう本当に甘々の快楽だけの作品にしてやろうと思っていたのですがね、そうはなりませんでした。
 そうなってしまったのは筆者の志向性もあるのですが、やはりアイドルというものが「そんなに楽なもんじゃないぞ」という気持ちが強かったからだと思います。

 どこかのコメントでも書いた気がしますが、作中のアイドルグループ『WISH』のモデルはAKBや坂道系といった実在するアイドルグループです。
 筆者は濃いオタクではありませんが10年以上アイドルを見てきましたし、その文化を興味深く見てきました。作中の舞台裏の描写や心情などは全てその文脈で学んできたものです。
 
 一番苦労したのは話のたたみ方です。
 そもそも自分が転生系の作品を完結まで読んだ記憶があまりないのですよね。転生したんなら元の世界に戻らなあかんやろ……ということで、途中からこの展開に持ってゆくことに決めましたが、そこを考えるのに一番苦労しました。
 長編小説を書く上で一番大切なのはやはりきちんとプロットを定めることです。行き当たりばったりで書き始めては苦労します。読者の中には自分で書いておられる方も多いでしょうから、何万回も言われていることでしょうが改めて言っておきます。

 この作品は読み専と呼ばれる方々にも多く読んでいただけたと思います。
 それまで私は読み合いの作者同士のコメントの応酬といった感じのものしか経験しておらず、読み専の方々に作品をフォローしていただけたのがとても嬉しかったです。自分が書きたいものを書くというよりも、読者が求めるものを書こうという気持ちが今は強くなりました。

 反省点は色々あります。
 挙げ出せばキリがありませんが一番は長過ぎるということだと思います。気付くと25万字以上書いていました。10万字前後で完結させるのが丁度良いと思っています。私は興味をそそられた作品でもあんまり長いと読む気が失せるタイプだからです。しかし読み専の方々の中には10万字くらいは平気で1日で読んでしまう方もいらっしゃるようで、そういう方にとっては長さはあまりマイナス要素にならないのかもしれませんね。
 もう一点はこれは作者の想定とはかなり異なっていたのですが、麻衣が元の世界に戻るという悲しい展開が辛い、というコメントを幾つも頂いたことです。
 その辺りは筆者の感覚とはかなり異なっていたので、しっかり次回作以降修正していかなければな……と思っています。



 先ほど書いた通り筆者はアイドル文化について10年以上興味深く見てきました。
 アイドル文化の面白い点はまだまだあると思います。多様な切り取り方が幾らでも可能な題材だと思います。
 例えば今回はメンバーやマネージャーといった視点から見てきました。
 もちろんメンバーの視点だけでもまだまだあるでしょう。もっと不遇で人気の出ないメンバーだとか、実は彼氏がいるメンバーとか……。
 あるいは本当に運営のトップに立つ人間や、作曲家などからの視点も面白そうです。そして実は最も面白いのはオタク側の視点からの物語だとも思うのですよね。
 私自身は現在はメジャーなグループよりも、地下アイドルと呼ばれるグループに興味は移りつつあります。
 しかし「地下アイドルのオタク視点からの物語」というのは、もちろん作者の技量があれば面白く描けると思うのですが……そんな作品を読むよりも実際に地下アイドルのオタクになった方が100倍楽しいだろ!という気もします。言語化出来ない魅力があの界隈には間違いなくあります。

 まあどっちにしろ、アイドルを取り扱ったものでカクヨムで大ヒットしている作品はまだあまりないような気がするので、またアイドルについて書いても良いかもしれないという気はしています。

 以上長々と蛇足のようなあとがきにお付き合いいただきありがとうございます。
 作品を最後まで読んで下さった方はそれ以上にありがとうございます。
 次回作もすぐに書き始められると思いますので、興味を持たれた方はぜひお立ち寄り下さい。
 では、またどこかで。


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